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2010/11/21

「大魔神の精神史」を読む

日曜日に、うだうだ論じるのも疲れるので、先日読んだこんな本の紹介。ただし、書評じゃないよ。

この本のタイトル、本屋で見かけたとき、なんかくすぐるものがあるので、購入した。

大映の映画「大魔神」「大魔神怒る」「大魔神逆襲」の三部作を論じたもの。

たしかに映画「大魔神」は好きだった。大人になってからもビデオで見ている。だが、この映画そのものは、1966年のたった1年間で3作も作られた、いわば粗製濫造?的映画なのである。しかも、その後はパッタリと打ち切られて作られることはなかった。

にもかかわらず、今に至るまでその名が忘れられることはなかった。それどころか、その変身シーンはコントにも使われ、野球選手の愛称になり、最近では「大魔神カノン」という、よくわからない番組まで作られている。

ただ本著は、映画が作られた背景を語る部分はあるにしろ、実は文字どおり「精神史」を論じている。大魔神は古代のアラカツマであり、ダイダラポッチとの関わりを語り、日本の神話世界を訴え……ここまで深読みするか! という代物であった(笑)。

ただ私には、「山の世界」を舞台にしているという点で魅かれた。

この映画は、ガメラやゴジラ全盛の時代に、舞台を戦国時代に移し、怪獣ならぬ巨大石像の怪物を持ち出した点では斬新だ。

大魔神そのものは、背の高さ4,5mとさほど大きくない。しかも3部とも別の話で連作でもなかった。だが、共通なのは、山里が舞台で、農民は登場しないこと。しかも作られた年代は、高度経済成長が始まったばかりで、まだその前の山村の姿を映している。

まあ、山里の民の仕事は、鉱山などで林業的なものは描かれていないが、なかなか平地の民ではない生活が再現されていたように思う。その点からも、類似作はないように思う。

また、DVDで見直そうかな。

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