無料ブログはココログ

本の紹介

« 木材はスイーツ! | トップページ | 鹿クリップ »

2010/11/12

木づかいは隙間かマスか

まだ続く木づかい祭の話題だが(^^;)、非常に密度の濃い2日間の夜の部でも、多くの人と話し込んだ。さすがに各界の人材が集まっているだけに、含蓄の深い話も出た。

決して、手放しに木づかい各種のテーマを礼賛するとは限らない。厳しい指摘もあった。

その中で、考えさせられたのは「木づかいは、ニッチ(隙間)狙いなのか、それともマスをめざすのか」という点だ。

木づかいとは、ようするに国産材をもっとよく使ってよ、という運動だ。そこには木育など情操教育面、素材としての環境面、さまざまな切り口があるものの、本音は林業振興だろう。木の需要を増やすことを願っている。

だが、現在の木づかい運動で木材を売る場合、国産材グッズなり国産材建材なり、いずれもその商品を特別な付加価値を付ける方向で動いている。昨日指摘した「スイーツ」としての木材もそうだ。たとえば木のオモチャとか木のグッズ類だ。
そしてターゲットは、その価値観をわかる人だ。だが、そういう人は現代社会では少数派なのである。

それでは、本当の意味で木材需要を増やした林業振興にはなりにくい。しかも、売り手は小規模だから、そのニッチの層に売ることで経営が成り立っている。

しかし、本当に量を出すつもりだったら、マス(大衆)に受ける商品展開をしなければならないだろう。たとえば割り箸などはそちらに入るかもしれない。あるいは誰もが気に入る内装材が発明することかもしれない。

もし、その商品が多く売れるとわかったとき、何が起きるか。

大手企業が乗り出してくるのである。そのとき小さくきめ細かく販売してきた会社は吹き飛ばされてしまう。

それがいいとか悪い、ではない。冷徹な経済行為として市場は取られてしまうのだ。

それがイヤなら、ニッチ狙いの商品ばかりを扱うしかない。とても大手には参入できない手間隙かけた商品を限られた層に売っていく。
しかし、その場合は、売れる木材の量は大きくならず、林業振興にはつながりにくい。

この矛盾をいかに解決するか。小さな個人や会社が一生懸命木づかい商品を作り出す際、売れだしたら大手に浸食されるのを覚悟で開発するか。それとも自分が大手になるべく乾坤一擲のビジネス規模拡大を狙うか。

どちらも覚悟が必要だなあ。

« 木材はスイーツ! | トップページ | 鹿クリップ »

木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

田中様

急に朝晩冷え込んできて、紅葉が一気に進んで風邪を引きました!

ところで、ニッチかマスかのおはなしですが、これからは少量で多種類の品揃えをできるやり方や流通システムが流行するのではないでしょうか?

20世紀の大量生産、大量消費,大量廃棄の時代は終わりにしたいですね。

そうではなくて、一人一人の顧客のニーズにあった商品を揃えていくシステム、大企業には面倒くさくて参入できないシステム、あるいは顧客の囲い込みが大切ですね。

非電化商品を開発されている藤原さんでしたが,NHKのラジオ番組に出演されていましたが,昔だったそんな非電化製品を求める人は一握りでしょうが、これからは少しずつですが増えて行くのではないでしょうか。

今までのエネルギーや物質の無駄つかいをする経済ではなくて、一人一人の価値観にあった商品開発が大切でしょう。

もちろん,薪ストーブと木質バイオマスに代表されるような業種は、ある程度市場ができたところで大企業が参入するのは避けられないかとおもいますが。

良いものを適正な値段で販売して,それを適正な価格で購入したお客とは密接なサービスで結びつくのが、21世紀の経済にしたいものです。

なんか、青臭い議論のようですがあちこちでこのような考えに基ずくやり方がじわじわと広がりつつある印象を持ってます。

田中さんはいかがお考えですか?

ニッチもマスも有りですね。
今、売れているものは欲しい人にきちんと届いているから売れるのです。
ニッチでは林業振興にならないかもしれませんが、ニッチな商品で木のPRをして、マスにつなげる。
市場を占有するのではなく、共有し、イノベーターになれたところが、市場をリードして行く。
そのために、品質の良いものを提供していく。
そこが今の木材・木製品市場に足りないものの一つです。
消費者がニコッと笑顔になるものを提供しましょう。
二酸化炭素削減、脱化石エネルギーはいやでもそれについてきます。

ニッチもマスもあり、というのは正しいと思います。うまく棲み分けてほしい。
ただ、ニッチで売っている木づかい企業は、ずっとニッチに売っていくことに留まり、マスの利益は得られないわけですが、それに満足するか?
不満を抱いたら、やっていけなくなるでしょう。

多品種少量生産も、結局はニッチ商品の集まりで、全体で大きな利益を上げられるかどうかは不透明ですね。

ようは、取り組む人が、そうした構造を甘んじて受け入れるかどうかという問題になってしまう。

ニッチだから利益が少ないとは限らないのでは?
マスだから利益が多いとも限らない。
ニッチなマーケットにしかポジショニングできない木づかい企業でも、例えばアイデアやデザインをマスの企業に
アウトソーシングしていき、ロイヤリティとして
利益を得るなんてこと可能です。

ニッチというのは、消費者が少ないということです。そりゃ、少数の消費者に高く売ることで利益を上げる手もあるけれど……。

一事業体としては、大きく儲けたり拡大することも可能なんでしょうが、木材需要全体を膨らませるには、マスの消費者をターゲットにしなければならないでしょう。

田中様
お世話になります。先週は、出張中(古民家再生でこちらもニッチですが…)でした。
出張先の近くの町(日南市)でお祭りがあり、端材のアイデアコンペ「飫肥杉コレクション」を覗いてきました。作品を私も飛び入り参加させていただきました。「たこ焼き割り箸」です。
日南市役所の職員の方が東大であった「木づかい祭り」に行ったらしく、「話が出てましたよ」と教えていただきました。ありがとうございます。

さて、「ニッチorマス」ですが、海杉自身は、バランスだと思います。多くの建設会社の1回の取引は、ほとんどが数千万単位です。そこに数十万単位の取引を社内に持ってくることが、会社自体の体質(システム)を作り直さなければならないのですが、たとえニッチであっても、数百万でも会社に現金が入るシステムは、建設会社にとって今後、魅力あるシステムになると思っています。

日南市の方、たしかにいましたね! 宮崎からの出席者がいることに驚きました。木製鳥居についても、ちょこちょこと紹介させていただきました。

さて、おっしゃるとおりバランスを取らねばなりません。ニッチ狙い企業とマス展開企業が連携する、一つの企業の中でニッチとマスの事業を共存させる、ニッチ事業をしかけたベンチャーは先行逃げきりタイプで常に新しい隙間を探す……など、いろいろな形を考えています。

いずれにしろ、手がける事業の性格を十分に把握した上で戦略を持たないと、自己満足になるし、経営的にも危険でしょう。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/50008721

この記事へのトラックバック一覧です: 木づかいは隙間かマスか:

« 木材はスイーツ! | トップページ | 鹿クリップ »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

森と林業と田舎