ゴルフ場が海苔を育てる?
まだ「いま……必要な理由」シリーズを続けてもよかったが、食傷気味だろうから、ちょっとデザート(~_~;)。
昨年のことだが、某大学の教授から、ゴルフ場の調査に関する質問を受けた。
教授の元で修士論文に取り組む学生が、ゴルフ場からの流出水の研究をしたいのだが、ゴルフ場がOKしてくれないからどうしたらよいものか、というものだった。
そりゃ、ゴルフ場側からすると、またゴルフ場タタキの材料にされちゃかなわないという意識が働き、一介の学生の依頼など受け付けないだろう。
しかし、その研究は、ゴルフ場に限らず流出水に含まれる成分の分析を行っており、ゴルフ場の下流域の水には有機態鉄が多いことに気づいたので、調査したいというものたった。
そこで、しかるべき筋を通して、その研究の価値を示すようアドバイスしたのだが、その結果が届いた。
どうやら無事ゴルフ場の協力も得られて修士論文も仕上がったそうだが、その研究では、有機態鉄のゴルフ場からの流出には、「微生物入り有機質肥料」の散布の効果が一因として考えられるそうだ。そのメカニズムは、まだ解明されるまでにはいかないが、少なくてもゴルフ場の肥料が、流出水に影響を与えていることがわかったのである。
ただ、ここで有機態鉄が多いと何か問題があるのかが重要となる。それは地下水汚染とか言うレベルではない。むしろ、河川から海に流れ込むことによって、栄養分になっている可能性が高いのである。海水には鉄分が少なくて藻類が育ちにくく光合成が進まない実情があるからだ。
実は調査したゴルフ場の下流の海では、海苔の養殖をしているそうだ。もしかしたら、鉄分の増加が美味しい海苔が育つ一助になっているのかもしれない。もし、それを客観的に示せたら面白いナ。
地道な研究が、そんな可能性を示すのは、ちょっと面白い。
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いかん。いかん。
タイトルで、一瞬、
ゴルフ場で海苔を作っている図を
妄想してしまいました。
・・・ゴルフ場は海の〇人。
かもしれないのですね。
おもしろい!
投稿: 熊(♀) | 2011/03/05 07:14
汚水処理場が河口に出来たことでハマグリが育つようになったと聞いたことがありますけど(^_^;)関係ないか…
投稿: エイチ | 2011/03/05 10:43
……ゴルフ場は、ご飯の友、じゃダメですか?
「汚水」という言葉を使うとイメージが悪くなるのだけど、これは「里海」の原理と同じなんですね。沿岸部に住む人の出す廃棄物が、海の富栄養化を促進して、魚介類を増やすのは。
だから、ハマグリが増えるのも里海づくりなんです。発電所からの温排水が、アサリの繁殖を助けたとも聞いたことがあるなあ。
投稿: 田中淳夫 | 2011/03/05 22:03
海とゴルフ場では「冷静な調査」が進む一方、森ではこんな事
が・・・
岡山県美作市で「ドングリの森基金」。くまとの共生がテーマ
だそうです・・・「熊森」の匂いがプンプンしますが、さて?
(^^;)
投稿: 元関西の山の中に居た者 | 2011/03/05 23:44
いやあ、カルトじみた「調査」と活動は、ゴルフ場の方が先輩格ですよ(~_~;)。何がなんでもゴルフ場は悪だと主張していましたから。
ゴルフ場下流に赤い水(おそらく鉄分含んだ水)が流れたら、即これは農薬のせいだ、と訴えていましたね。
その連中が、今度は熊森に行ったとか?
投稿: 田中淳夫 | 2011/03/06 00:08
学生時代に、ゴルフ場で農薬撒いてたもんにとっちゃあ
微生物入り有機質肥料って何物なのか気になりますねえ。
鉄団子は某団子よりは有用そうなので、ニーズがあれば地元でも使ってみたいんですが。
岡山県は、熊担当者を県北に配置させるようです。
こりゃあもっと忙しくなりそうですねえ(--;;
投稿: samiya | 2011/03/06 00:11
具体的な肥料の種類は聞いていませんが……なんでも量によって薬にも毒にもなるでしょうね。鉄が多すぎると、また害になる。
熊森は、国会議員も動かしているようで厄介です。今度某議員が山に調査に入るとか。どうせ聞き取りだから、しっかり説明してほしい。
投稿: 田中淳夫 | 2011/03/08 00:22