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2011/03/21

木材の震災需要を逃すな

昨日のシンポジウムは、京都の清水寺大講堂という贅沢な場所で行われた。

とてつもない観光客の波に圧倒されながら(~_~;)、せっかく訪れたのだからとわずかな時間で見学。が、本堂に入る轟門のところで見かけたのが、この建物。

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轟門の横にあるのは、おそらく朝倉堂ではないかと思うが、現在修復工事中である。

実は、このシンポジウムの前に、この修復工事現場を見学するツアーが催されているのだが、私は参加していない。

で、こっそり、中を覗いた(~_~;)。いや、覆いの隙間からである。すると、

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おや、工事現場の足場は丸太ではないか。以前は細い間伐材の大きな需要先の一つであった建築足場がここで使われているのだ。

さすが、伝統建築物のお寺としては、修理も古式ゆかしき足場を使うのか(笑)。

いや、笑い事ではない。建築足場需要は、かつて林業の大きな採算要素だった。ときには太い建築材より高く取引されたという。これで植林や下刈りなどの経費は全部賄えたのだ。

それが金属パイプの足場に取って代わられたことが、今の林業没落の始まりではないかとさえ思うほどだ。もう一度復活させることを考えてもいいのてはないかなあ。

とはいえ、写真はやはり「古式ゆかしき(笑)」番線で組んでいる。が、これでは今の建築職人は使いたがらないだろう。針金で固定するのは結構技術がいるし、下手なやり方では安全性の面でも不安がある。

せめてボルトを通す穴を開けておく程度のプレカットをすれば、現場も使いやすいはずだ。

話は変わるが、知り合いの棒杭製造者のところに、東北震災の復興用の土木工事に使う杭が、10万本の注文が舞い込んだそうだ。
ところが、とても製造できない、材料が集められない、と断ったとか……。

もったいない。いや、ビジネスチャンスを失ったというだけではない。杭の材料は、これまでなかなか売れずに困っていた細い間伐材なのだ。ほとんど伐り捨て間伐の対象である。

ここを踏ん張って杭の材料を集めたら、それはとりもなおさず切り捨てられている間伐材を有価物に変えるチャンスである。杭だけでなく、使いやすい木造の建築足場を提供できないか。それが木材需要をとりもどすきっかけになるかもしれない。

もちろん、大変なのはわかる。乾燥だってどうする? とか、製造の手間に支払い条件や引き取り価格は、輸送方法などを考え出したら面倒になるだろう。

森林組合や林業事業体と杭生産メーカーなどが組んで、大増産に挑まないのか。

東に求める需要があり、西に眠っている資源があるのなら、嵐の海を越えてでもそれをつないでほしいけどな。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

昨日はどうもありがとうございました。シンポジウム後の反省会では、震災復興と木材需要の話で盛り上がりました。(反省そっちのけで)やはり短期的な木材需要に右往左往することは、供給能力に限界のある国産材には向かないのではないかとの結論。杭何万本の注文には流石に対応できる在庫量の確保に耐力のある事業者少ないでしょう。プレファブ仮設住宅の国産材仕様の話題も出ていましたが、神戸で確立されたパネル工法の仮設住宅を国産材在来工法で、というのも今更ながら腑に落ちない。こんな状況だからこそ、短期的な需用に翻弄されない、着実な国産材マーケットに育てないといけないと思います。3階建共同住宅の木造木質化など恒久的な国産材による復興を望みます。(こんなまじめなコメントでは議論になりませんね~)

10万本の杭を、全国の森林組合が合同で間伐材でがんばって生産して欲しいものですね。

全国50の組合が、2千本の杭を作れば合計で10万本できますよ! こんないいビジネスチャンスを逃すなんて、残念ですね!

森林組合さんにその注文を流して欲しかったですね。

素人の考えですが、田中さん、いかがですか?
田中さんが呼びかけ人になり、全国の森林組合にお願いしませんか?

全国100の森林組合なら、組合当たり1000本で行けますよ!

こんなアイデアは、素人の強み?

私の考えは、高桑センセイと同じで、自分の所だけで注文を抱え込むから無理なのです。
これは割り箸などほかの商品でも起きているのですが、大口の注文があった時に自分の工場で対応できないから断る、という発想では困るんですね。仮に注文に応えようと生産設備を躁狂しても、復興バブルが終了したら持て余します。

需要があるならオール・ジャパンで対応しましょう、それが国産材全体の底上げにつながると思います。本当は全森連当たりで取り組むべきことでしょう。

仮設住宅に関しては、私も国産化は懐疑的です。危急の今、国産化は間に合わない。むしろ「撤退の農村計画」的な集団(仮)移転を頭におく方が合理的でしょう。

いずれにしても、復興のグランドデザインを早く立ち上げてほしいですね。

こちらでも約3万本の杭の話があります。
果たして調達できるかですが。

仮設住宅用資材、国産かどうかより間に合わせる方が
重要なこと。

津波被害を受けた東北沿岸地域で復興が進んだ際、
公共施設の再建も進むでしょうが、
被災者の気持ちを考えると、
昨年に始まった低層公共建造物の木造化に
ブレーキが掛かるのではと思います。

もちろん個人住宅でも。

やはり各地に声がかかっているんですね。全体で何十万本の杭が求められているんだろう。いや、何百万本?
でも、杭ぐらいは国産の木を使ってほしい。アメリカからの杭でマツクイムシが広がったケースも聞くし。

中長期的に見れば、少子化、高齢化で進む低層住宅などにもブレーキがかかるかもしれませんね。

震災需要が確実にあるのは電気です。東北電力、東京電力の供給地内では、数年間にわたって確実な需要があります。で、考えてみました。
1 供給地の青森、秋田、山形、長野、山梨、栃木、群馬には間伐されていない造林地がきっとたくさんあるに違いない。
2 これらの県には、売れ残りの工業団地がいっぱいあるに違いない。
3 造成済みの土地があれば、1,000khぐらいの木質発電所なら1年もあれば作れるに違いない。今年の夏は無理でも次の冬には間に合うはずだ。
4 同時に大量に建設すれば価格も安くなるに違いない。
5 1県20か所として140か所作れば14万KWになる。
6 今なら、髙くても東京電力が買い上げるに違いない。

さて、1,2,3の前提は正しいでしょうか?もっと出力の高いものをもっと早く作れるなら、なおいいのですが。いかがでしょう。

ユニークな発想ですね(^o^)。
たしかに電気不足は深刻ですが、それを林業に結びつけるとは……。

山から木を出して燃料にしたら、かなり高くつきますね。量も十分あるかどうか。それより、被災地の廃材を燃やすのはどうか。2~3年燃やすぐらいありそうな気がする。そして温水も供給すると、東北の暖房システムから灯油の割合を減らすことが可能になるかも。それなら採算が合うでしょう。廃材が尽きたら林地残材の可能性も出てくる。

でも、通常の火力発電所を建設する方が有効なのでは? 余震が収まれば、今停止している火力発電所も修理して稼働するでしょう。それで足りないかな。

復興ではなく、新たな社会づくりにつなげるためにも、東北をバイオマス発電先進ゾーンにするプランニングをしてほしい。

> 余震が収まれば、今停止している火力発電所も修理して稼働するでしょう。それで足りないかな。

東電によると、原発の穴を埋めるのには足りないようです。

>通常の火力発電所を建設する方が有効なのでは?
コストパフォーマンスの点ではその通りだと思います。ただ、普通のタイプの火力発電所は作るのに時間がかかって、ここ数年の電力不足には間に合わないようです。建設期間の短いガスタービンの発電機を入れるらしいですが、これも夏には間に合わないようです。


>被災地の廃材を燃やすのはどうか。2~3年燃やすぐらいありそうな気がする。そして温水も供給する

これはいいアイディアだと思います。即効性のあるのは廃材を東北や関東に今あるごみ発電所まで持ってきて、燃やしてしまうことでしょう。これなら、今ある設備を使えばいいので、廃材の運搬さえできれば、直ちに発電可能です。

被災地に作るとなると、道路を直して、資材を運んで、余震の続く中で建設するということで、かなり難しいかもしれません。仮設住宅の建設などとも競合するでしょうし。

根本的な問題は、できればこの夏までにという時間の問題ですね。

平家さん、田中さんのやりとりは大変興味深いです。

今回の電力不足の原因は集中型の電力供給システムにもあります。少数の大規模発電を作るのではなく、多数の小規模発電所を作る方が災害には強いわけです。

なので、小さめの木材発電プラントで廃材を処理というのができればいいのですが。グラップルを扱える人間を派遣する必要もありそうですね。当方の林業女子・林業おやぢなどは役に立ちそうです。

今のところ、安定した発電システムは、火力しかないでしょう。火力発電を増強するとCO2の排出が問題になるのだけど、国際公約は別として、一カ所から排出する発電所は回収もやりやすいはず。
それに火力は、木材混焼にも使えます。

一方で、分散型の小型発電システムを考えると、発電効率は落ちるから、その分をコジェネで温水供給でおぎなわないと。その点、東北は寒い冬(暖房期間)が長いから、かなり有効ですね。

ここは東北をコジェネ王国に造り替えるマスタープランを立てるべき。それこそ夢を与える効果もあります。

>分散型の小型発電システムを考えると、発電効率は落ちるから、その分をコジェネで温水供給でおぎなわないと。

これはおっしゃる通りです。
この夏の電力不足を少しでも解消するためには、効率が悪くても、早く作れる発電所が必要だと考えています。
夏の電力需要が大きいのは冷房のためです。熱中症が心配なのです。こんな事態(http://takamasa.at.webry.info/201102/article_4.html)も発生していますので。特に体育館などの避難所にいるお年寄りや乳幼児はクーラーがないと大変だと思います。

田中さんご提案のようなシステムを、ある程度規模の大きな病院や介護施設に作るといいのではないでしょうか。
こういう施設なら24時間空調を使いますし、温水もすぐに使うのではないかと思います。町中にあると木材を運んでくるのが大変かもしれませんが。
さらに、こういう施設は、沢畑さんの言われる「災害には強い」システムを、特に必要としています。
東北の病院などで、そういう施設を作るところに支援するのもいいかもしれません。

夢のある復興プランとしてのコジェネ王国構想はぜひ考えていただきたいですが、残念ながら今夏には間に合いません。
どんな方策も間に合わないでしょう。

東京都民は、今年の夏は節電と計画停電を覚悟してください。夏の暑さはとうなるかわからないけど、生活見直しのよい契機になるのでは? 私も関西でつきあいますよ(^^;)。

それとも政府・東京都なりふり構わず電力を集める気かね。飢餓の東北から米を奪った江戸幕府のように。

>政府・東京都なりふり構わず電力を集める気かね。飢餓の東北から米を奪った江戸幕府のように。

電力は北海道や中部以西から融通されていますが、送電設備の限界があり、その量は知れています。北海道や中部以西で電力不足になることはないでしょう。

あり得るのは、サイクルが同じ北海道電力の発電設備を外して持ってくることですが、そこまではやらないと思います。いや、使っていないものがあればやるかな。使っていない小型の設備、例えば内燃機関発電、なら運べないことはないでしょう。

最も可能性が高いのは、海外の発電所用に製造途中の発電機を横取りする、いやいや、十分なお金を払って譲ってもらうことではないかと思います。

東北でも計画停電をさせたりして。そして浮いた分を関東に流させる。

それより、やはり節電でしょう。それも善意に頼るのではなく、強制的な。全世帯のエアコンの温度設定を30度にする。(我が仕事部屋がそうなんだけどな。)

いっそ遷都して、霞が関は涼しい岩手当たりに移転するとか。

>東北でも計画停電をさせたりして。そして浮いた分を関東に流させる。

現在の東北の状況を考えると、「被害の少ない関東のために東北で計画停電を」とは、誰も言い出せないと思います。

>いっそ遷都して、霞が関は涼しい岩手当たりに移転するとか。
夏だけ電力に余裕のある北海道へというのが現実的じゃないでしょうか。

タイがあまり使っていない予備の日本製の発電設備を貸してくれるそうです。ありがたいことです。24万キロワットというと相当なものです。

森林組合作業員です。三月下旬に三人で2日かけて150本の杭木(末口8〜13センチ、全長150センチ、先端を20センチ四面尖らせる)をスギ・ヒノキの切り捨て間伐現場でつくりました。ほどほどに道から近かったので人力でトラックが入る場所まで担いで出しました。

杭の供給、頑張ってください(^o^)。

今回が儲かるかどうかわかりませんが、きっと今後につながりますよ。

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今回の震災で電力の不足が生じています。対策を田中淳夫さんのブログの「木材の震災需要を逃すな」のコメント欄で田中さんや沢畑さんとのやり取りしていたのですが、コメント欄をたびたび利用させていただくのも気が引けてきましたので、こちらでまとめておきます。... [続きを読む]

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