無料ブログはココログ

本の紹介

« 書評「日本林業はよみがえる」 | トップページ | 現場と大局 »

2011/02/03

AFCフォーラム・湯浅勲氏の提言

昨日紹介した「日本林業はよみがえる」の梶山氏は、森林・林業再生プランの作成を主導した人物だ。そして、彼の理論の実践的な支柱になっているのが、日吉町森林組合。ここの湯浅勲惨事の改革と言ってよいだろう。

この二人の関係はなかなか面白いのだが、それはさておき、湯浅氏は、どちらかと言えば、森林・林業再生プランを作る(提案する)側の人だったと見るべきではないか。

ところでAFCフォーラムという雑誌がある。日本政策金融公庫の農林水産事業本部が発行している機関誌なのだが、かなりレベルが高い。そして毎年2月号が林業特集だ。
そして、今年の執筆者の一人に湯浅氏がいる。そのタイトルが、「林業再生に向けた現場からの提言」。何を記すか興味が湧くだろう。

ところが、内容は、一言で言えば、森林・林業再生プラン」に目を通して、手放しで喜べないという。そして、3つの視点から問題を指摘している。

一つ目は、天然性林のこと。天然性林とは、いわゆる雑木林、里山林のことである。こちらの森林も人の手が入らないことで荒れている。その森林に対する対策が触れられていないということだ。

ただ、これは再生プランの目的が違っている(とはいえ、「森林の多面的機能を発揮」することは記しているのだが。)から、とりあえず置いておこう。

第2は人工林のことだが、その多くは間伐しても間伐材として使えそうにならない木が多いこと。ところが、今回のプランでは伐り捨て間伐を補助の対象から外されている
また伐り捨て間伐をしなければ、間伐速度が落ちる(現在の3分の1か4分の1)ので間伐そのものが手遅れになることを心配している。

私は、伐り捨て間伐補助金に関して、実質的に抜け道が用意されているので気にすることないじゃない、と思う。そして、間伐についてはいろいろ考えねばならないが、経済林にするつもりがないのなら、無理をしなくてもいいという立場だ。ま、この点については反論も多いだろうから先延ばししよう(^^;)。

そして第3に指摘したのが、現在行われている研修内容だ。あまりに知識詰め込み型で、実践経験のない講師がいることを憂えている。また研修生とのレベルの乖離とか、人材育成のシステムを心配しているのだ。

実は、もっとも共感したのが、この点だ。私も又聞きながら、今の研修、ちょっとおかしくない? と常々思っていた。そして、実は同じことを梶山氏も「日本林業はよみがえる」でも書いていた。とくに、いくら現場の人を教育しても、その上司(森林組合などの幹部)が全然わかっていないと体をなさないことも。

さすがに湯浅氏は、そこまで書かないが、今のままでは本当の林業の人材育成は難しいだろう。

森林・林業再生プランを主導した二人が、揃って人材育成研修の危うさを指摘するなんて、どうなってるんだ? 結局は研修を企画する組織自体が、何もわかっていないということか。ま、林野庁のことなんだけど(ーー;)。

というわけで、タイトルとは違って「提言」ではなく、心配ばかりが並んだ再生プランであった。

« 書評「日本林業はよみがえる」 | トップページ | 現場と大局 »

政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

田中様

お久しぶりですが、わたしも梶山恵二氏の著書を読ませんて頂きましたが、湯浅氏と田中さんが指摘される通りの事を、心配しております。

林業の実践が出来る人材養成をしなくてはならないのに、理論ばかりの研修では、まるで机上の空論ですね。
そんな内容のない研修に税金が投入されるのでは、官僚の作文だけが優先して、日本林業の再生は困難となります。

もっと、湯浅氏の心配が杞憂に終わらないような、実質的な政策提案がされる事を心から希望します。

私ごときが心配しても始らないかも知れませんが。

この記事の最後にもあるのですが、再生プランは今後の運用の中で現実と齟齬が出たら、どんどん修正していくべきとしています。まさに、それこそが提言です。

林業は、地域性が強く、それそれの場所で最適の方法を模索するのが正しい。まさに現場に聞くことです。
最初から完全なものはできないと認めて、真摯に修正しながら完成させてほしいですね。

いつもは割りばし関係のコメントですが、今回は林業の現場の者としてコメントを。
再生プラン、大きな骨子としては賛成します。しかし現場レベルに降りてくる23年度以降の補助金システム(補助金に頼るのが良い悪いは置いといて)は現場の実情を知らないとしか言いようがありません。
なぜ各都道府県レベルで柔軟に補助の仕組みを作れるようにしないのか。
人材育成についても?です。フォレスターにおいて、かの国の人物像を知れば知るほど、転勤移動のあるAG等を当面それに当てるというお考え、疑います。
そして、田中さんがよくおっしゃるように、都会から転職して田舎に住むものとして、山村のあり方についての記載が欠如しています。
そんな思いから昨年、林業現場人会議と言うものを行いました。
現場のみなさん、いろいろおかしいと思うとことは、県、国に言いましょう。上がってこない声は、ない声と同じと思われてしまいます。

私も、再生プランを全否定するわけではないです。ピタリとツボにハマる林業地もあると思いますよ。でも、そうでないところも多い。ようは全国一律ではいけないのです。林業多様性(c)が必要です。

話題のフォレスターには、行政のAG職(林業普及員)を当てようという件は、噴飯ものですね。なんだ、公務員の天下り先づくりか、と。もし、どうしてもというのなら一生転勤できないようにすべきでしょう。

>林業多様性(c)が必要です。

早速お使いお頂き有難うございます。(^_^)
クリックの度に林業の補助金へ付加されるシステムに...
なんて無理かなぁ~。

はい、使わせていただきましたm(_ _)m。

課金システムは難しいなあ。

そうかあ。
2月は林業特集なんですね。
去年のは、確か田中さまのが載ってた。。
今年のも読まねば。

あ。実は林業マニアですのよ。(^_^)

林業マニアって……仕事じゃなくて? それは困った(笑)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/50765187

この記事へのトラックバック一覧です: AFCフォーラム・湯浅勲氏の提言:

« 書評「日本林業はよみがえる」 | トップページ | 現場と大局 »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

森と林業と田舎