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森と林業と田舎の本

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2010/11/15

減速社会

私の両親は、どちらも齢80を越えている。今のところ自活できているが、何かと病気がちだし、身体を動かすのがイヤになってきている模様。

しかも年も年だから自動車運転免許を更新しなかった。そのため、買い物が不自由になっている。家はかなり高台にあり、駅前などショッピングのできるところまで距離がある。かろうじてコミュニティバスがあるが、本数も少ないし土日は運行しない。

まさに買い物難民、病院難民なのだ。

というわけで、私が買い物や病院への送り迎えをしている。フリーゆえ時間的にはやり繰りしやすいが、なかなか大変だ。

それでもスーパーマーケットなどに付き添うと見えてくるものがある。

世の中、老人ばっかりだ(笑)。

店内はもちろん、街角も足が不自由なまま歩く人、車でさえ高齢者の運転が多い。すると、レジに買い物籠を移すもの補助が必要だったり、金を出すのが異常に遅かったり、さらに社会ルールまで守らない(ようするにボケてる)老人が多いことに気がついた。本人に悪気があるわけではないのだろうが、普通のカーブをうまく曲がれない(ハンドルを早く切れない)車とか、道の真ん中で停車して次どこへ行こうか考えてる車を見かける。

かくして、そこかしこで渋滞したり、齟齬が起きている。

私は、そうした現場をかいま見て、ああ、日本は減速社会に入ったんだ、としみじみ感じるのだ。

おそらく世界でまれに見る急速な高齢者社会に突入した日本は、こうした現象がどんどん広がるのだろう。行動だけでなく思考も減速するに違いない。素早い決断が苦手になる。これは、いわば社会の減速である。じっくり考え、ゆっくり行動する社会なのだ。

ここで老人の思考と取る行動は、二つある。

一つは、自分の生きている残りの時間だけを考える。あまり将来のことは考えない。年金が破綻しようと、環境が破壊されようと、今が楽ならいいのよ。

もう一つは、次の世代のことを考える。自分の子供、孫の時代の日本社会、地球環境を考える。

私の見たところ、日本の老人の大半は前者だ。だから何十年先の未来を描いた考察はしなくなっていくのではないか。

しかし少なくなったとはいえ若者もいるので、そんな社会になったら、逃げ出してしまうだろう。介護などの仕事は増えるが、これは再生産を生まない後ろ向き経済である。

ところが、政治も経済も世界的に緊密につながり、そこではスピードがこれまで以上に求められている。リーダーが瞬時に判断し、それが正しいか間違っているかに命運をかけるようなシーンが頻発する。

さあ、どこへ向かうニッポン。

少なくてもスピードと生産性を上げて、世界に伍するという発想はしない方がいいのではないか。これは相手(若者の多い新興国)の土俵に乗るようなもので、スピード感を保てる人間はどんどん減っているのだから絶対にかなわない。

減速するのは仕方ないとすると、じっくり考えて判断を間違わない。そして未来を描く。これが唯一の正しい選択だ。
今のまま世間に付いていこうと無理に速度を上げて、周りが見えなくなり、しかも目先のことばかりしか考えずにいたら、結果的に判断を間違う。あげくに逃げ出す。こんな選択をすると、交差点で車を乗り捨てするようなモンだ。

これは、森林と林業について言っているのだよ。

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コメント

ずれますが、福岡市の市長が36歳の方になったそうです。三歳差・・・。三年後に市長・・・。まったく想像できませんwww

最近、若い首長が目立ちますね。

若い発想と熱意には期待したいところですが、きっとスピード感も求めるんだろうなあ。
減速人間に足を踏み入れた者には、ちょっと怖いところがある。

ああ。
確かに。
スピードの速いに乗せたら
心臓発作などを起こしてしまい。。。
ひゃああ。大変ですう。

どんなよい改革でも、速度は重要です。

遅すぎたら、改革の効果は出ない。
でも早すぎたら、ついていけない人たちが出る。
その度合いが強すぎたら、改革は成功したけど、市民は疲弊した……なんてことになるんだろうな。

上り坂(人口増加時代)ではアクセル、下り坂(人口減少時代)ではブレーキ。上り坂がくれば、またアクセルをふめばいい…。それだけのことですが、社会全体となると、なかなか見えにくいですね…。「ブレーキなどけしからん、アクセルを否定する気か!?」と(そんなばかな…)。

問題は、日本車はブレーキを踏みかけているのに、回りを走っている新興国やアメリカのような移民社会はアクセルをどんどん踏むことでしょうね。

かくなる上は、走る道を変えるか。幹線道路から離れて田舎道へ。でも、その道は目的地まで延びているのやら……。

たとえ過疎集落であっても、世界のなかのひとつの問題…と考えるべき時代…なんですよね…。

これまで発展途上国ほどゆっくりしていて、先進国の速さとの差が問題でしたが、今は反対。このスピードの差は、今後どんどん開き、大きな問題になりそうな気がします。

今日もまた、買い物の送迎に行きますが、いらつかず、怒鳴りたいのをぐっと抑えて(^^;)、世界の国々に思いを馳せておきます(~_~;)。

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