快食療法~足るを知る
前回はキリスト教的なことを記したから、今度は仏教的なこと。と言っても、取り上げたいのは「中庸の精神」(^o^)。仏教というより、儒教的な中国思想かもしれない。
実は、この言葉を知ったのは、高校生時代に読んだ「失われた地平線」(ジェームズ・ヒルトン)であった。このイギリス人が書いた小説には、チベットの奥地にシャングリ・ラと呼ばれる秘境の桃源郷が登場するのだ。そこで出会ったラマ僧に諭された言葉が「中庸の精神」。実は、このラマ僧の正体こそがシャングリ・ラの秘密でもあるのだが……。
う~ん、ヨーロッパ人に東洋思想を教わるとは。
でも、それで気になって、時分なりに仏教書なども読んだわけだが、なんでも極端に走ることなく真ん中、という精神こそが人にとっても社会にとってもよいという考え方だ。
なかなか、この域に達するのは難しいかもしれない。だいたい、どこが中庸なのよ、真ん中なのよ、と思ってしまう。それを知るためには一度は極端に走らないといけないかも……。
ところで「快食療法」というのを御存じか。
「脳疲労に克つ」(横倉恒雄著)に記してあるのだが、ダイエットに関して、たっぷり、心ゆくまで食べる、快食療法を提唱しているのだ。
簡単に言えば、食べ過ぎによる肥満は、脳疲労から起こる。それは、食べすぎちゃった、と思うことが脳にストレスとなって、健康に悪く太る元、そこで思いっきり食べるとダイエットができる……という画期的な説(^o^)。
だから快食療法とは、「お腹のすいたときに食べること」「好きなものを食べること」「楽しく食べること」「心ゆくまで食べること」である。ケーキが食べたければ、満腹するまで食べる。時間も量も考えずに食べる。ただし食べてしまったという罪悪感を持たない……というところにポイントがある。
すると、ある程度までは食べ続けるし、また太るのだが、完全に脳が満足したら、ピタリと食べたくなくなるのだそうだ。ストレスを除くと、本当に身体が必要な分だけ、必要な栄養素のものを食べたくなるという。
かくしてダイエットに成功する、、、というより、理想的な健康体になるそうだ。
私は、果たして快食療法で痩せることができるかどうかはわからない。が、人間って、本当に満足すると、欲望は減るのではないかと思っている。その点で「脳疲労をしなくなれば、食べる量が落ち着く」という考え方には共感する。
まさに快食という名の極端に走ることで、中庸の在り方を知るのだろうか。
こういうのを「足るを知る」というのではないか、と思いついた。これも「中庸の精神」と同じかもしれないと。
人間の欲望は果てしないというが、実は脳が疲れているだけかもしれない。だからストップかける機能が弱っているのだ。逆に脳を休めることで、欲望を制御できるかもしれない。
では、どうやって休める?
シャングリ・ラに行くことかもね。森の奥深くの。
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た、田中先生、まさかの宗教団体設立ですか?ぜ、是非とも私を、筆頭信者に!(笑)
投稿: 中村和彦 | 2010/12/26 18:29
♪森へおいで 森へおいで ぼくはきみを泣かせない
♪森へおいで 森へおいで きみを不安にさせない。。
やはり、森へ行かにゃならんですね。
投稿: 熊(♀) | 2010/12/26 18:33
ふふふ。私、カリスマ的リーダーを嫌いと書きましたが、私がカリスマになるのならいいんです(⌒ー⌒)。
単に命令されるのがイヤ、命令したいだけ…なのがバレたか。
宗教団体設立して、御布施集めて、その金で森を買い占めるのはどうだろう。外資に買われる森を救済するのです、とかいって。大面積になったら、ばっさばっさと伐って木材売り飛ばす。新たな聖地をつくるためと、予言があったからと。
投稿: 田中淳夫 | 2010/12/26 21:20
楽して儲かりそうなので、私もぜひ宗教団体に入れて下さい。役員でいいです。
投稿: 沢畑 | 2010/12/26 23:12
沢畑さんを、教宣部長に任命します。しっかり、信者を集めてください!
一人毎月1万円の布施を取れば、1000人の信者で1000万円(税なし)です。森林をどんどん買えます。
投稿: 田中淳夫 | 2010/12/27 00:10
では信者を集めますが、お布施1万円/人・月のうち7割くらいは歩合給でいただけるのでしょうか?
投稿: 沢畑@教宣部長 | 2010/12/27 11:23
7割! そ、それは阿漕だ!
そもそも御布施に歩合給とはなんぞや。
ばちあたりモンめが。じ、地獄に落ちるぞ!
森に奉仕しなさい、森に。ほほほほ。
投稿: 田中淳夫 | 2010/12/27 11:32
すみません、歩合給は書き方が悪かったですね。教宣部長→教祖様への上納金は5割でどうでしょう? 筆頭信者の中村君は早くお布施を私にして下さい。
森への奉仕はそこそこやっていることをすごくやっているように見せかけているので大丈夫です。
投稿: 沢畑@教宣部長 | 2010/12/27 12:34
こ、これは・・・
「森林教」でいいんでしょうか。
それとも、違う名前でしょうか。
投稿: 熊(♀) | 2010/12/27 17:45
5割か。それくらいで手を打ちましょう。
中村君、ちゃんと御布施を払うのですよ。で、私にもキックバックを…もとい、上納金を早く送るのです(^o^)。
すべては森のためです。森こそ人類の守護神なのです。万物をすべるのは森なのです。
名前? 神の思し召しのまま……公募しようかな。
投稿: 田中淳夫 | 2010/12/27 22:26
今回の書き込みの内容にちゃんとした感想も述べますね。
私にはほしいモノは今や何もありません。車もコンピュータ(アップルのかっこいいやつ)も防水携帯電話もテレビもハードディスクプレーやもiPodもデジカメもあります。服も3年くらい買わなくても大丈夫でしょう。
物質的には「足を知る」とはこういうことであろうと思います。子供の時、次々と新しいモノが家庭に入ってきた頃に比べると、刺激は少ないですが、悪い暮らしではありません。
やっぱりそれくらいまで行き着いてからでないとダメかも知れませんね。「衣食足りて礼節を知る」の通りだなと思います。
投稿: 沢畑@まじめモード | 2010/12/28 01:01
防水携帯電話もテレビもハードディスクプレーやもiPodも、持っていないなあ……。私は、まだ満ち足りていないのかもしれない。
でも、さほど物欲が湧かないのは、新しい刺激そのものを求めなくなった、老成したのかもしれません(^^;)。
投稿: 田中淳夫 | 2010/12/28 09:24
>防水携帯電話もテレビもハードディスクプレーやもiPodも、持っていないなあ……。私は、まだ満ち足りていないのかもしれない。
でも、さして欲しくないでしょ? というか、無くても生活が充実しているでしょうから、満ち足りていないことはないと思います。
ところで
>すべては森のためです。森こそ人類の守護神なのです。万物をすべるのは森なのです。
ということで、教団は「森含宗(しんごんしゅう)」ではいかがでしょう?
投稿: 沢畑@物的充足 | 2010/12/29 21:38
森含宗……。いいですね。
でも、某宗派からクレームが来るかも。
オウム森理教……これは危険すぎるか。
投稿: 田中淳夫 | 2010/12/29 22:11