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2011/01/11

ひど~い書評『日本の「水」がなくなる日』

本屋に行った際、新著『いま里山が必要な理由』はあるかと探すが、見つからない。

で、代わりに目についたのが『日本の「水」がなくなる日』(橋本淳司著・主婦の友新書)であった。奥付けには、1月10日、つまり昨日が発行日である。

パラパラとめくって、「外資が日本の森を……」の類の本とわかる。ようは森林問題を水問題と抱き合わせた本らしい。著者は、「水と人間」をテーマに取り組み、水問題に関する本は何冊も出しているようだ。

「森と人間」というテーマに取り組んでいる私としては、うさん臭く思ったが、半分は期待?して、資料として購入。

で、あっと言う間に読んでしまった。読みやすい……というより、内容にいたたまれなくなっての速読に近い(^^;)。

予想外だったのは、「外資が日本の森を」の部分はそんなに多くなく、イマドキの噂を並べただけ。相変わらず北海道の土地が……てな調子。新聞記事をくっつけたようなもので何も新身はない。この点についてツッコミは省略。
むしろ森林問題に紙数を割いている。が、その内容がお粗末なのだ。

あまりに基礎的な森林学も知らず、林業も基本を理解しないまま、手を出しちゃった……という印象。専門であるはずの水に関しても、学問的なことを身につけていないようだ。

たとえば「保水力」という言葉も安易に使っている。

広葉樹の森の土壌はふかふかで水を溜め、人工林=針葉樹林の土地は堅く水を溜めない……おいおい、水を溜めるのは森林土壌じゃないよ。
昔は川の水が豊富だったのに、人工林をつくったら、川の水が減ったのだと。でも木が繁ったら、蒸散力が増して川の水が減るのは当然ということも知らないらしい。
また皆伐すると雨が直に地面をえぐるからいけないするが、本当に地面をえぐる力が強いのは樹冠雨の方だ。

また、ネスレのミネラルウォーターの汲み上げ問題も紹介しているのだが、そこでは「よい水を汲める場所を探すのは大変」と記す。それなら中国人も大変だよねえ。

さらにクマもシカも、山が荒れているから里に下りてくるんだと。数は減っているんだと。だから炭やドングリを山にまくのだと。

たとえば強度間伐したら、急に木が太りだしたとよいことのように記すが、年輪幅が拡がったことを喜ぶのは、林業とか、木材の価値とかわかっていない証拠だろう。

「安い外材」に圧倒され……と書くのは毎度のことなので、今更文句をいう気にもならないが、ヨーロッパのトウヒやマツを、「安いが品質が悪く集成材のような形でしか使えない」とも書く。いいのかよ……。

緑の雇用は、出稼ぎの臨時労働者で、責任感がない、とも……。1日一万円の金目当てだと。一万円ももらえないないと思うけど、かなり失礼だ。そのくせ、林業労働者は7万人まで減ったと指摘している。いやいや4万人台まで減っていますよ(^^;)。

民主党の森林・林業再生プラン批判もしているのだが、林業家の言葉として、「日本の山は人海戦術でやるのが一番」だから、機械や林道つくる金より、人を雇う金をくれ、とのたまう。本気で道なしで林業やる気?

そうそう皮むき(巻き枯らし)間伐も推奨しているよ(笑)。びっくりするのは、皮むき間伐すると、「四面無節」の木材が採れるというのだ。そして価格が10倍から100倍に上がるというのだ。へえ~。皮を剥けば四面無節(四方無節ともいう)? それがそんなに高くねえ(笑)。

ほかにも、つっこみどころ満載。森林のことだけでなく、国際情勢や歴史に関しても、オイオイの連続。一つ一つ指摘しようと思っていたが、気分が悪くなったのでやめておく。

気になるのは、取材源だ。なんと、もっとも多く登場しているのが、日本熊森協会なのである! 熊森だよ、熊森!!
あと、三重県大台町の藤原林業もよく登場する。

彼らの言葉を、そのまま紹介されて、しかも褒めちぎられてもなあ……。

付け刃の知識をくっつけまくって「緊急出版」したとしか思えない代物。よい子は買わないように(~_~;)。

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書評・反響」カテゴリの記事

コメント

か、買うもんか。
・・・立ち読みしよう。よい子だから。

でも、読んで、信じちゃう人いるんだろうなあ。
それが、ちょっと偉い人だったりすると大変だあ。

>緑の雇用は、出稼ぎの臨時労働者で、責任感がない、とも……。

著者を公開討論会にご招待してあげましょうか? 責任感はあるから、出て来ないことはないでしょうね。

よい子でいてくださいね。

ぜひ、著者に公開討論会を申し込んでください。きっと、取材した(岩手県?)林業家?森林組合で、そう言っていたもん、と応えるでしょうが。

おはようございます。

日本熊森協会は、熊さんがかわいそうという善意を利用して間違った行動をしている団体ではないでしょうか。
餌がないので里に降りて来ている熊さんがかわいそうだ、というので全国あちこちで善意(?)のドングリを撒いています。
ドングリを餌をとして撒けば、熊が喜ぶという単純な理由でこのような活動を広めていますが、困った事にこのような団体に多くの賛同者がおり、奥山を育てる会とかを組織してお金も集めています。
その理由は、奥山がなくなったのでドングリが実る広葉樹を植林すればいいいという事のようです。

植林活動に忙しいどこかの先生とも共通する、日本の森林生態系に対する無理解があるようですね。

田中さんのような森林や林業を正しく理解した方が、リーダーシップを取られる団体が必要ですね。
「日本の林業を再生する田中組」ですかね。

昨夜は、本を読んでの怒りがほとばしった記事を書いてしまいました(~_~;)。が、日本熊森協会の意見を多用しているというだけで、著者の森林・林業に対する見識や本のレベルはわかるでしょう。

田中組? 団体をつくるのはこりごりですわ(~_~;)

単なる団体ではなくて田中組長を頂点とする
林業秘密結社 田中組ですね。

押忍!! 田中組参加致します。

まずは森が荒れて困っているコビトを救いましょう!!

組長!ついて参りやす!!

秘密結社の結成を、ブログという公開の場で行う……これでいいのだろうか(笑)。

でも、組長という響き、いいなあ……。コビトを救うのも。

田中組長様?

既にこのブログのメンバーが組員ですね。
公開された結社ですから、入会金、年会費、すべて無料ですね。

日本の森の姿を、あちこちから眺めていろんな意見を言い合いましょう!

公開された秘密結社(~_~;)。
いっそ組員も、公募するとか。

使命は、正しい森林・林業知識を普及させること……というより、間違った情報に対してネチネチと絡んでイチャモンを付けること、かな。いやな性格になりそうだ(笑)。

緑の雇用出身者としては、絶対に看過出来ない書籍ですね。敢えて購入してmixiあたりで晒したい位です。討論会もいいですね。
昨日、木馬道を若者三人を連れて見学して来ました。近くサイトに上げたいと思います。

わおっ。
秘密結社が結成されている♪
ぜひ、雇ってもらおう。
女スパイ。
え、空いてない?
じゃあ、獣スパイで。

組長さま

本日予約しておいた「いま里山が必要な理由」田中淳夫著 洋泉社が届きました。

すばらしい書評を書きますね(笑)

田中さん、コメント欄盛況ですね

>それが、ちょっと偉い人だったりすると大変だあ
 熊森とは少しジャンルが違うんですが、明日は、困った学者さんの学説を信じてしまった国会議員の先生・・のお相手をせにゃならんのですわ (O.;)
この先生を放っておくと、日本中の森に炭を撒こうとなさいます(別に害はないでしょうけど)。やれやれ、気が重いっす。 

そうか・・・・書評か・・・新刊、どこかの学会誌に書評載せていいっすか?
(その前に買わなくっちゃ (^_^; )


今日は木馬道の再現に行くはずが、キャンセル。実際に木馬を挽くのは来月になりそう……。

秘密結社田中組では、スパイも公開募集しています。採用したら、顔写真付きでサイトで紹介します。今月の新人さん♪ として。熊(♀)さんは、即合格です。最初の指令は、熊森○会に潜入せよ……。

そういえば、以前名古屋の森林管理局だったか、三河の山にヘリコプターで炭まいていましたね……。これも、その先生の差し金だったのかな? 

拙著の書評ですか? いや、今回のは相補改訂版だし、その、こんなひど~い書評を書いた身としては、怖いっす(~_~;)。

学会誌というのも、怖いなあ。今度書かなくちゃ。ああ、明日はバイオマス学会の科学会議だ……。

オチが「熊森」ですか!(爆)(^^;)この一言で説明要らず
なのが、逆に凄いな~(^^;)しかし、例の「外資が日本の森を
・・・」の言いだしっぺ、安田 喜憲さん、最近気が付いたの
ですが、現在NHK経営委員会のメンバーなんですってね。
なので、昨年NHKが「外資が日本の森を」的な番組作ったのも、
関わっている可能性が高いですし、昨年、かなり問題な発言を
経営委員会でしていますね~(^^;)
NHKのHPでも見られますが、「NHKの番組を見ていないと就職
出来ないような法律を・・・」とか・・・・(^^;)
 そろそろ、安田さんも「監視」対象にしたほうが、いいかも・・

田中組のチカラを使って、○HKには
「外資が日本のコビトをいじめてる」という番組を
作ってもらいましょう。

そしてコビトを救うために、正しい知識で森を守ろう!!

まずは、
撒かれたどんぐりを頂きますが、
テレビに写るときは、
食べるどころか、無頓着に踏みつける熊。
を演じてきます。

そんなことすると、虐待されたり?


安田某氏は、NHKの視聴を義務化する法案も考えているそうで……。まあ、こういう発言をしている人が、「外資が日本の森を」と訴えていることを世間は知った方が、理解しやすいでしょう。

でも、熊さんも紳士的に、ね(笑)。ドングリ食べてもいいけど、「もっと欲しい~」と人里に下りてこないで。

初めまして、中国地方トップクラスの過疎地在住、地方都市通勤者です。
アマゾンの書評って結構影響力強そうなので、どなたかフォローを(^-^;;

Amazonには、ほめた書評が載っていましたね(^^;)。

こんばんは

あ、ひみつけっしゃが、立ち上がってるぅ~
んぢゃ、σ(^^)は「中部方面ぷら箸採用麺食店にネチネチ絡むマイ割り箸小隊長」を希望しまぁ~す。

こちらでも「熊森」のドングリ爆弾が送付された、自治体支所が確認されましたが、支所担獣害当者は「どうせいっちゅうんぢゃぁ~」と、嘆いておられました。
そりゃそうだ、ドングリばら撒く暇はないもんね。
「熊鈴でも送ってくれりゃ、感謝もするが・・・」、担当者の率直な感想です。

うわ、この著者にリツイートされた。。怖いよう。

ひゃ~、私に波及させないでくださいね……(~_~;)

まっとうなご指摘ですね。
橋本淳司氏は自称ジャーナリストという程度。とんでも本ばかりです。
彼の水問題の著作はデータの取り扱いが専門家ではまったくありえないような使い方をします。いっていることもどこかの焼き直しばかり。自分自身の力では何もいえない人です。水問題の専門家のあいだでは彼の本のおかげでたいへん迷惑を被っていますので、煙たがられています。
なぜ本が出せるのか不思議で仕方ありませんが、出している出版社もあやしいとこばかりですからね。
いずれにせよ、このように専門家の方からまっとうな指摘があることは世のためになります。

水問題の専門家ですか。
まあ、私が言うのもナンですが、いい加減な知識を振りかざすジャーナリストは多いです。マジメに取り組んでも間違うのに(^^;)、いい加減だと、「間違う力」全開ですね。

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