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2010/12/08

デイケアサービスの思い出資源

先日訪れた某山村。そこに旧家を改造したデイケアサービスのNPOがある。

実は、そこで講演を頼まれた。

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その講演は、おそらく私にとって記録的であった。聴衆の年齢が。
スタッフを除くと、おそらくほぼ全員が60歳以上で、大半か70歳以上、そして最高齢は92歳だとか。

そうした相手にまちづくりを説くのは至難の業だ(笑)。

そこで「まちづくりの前に……」と題して、地域の元気とやる気を出す方法として、地元学の話をした。いかに普段の何気ない自分たちの住む家や地域や自然、歴史、文化……が資源であるか、それを発掘することで「自慢」ができ、元気をつくるか……。

「調査なら、(学者によって)すでに行われた」

という会場の反応もあったのだが、いやいや調査結果を求めるのではなく、手段なのですよ……自分たちでやる過程で自分たちに力をつけるのですよ、とまた辛抱強く説く(~_~;)。

すると、デイサービスの拠点とした古民家は、少なくても築250年は経っているそうだ。昔の村長の家で、旅籠屋や庄屋などもやっていたそうだが、5つの釜をおけるおくどさんが残るという話題が出た。これほどの規模は、そんなにないらしい。さらに、どこそこの柱には刀傷があるという。そして家の前の道は、昔の伊勢街道だという。わずか数10メートルだけ痕跡が残されている。

ほかにも、記憶の中には、いっぱいの貴重な情報が隠されていたのだ。

そこにNPOの理事長であり、デイケアサービスを始めた人が
「毎日迎えているお年寄りの皆さんは、本当に面白い昔の仕事や遊びや出来事の話を聞かせてくれるんですよ。しかも話が上手くって」

おおお、と思った。そうだ。聞き取りにいかなくても、毎日向こうからやって来る(笑)場所があった。地元学と言っても、こちらから出かけて地域を歩く方法ばかり紹介したが、向こうからネタを持ってやってきてくれるところがあるのだ。それを聞き取り記録を取れたら、どんなに貴重な情報を得られるだろう。

一人一人の思い出話は、とるにたらないことでも、数を集めたら力になる。デイケアサービスが民俗学の拠点になったり、村の情報ターミナルにある可能性だってある。

その話を聞く方は、地元学として地域を元気にするネタを集めることができる。
話す高齢者は、話を聞いてくれる人がいることで元気になれる。

デイケアサービスを通じて、すごい資源を発掘できるのではないか。

それを、思い出資源と名付けよう。

単なる感傷として昔話を収集するのではなく、学問の素材として聞き取りをするのでもなく、役立てるために。資源として。そうした情報を利用する手だてを考えられないだろうか。

お年寄りに将来の地域づくりを考えてもらうのは大変かもしれないが、お年寄りこそ地域づくりのネタの提供をしてくれる大変な資源であった。

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森林資源」カテゴリの記事

コメント

姨捨山の昔話のようですね。

こんばんは

>ほかにも、記憶の中には、いっぱいの貴重な情報が隠されていたのだ。

山村域の方がたは、「こんな、何も無い山ん中」と言われるのですが、そこで暮らして来たが故に、貴重さに気が付いていないんですよねぇ。
知らないふりして、「あそこに古い橋があるみたいですが・・・」と、話しの水を向けると、出るわ出るわお宝ネタがは、私も経験あります。

デイケアセンターの情報集積地化かぁ、面白いかもしれない。

この村では、うば捨て山話も何通りもあるんですよ。少しずつ違うところがミソ。

情報を集めて、それをいかに利用するかを練る必要があります。単に記録するだけでは、数多ある「調査研究」と変わらない。生きた智慧にしたいのです。

田中様

おはようございます!
12月10日(金)京都新聞4面に掲載されたお顔を拝見して、驚きかつ嬉しく思いました!

「循環型社会を築くためのさじ加減」と題する記事は、いつもの田中さんの記事とは違い、すこしばかりまろやかな内容でしたね(笑)

最後の文章、「野放しでも過剰利用でもなく、そのさじ加減を田上山から学ぶべきだろう。」という表現は、穏やかですね。

いつものように分かりやすい文章なので、本学の学生達にもコピーして配付しますが、ご許可頂けますか(笑)

新聞記事を読んでいて、いつも分かりにくい内容に閉口している老人には大変分かりやすい表現なので、一言感謝に気持をメール致しました。

今後のご活躍を心より期待しております。

京都のしゃべり過ぎ爺より

私は、穏やかな人柄ですよ、いつも(笑)。
滋賀県・京都府に関わる記事をと心がけたのです。
ついでに奈良の宣伝も……(⌒ー⌒)。

配布の際は、写真部分を外してください(^^;)。

田中様

穏やかな人柄が、お顔に表れていますね。

配布のときに黒塗りにするとかえっておかしいですよ。
奈良の宣伝から始まり、滋賀、京都と進めるあたりは憎いですね(笑)

黒塗りがおかしいんなら、目伏せかモザイク(^^;)。

「思い出資源」、良い言葉ですね。ぜひ引用して使ってみます。一度聞くだけなら本当に面白そうですね。毎回同じ話だと、聞く根気があるかどうか、こちらが試されるわけですね。

たしかに(笑)。同じ話を繰り返し聞かされる恐怖は、私も経験ありますので。しれは鍛練が要ります。それとも、才能かな。

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