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2010/12/15

クニマスと諫早湾で「時間」を考えた

今日は、大きなニュースが二つ。

一つは絶滅したはずのクニマスが西湖で発見されたこと。これは、70年前に移入したクニマスの子孫らしいが、本家(田沢湖)で滅んだ種が人為的に持ち込んだ場所で生き延びていたわけである。

本家が滅んだのも人為的な工事のためだが、今回命脈を保てたのは、生物の移植という人為が種を救ったことになるか。西湖に運び込まれた当時は、クニマスも西湖の生態系の中では移入種であり、忌むべきことだったのかもしれないが……。

しかし、70年間分家(西湖)で血統を守ってきたクニマスは、もはや西湖の種だろう。西湖の生態系に馴染んでいるはずである。

実は、同じような例はほかにもある。

たとえば淡水魚ニッポンバラタナゴは、野生の純血種が絶滅寸前で、大阪の八尾市のある池にしか生息しないというが、実は生駒山の溜め池や、奈良公園の池にもいる。あきらかに人が持ち込んだらしい。池だって人工的に作った溜め池にひっそりと命脈を保っている。一部はタイリクバラタナゴと交雑しているというが、純血種も見つかっている。

時間が人為を自然に変えた、馴染ませたような気がする。

もう一つのニュースが、諫早湾の干拓地の排水門の開門が決まったこと。

私も諫早湾のギロチンが下りてから現地を訪ねたことがあり、干拓地を長靴で歩いた。水門を締め切ってから何カ月かたってからだったが、干潟は干上がり固まりつつあった。それにしても歩いても歩いても、泥の海。広いなあ~というのが印象だった。

当時の官直人議員が、民主党が政権取ったらすぐ門を開けるというのを聞いていたが、政権奪取後1年遅れくらいでようやく開門が決定したことになる。実際に開けるまではあと1年以上かかるらしいが。

私は、基本的に開門に賛成だが、締め切ってから10年以上立つだけに、開門したからと言って以前の海の生態系が取り戻せるとは思えない。むしろ、汚れた淡水が海に流れ出すことで、海の生態系も攪乱かねない。それが、逆に魚介類に被害を与える可能性だってある。
干拓池にも、おそらく新たな生態系が成り立っているだろう。開門は、それを破壊することでもある。

北海道の標津川では、何十年も前に湾曲した川筋を直線化した工事が行われた。そのため人工的な三日月湖がたくさんできているが、そこに珍しい陸封型イトヨが見つかっている。回遊魚であるイトヨが狭い三日月湖に閉じこめられたことで、形態が変わってしまったのだ。川を再び屈曲させる工事を行う際に、三日月湖をつないで川筋にしてしまうと、陸封型は滅ぶことが心配されていた。

ここでも、時間が人為を変えて新しい自然を作っている

そんなことを考えているうちに、野生だ人工だと区別するのが馬鹿馬鹿しくなるのである。

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コメント

東京の葛西臨海公園の沖にある人工渚に生物(肉眼で確認できる)が戻ってくるまで10年掛かったと聞いたことがあります。

でも、干潟のチカラはとても強い、多少時間は掛かっても
かつての豊かさはきっと取り戻せると思います。

 本当にクニマスの発見には驚きました。
生物多様性何とかと騒いでおりますが、生態系を壊すのは人間のすること。
政の中枢に居られる方々に僕の愛読書「釣りキチ三平」を進呈いたします(笑)

長い目で見れば、干潟は甦るでしょう。

問題は、それを人間側がちゃんと待てるか、かな。2、3年たっても海の状態が悪いままなら、「効果はなかった、また水門を閉じろ」という声が強まるような気がする。

生態系を壊したとき、そこには新しい生態系が生まれます。それを許容するか、全部元にもどそうとするか、悩ましいでしょうね。

田中先生、先日のご来熊、誠にありがとうございました。農業界には、馴化(じゅんか)という言葉があります。外来種やF1種であっても、数年間の自家採種で固有種に成り得るそうです。
また、琵琶湖の陸封型鮎(通称・小鮎)という例もあります。
僭越ながら、ご参考までに書きました。m(__)m

ほお、F1でも自家採種できますか。
植物って、想像以上にタフですからね。

隔離などの環境変化では、別種になるとまでは言えなくても、案外簡単に変種や新たな生態型が生まれるものだと思います。

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