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2011/02/19

立木法と立木トラスト運動

村尾行一氏(愛媛大学名誉教授)の著作に目を通していたら、吉野林業について記した項目で、「立木一代限り」の契約に触れていた。外部の資本家が、山林の立木権を購入するのだ。そして造林から伐採-販売まで行い、それで権利を失う。地元の人にとっては、外資を導入して、でも土地を取られずに済むわけである。

これが借地林業とも言われる吉野式の所有権と利用権の分離につながる。ようは、森林所有(土地)と、立木の権利を分けることを意味する。

そして明治42年には立木法まで制定されているのだそうである。立木を土地とは別に別個に登記するのことができることを示している。

この法律は、まだ生きているという。すると、今でも立木法に基づく所有と利用の分離はできるのではないか。森林所有者から立木権を購入して、保育と伐採・販売まで請け負うのだ。森林の証券化にもつながるなあ。
いっそ現代の外資(外国の資本家)にも、立木権を売ったらどうだろう。一代限りで権利は消滅するのなら、「水源を取られる」なんて心配しなくてもいい。あるいは土地の所有権を譲っても立木権を地元に残しておけば、勝手な開発はできなくなる。外国人土地法案なんて、危険な枠を作らずとも、阻止できるはずだ。

実は、この立木法を楯に、ゴルフ場などの森林地域の開発計画はすでに幾度も反対されてきた。反対運動当事者が、立木を購入するのだ。いわゆる立木トラスト運動ということで、権利者の分散につながり、開発をストップさせるのに大きな力となった。

そうか、立木トラスト運動の法的根拠は、明治時代の吉野林業にあったのだ!

と感じ入っていたのだが、村尾氏、「余談の余談」として、開発計画に立木法を利用して阻止する智恵を授けたのは、「筆者である」と記していた。おおお、立木トラストのアイデア提供者でもあったのか。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

報道で、中国資本が、日本の山を買いに来ているというのを見て、気味が悪いです。先の見通しをちゃんとたてて、早急に対処してほしいです。

まあ、気味が悪いのはわかりますが、日本人の森林経営だって気味の悪いケースが山積みなので(笑)。騒がれているほどたいしたことではありません。多分、中国人はババをつかまされるんじゃないかな。

所有者の不明な不動産は行政が収容できるようにすべきという議論がありますが、立木トラスト地もうやむやのうちに含まれそうな予感。所有者管理とか杜撰そうだし。

そうか、反対運動の盛り上がっている時に収得した立木権は、その後所有者も忘れて放置してしまう可能性がありますね。よほど管理を行き届かせないと。

村尾氏とは同時期に在籍したのですが、全然学校においでにならなかったので、一度もお会いしないままでした。助手共闘の闘志で恐い方、というイメージがありました。

立ち木トラストの発案者とは知りませんでした。何か使い道がありそうな制度ですよね。

>立木法&まだ生きている!

 現行法で「十分規制」可能なのに、その点は報道せず、
ただ危機を煽ってより厳しい法律や条例を制定する側の人間
は、大抵「愛国心」とかを利用して自分たちの自尊心や「利権」
拡大に動きたがるのは、あれは病気ですかね?(^^;)
 正直、某〇〇組合の裏金等、生々しい事を知っていると、
田中さんのお話の通り、日本人にとっても「山の世界」はまさに
「異界」(爆)不透明なので、まずは透明化や改革。ヒステリック
に「外国人」に反応する前に、自分の襟を正すのが、まずは先
ではないかな~(^^)
(マジに「納期を守らない山主」に「使えない丸太」などの酷い
目にあうと、もう、日本のマスコミなんか、「大本営発表」としか
思えないですわ~(^^;)>TVや新聞の「林業ネタ記事」)
 あと、他の分野でも「みょうな右傾化」とか、「おかしな規制」
などを声高に叫ぶ「一部の人々」が顕在化してきていますので
心配です・・・今こそ、本当の歴史教育(右でも左でもない)が
必用かもしれませんね。
(このネタは10日前の田中さんの「wedge再び、「外資山林
買収」」記事が一番参考になりますね~
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2011/02/wedge-355c.html

村尾氏の著作には、私も大きく影響を受けています。が、本人に会うと……なかなか○○い人ですね(笑)。

それはそうと、立木法をもっと利用できないかなあ。危険な開発を止めるのもだけど、膠着した林業経営を打ち破るツールにもなるような気がする。山林の買収が難しい場合も、立木の集約化なら比較的楽にならないか。

世間の人は、森林・林業に妙に甘いというか、優しいけど、本当は当事者にしっかりしてもらわないといけない。ツールやアイデアを提供できる人はいるのだから。

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