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2011/01/30

粗放だから1400年続いた

昨日書いた、一昨日の会議の話続きだが、取り上げた京都の山国林業は、日本でもっとも古い持続的林業地ではないか、と指摘した。

正確には、滋賀県湖西の安曇川流域(現・高島市)も同じぐらい古いのだが、ようするに平安京の建設前の時分から木の切り出しをやっていて、それが今も続いている林業地なのだ。

古さだけで言えば、藤原京・平城京を建設する資材をだした伊賀・甲賀の方が先だと思われる。実際、文書に出てくる「甲賀山」とか、考古学的に664年に伐採されたことが確認されている甲賀杣の方が古い。さらに飛鳥時代の建築に使われた木材は、おそらく大和川流域(金剛山から生駒山、さらに大和高原まで?)で採取されたと想像できるから、もっと古い。

だが、これらの地域では、早い時期に木を伐り尽くして林業を廃業している。その後は荘園となり、農業生産に切り替わるのだ。

では、なぜ山国地方や安曇川地方では、今に至るまで木材生産が続けられたのか。

この点については、専門家も交えて検討する必要があると思うが、私は大雑把に小規模農民的林業として成り立ち、粗放施業だったからではないかと推測している。

京都という安定した大消費地への木材供給を担う一方、薪などの林産物や農産物などの生産も担うことで多角化経営が行われた。そのおかげで安定した経営が行えたことで、土地所有者も安定した生活が送れた。それが山林の売買を抑え、大山林主の発生を抑制した。

一方、山林の集積が行われなかったことで、資本投下が進まず、新規技術を取り入れるなどの積極的経営も進まなかった。結果的に粗放になったのではないか……。

実は、会場に山国地方(京北町)の山主さんが来ていて、この「粗放的林業」という言葉が心外だったらしい(^^;)。しかし、隣地に当たる北山林業や、吉野林業の精緻な林業技術に比べると、やはり粗放と言わざるを得ないし、より利益を上げようとか新技術を取り入れようという意識が低かったように感じる。

ただ、ここで「粗放」という言葉の語感が悪かったのは仕方ないが、悪い意味で使ったのではない。むしろ、粗放というのは合自然的施業と思っているのだ。

そして、肝心なのは、合自然的だから(粗放だから)1400年間、山は守られたと考えている。いわば恒続林のように、扱われてきた面があるのだ。

吉野林業は、ざっと500年の歴史を誇る(その前の天然林伐採を含めても600~700年だろう)が、森林を持続的に使うということでは300年くらいで、完全に持続し続けるかどうかは今後の経過を見なくてはならない。

そう考えると、山国や安曇川流域は、奇跡の林業地なのである。

ただ、幕末には京都の商業資本が入ってきて、より利益の出る林業への切り換えが始まるし、戦後は全国一律の林業技術の普及が進められた。結果として、現在の山国地域は、植える本数から施業方法まで、たいして特徴のない林業地となっている。

山主さんは、「粗放じゃない、ていねいに育てている」と反発していたが、それは戦後の施業方法である。そして、粗放じゃなくなったから持続的かどうかわからない……。

ちなみに、現在の日本の林業をリードしている日吉町森林組合は、山国地域とは少しずれるが、同じ大堰川流域にある。

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コメント

山梨には「ほったらかし温泉」という温泉があります。

粗放林業=ほったらかし林業、これも悪くないですよね。
部分的には。
今は残念ながら「ほったらかし」が多すぎますね。

がんがん出材してビジネスとして推し進めていく林業、
自然にありのままにちょこっと手を入れるほったらかし林業。

林業多様性オフセット!!

粗放=ほったらかし、というわけではないのですが、あまり手間をかけず、効率も悪い方法だったので、それが自然に合致するのだと思います。

たとえば、植える本数が500本/ha以下だったら、間伐も要りません。萌芽更新なら植樹も要りません。

「林業多様性」か、いい言葉ですね。パクろう(~_~;)。

あ~っ!商標登録しなくっちゃ!!

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