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2011/01/29

国土のグランドデザインと林学

昨日の研究会。

私は「日本で最初の持続的林業」として京都・山国林業の歴史と位置づけについて語ったのだが、研究会のメンバーで司会役を担当した北尾靖雅氏より、意外な言葉が飛び出した。

北尾氏は、そもそも建築家なのだが、現在は京都女子大学家政学部の准教授である。

が、話していると、建築物の研究というより地域計画、アーバンデザインが専門らしい。とくにオランダに詳しい。そして面白いことを言った。

オランダは、国土の3分の2を干拓で作り上げた人工の土地。その土地を今もしっかり管理しており、農業では世界的な生産額を上げている。一方の日本は、森林が国土の3分の2で、そのほとんどは人工林(雑木林も含む)。それなのに、うまく管理されず、林業も斜陽」。

なかなかうまい比較だ。人工の土地という目で森林を見ると、国土の姿ががらりと変わる。
そして干拓も人工林育成も、国土のグランドデザインに関わるのだ。

 

実は私も、林業・林学がかつて日本国土のグランドデザインとして存在していたことを考えていた。というのも、明治維新後の日本国の在り方を考えた明治の元勲たちは、そのベースを林学に求めるのである。

岩倉具視の欧米使節団は、各国の森林政策を熱心に視察しメモしていたことが記録に残されている。そして先にヨーロッパに留学していた青木周蔵と、プロイセンの森林学校で学んでいた松野礀を招く。青木は、松野に林学を学ぶよう勧めた張本人である。

松野は、留学費用を打ち切られないよう、必死で林学の効用を説いた。それを聞いた大久保利通は、机をばんばん叩いて感激し、林学こそ、国家デザインの基礎であると感化されたのである。そして帰国すると、すぐに山林学校を開校する。

……というわけで、明治に林学は国土のデザインの理論的支柱になりかけたのだが……残念ながら、どこでどう狂ったのか、いつしか廃れてしまったようだ。

ただ私も、改めて林学の理論や技術を応用し方国土計画を作れないかと思っている。森林を抜きに日本の国土は語れないのなら、林学抜きに地域計画は無理なのだ。

ところで、北尾氏の口から唐突に出た言葉が、「森林美学を学ぼう」であった。

ええええ??? 森林美学~う?  「美しき森は収穫多き森」を援用して、「美しき国土は、生産多き大地」になるのかもしれない。オランダは、それを実現していると言えるかもしれない。美しき景観は、高い農業生産額に通じている。
ここでいう森林美学は、森林管理とか林業経営とは一味違うものであったが、建築と国土計画に森林美学の発想をどのようにクロスさせるか難しいが、興味深いぜ(⌒ー⌒)。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

明治にそのような発想があったのに、残念な今ですね。
そもそも国民のどれくらいの人が森とかに関心あるのでしょうか?
こちらのブログを知れた私はラッキーです。

森に興味を持つ人は多いですが、真正面に向かい合うかどうかは微妙です(^^;)。手つかずの森を残してくれ、というだけのイメージでとどまっている人も多いのでは?

ちなみに、このブログに集う人は、私も含めて森オタクなんです(笑)。あんまり世間の参考にならない……なんて言ったら怒られるかなあ。

日本の2/3が森林だけど、ほとんどが人工林ではなくて天然林:人工林の比率は=6:4くらいですね。うまく管理されずに林業も斜陽という論旨に影響はありませんが、ちょこっと引っかかりました。

書き忘れました。森林美学、ぜひ実践してみます。うちの山は20haしかないけど。

針葉樹の用材用人工林は4割ですが、里山の雑木林も人の手で作られた森だから人工林と考えれば3割プラスとなり、全体で7割になります。その点から3分の2は人工林なのです。

森林美学的森づくりを行えば、照葉樹林でも多く収穫できるかもしれませんよ。

国家と林学、更には森林美学ですか。誠に興味深いですね。ふと思ったのですが、日本は日露戦争からおかしくなったのではないでしょうか?
さて余談ですが、私は以前ある公の場で「森林哲学とも言うべきものを構築したいです!(キリッ!)」と放言し、会場の気温を2℃くらい下げたことがあります。(笑)
さすが明治の元勲は、とっくに国家のグランドデザインという視点を持っていたのですね。さて、平成の政治家は・・。

おそらく明治の元勲も、森林哲学まで考えていなかったと思いますよ(^^;)。ただ、五里霧中の新政府運営の中で、森林政策が使える、と思ったんでしょうね。林業が国家や地方の財政を支える期待もあったし。

ヨタヨタしている菅政権ですが、かろうじて計画どおり進んでいるのが森林・林業再生プランかもしれません。票にならない林業に力を入れている点は評価して上げてもいいんじゃないかと(^o^)。

そうですね、興味にもいろいろとありそうです^^
身近では・・みんな無関心なの!?と思うことがあって。
これからも訪問させてください^^

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