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2010/11/01

関西広域連合と奈良

おそらく関西周辺地域に居住している人以外は、ほとんど知らず、また興味を持っていないのではないかと想像するが、このほど「関西広域連合」の結成が決まった。

この連合、ようは府県の境界を越えた自治業務を国から受け持つための超自治体組織である。今も国会で取り上げられている国の出先機関を廃止するための受け皿にする発想もある。そのため、各府県の権限の一部を連合に委譲することになっている。また議会も作られる。どうも道州制を睨んだ関西州に相当する組織を連想する。

もっとも、参加した首長は、それを否定している。とくに京都府、兵庫県は、それを警戒して牽制している。だが最大の推進者が、橋下徹大阪府知事であることからしても、あきらかに関西州を狙っているだろう。

と言っても、参加するのは大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、和歌山県、徳島県、鳥取県の2府5県。従来の関西というエリアからはみ出している反面、奈良県は入っていない。ほか、声をかけられていた三重県、福井県も入らなかった。

これを巡って橋下府知事は、来年早々の奈良県知事選で結論を出せ的な言い方をして挑発をしている。荒井正吾奈良県知事は、その度にカッカと来ている様相だ(笑)。

さて、この関西広域連合。一見、国の行政改革に先んじた行動のように見える。

だが、私は奈良県民としてだけでなく、参加しないでよかったと思っている。なんだかうさん臭いのだ。

奈良県が参加しなかった理由として、現在の自治体組織の上に新たな官僚組織を作ることになり、意思決定の手続きに時間がかかるうえ、お金もかかるから、としている。

もちろん、それも事実だが、何より地方分権に見せかけた新たな中央集権体制が築かれそうな気配だからだ。すでに市町村合併が進んで、地域から行政が遠のいたと言われるが、その傾向がさらに強まるだろう。

いくら否定しても、将来の関西州、いや内政全般を牛耳る組織を目指していると思われても仕方あるまい。

とくに橋下知事の動きを見ると、地方分権を口にしながら、大阪府内ではどんどん強権的になっているんだよね。大阪市を解体して大阪都にするという構想もそうだが、府(自分)の方針に従わない市町村を締め上げて、議会さえも屈伏させようとしている。結局、国の権限を府知事が行使したいだけではないか、と疑念を持つ。

奈良県(最初は奈良府だった)は、明治の初年に堺県、ついで大阪府に合併された歴史を持つ(明治9年~20年)。それは明らかに大阪に権限と財政を集中させることを狙った政府の方針に寄るものだった。この間に奈良は、すっかりさびれたという。
奈良県が復活するまで長い年月運動が繰り広げられたのだ。奈良における自由民権運動は、奈良県再配置運動でもあったとされるほどだ。

だから奈良県は、本能的に広域連合のうさん臭さを感じたのかもしれない。

奈良県としては、しばらく模様眺めして、うまく機能するなら参加すると腰が引けている部分もあるが、覚悟決めて反対しなさいよ。

まあ、奈良県が参加する条件としては、奈良に連合の本拠を置くことだね。そして関西州が結成された時にはその州都も奈良に置くこと(⌒ー⌒)。だって、関西地域の地理的中心は、南京都から北奈良なんだから。

ちなみに、奈良県は遷都1300年祭に引っかけて、10月に第1回「東アジア地方政府会合」を開催している。日本、韓国、中国の19地方が提唱者となり、フィリピン、インドネシア、ベトナムの地方政府も加えた40の自治体が参加し、奈良憲章を採択している。知らないでしょう(^o^)。これも地味で、報道もどれだけされたことやら。

ま、これも地方政府の首長が集まって話すだけで何ができるの? と思わぬでもないが、少なくても窮屈で強権化しそうな広域連合よりは国の枠を越えた結びつきで楽しそうである。

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コメント

管理人様お早う御座います。何故奈良県だけが件の「広域連合」に加盟しないのか、理由は多々ある様ですが、先ずはJR西日本も含めた第3セクター方式で、奈良から大阪府・河内長野を通り、最終的には「関空」に通じる新たな鉄道路線を建設したら良いのではないかと思います。愚生も今年の4月になるか、或いは5月になるかは未だ未定ですが、何れ河内長野に移住致します。

いやあ、鉄道もいいけど、やっぱり奈良に関西州都! でしょう(笑)。 それを前提の関西広域連合ならいいよ。

でも、本当のところ奈良には荷が重い。

いずれわが身とも思って 早急にメッセージを出し今回罹災している奈良県を救助してほしい!

メッセージは、関西広域連合には参加するな! です。

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