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2011/03/19

災害と紀伊国屋文左衛門

意外と長く休んでしまった……ま、裏ブログを連日書いていたのだけど。

別に震災に自粛したつもりはない。もともと震災被害が次々と明らかになる過程では、森や林業のことなど書いても読者の頭に入らないだろう、と考えた。そこで数日間沈黙して、全容がつかめるようになれば、被災者救援や復興が課題になり、そうなれば綴ることもできると睨んでいたのだ。その間は、多少とも心を明るくするドーデモ話の提供(裏ブログ)だけを心がけた。
ところが、地震、津波の被害の上に現在進行形の原発問題が沸き起こり、こちらで肝を冷やす。一時は本気で、もうダメか……と思わせたが、今のところ小康状態。まだ落ち着く見通しがでたわけではないが、あとは「ふくしまフィフティーズ」および全国から原発の暴走を止めるべく参集した人々の尽力に期待するほかない。

と、前書きはこれくらいにして……。

災害と林業を考えて、ふと頭に浮かんだのは、紀伊国屋文左衛門である。江戸時代初期に、最初は紀州から嵐の海を江戸にみかんを運ぶことで儲けた文左衛門は、帰りは塩鮭を持ち帰ってまた大儲けする。江戸の明暦の大火に遭遇して、大量の木材供給を企てる。そして財を成すのである。
それは、単なる個人の商売の話にとどまらない。それまで冬などは荒れて使えないとされた紀州-江戸航路を、確かなものにするとともに、木曽の木材を江戸で売るという市場開拓にも成功したわけだ。

つまり紀伊国屋文左衛門は、江戸時代の産業流通構造を再構築したのである。

さて、今後の東北復興に向けて、建材需要は爆発的に高まるだろう。一部では、復興バブルがもたらされるとさえ囁かれている。だが、そこに立ちふさがるのは嵐の海ではなく、その建材が木材が否か、その木材が国産材か否か、だ。

火急に被災地に復興の素材として国産材を提供できれば、これを契機に木材流通のシェアを確保できるうえ、その後の「木の街づくり」につながるだろう。それは林業の活性化のみならず、地場産業の復興であり、雇用の提供であり、新しい街づくりだ。
しかし、出遅れると、いよいよ日本の林業は忘れ去られる。

本当は、木材ほど自在に現場で加工できて緊急の場で使える素材はないのだが、今の世の中、キットになったプレハブ建材の方が、求められるかもしれない。
あるいは大量にプレカットを済ませた外材が、送り込まれるかもしれない。

東北は日本でも有数の量的木材産地であり、合板と製材の生産地である。残念ながら、それらが地震と津波でどれほど傷ついたのか十分に伝わってこない。しかし、万難を排して(もちろん、東北以外の木材産地も)木材を供給することが将来につながる。

お上が補助金出してくれたら……なんて悠長に構えている場合ではない。あえて言えば、今が千載一遇のチャンスだ。

出よ、現代の紀伊国屋文左衛門! もう、坂本龍馬ではないぞ。

※ ただし、本当の文左衛門は、晩年に火事で木場のストックしていた木材を焼き、木材業を廃業するんだけどね(~_~;)。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

つねづね、田中さんの裏ブログを読みたいな。と思っています。。。

あ・入れそうですhappy01

これは私たちへのエールと受け止めさせていただきます。
田中さんの新著はいつだろう。早く読みたい!

F爺さんも、無事で何より。
これから長い日々が続きますが、ときに気を抜いてください。木は抜かないで。

あ、裏ブログは、もう読まないでいいから(~_~;)。

うーん。新著。ワタシも読みたい。
その頃には、
本が買える状況になってるといいなあ。

F爺.さま。どちらが早く手に入れるか、
ここはひとつ勝負です。

遅ればせながら入稿は終わりました。
あとは印刷所・製本所が動いてくれるか?

お二人とも、ヒンズースクワットをしながらお待ちください(^o^)。

はじめまして、鈴木浩之さんにご紹介(?)頂き、昨年来楽しませてもらっています。昨年、いちキコリから一念発起「素材生産法人」を立ち上げ、今シーズンより地権者の取りまとめから間伐搬出を始めた者です。偶然にも田中さんと同じ静岡で学生時代を過ごしましたので、親近感を覚えながら(勝手に)新著ほかを読ませてもらいました。
いつかコメントしようと機会を伺っていましたが、ついにこの日が来ました!
2月末に、県内某港より宮城県沿岸地域へ送られる丸太原木(1,000㎥)の船積を見学する機会がありました。もちろん、合板の材料としてです。その数日後、合板商社の担当者が弊社の土場まで来て、ぜひ丸太を出荷して欲しい旨を熱弁していきました。何分新入りだもんで(静岡弁)出荷先に関わるしがらみ等が一切ありませんから、その日以来バカ正直にも山から出る原木を合板用に仕分けはじめていました。そこへこの度の災害です。ブログ本文にもある通り、合板製造メーカーは壊滅状態に陥ったそうです。誠に不謹慎ではありますが、仕分けた原木はどうなるんだ?と少々困惑していたところ、件の商社は別のメーカーとの交渉を始めているとの情報を得ました。当然と言えば当然の対応ですね、イチ企業としては。ですから、僕の心配は現実のものとはならず、震災前と変わらない条件で出荷できるようです。少々複雑な気持ちですが・・・
さて、ここからが本題です。
再び誠に不謹慎ながら、連日の被災地の情報を耳や目にするほどに、田中さんと全く同じ心境に立つようになりました。
まさに「チャンス到来!」ですね。
実は、県内某材木卸業者勤務の知人からこんな連絡を受けたんです。
「東北から合板が入ってこないから、自社で原木を確保して西の合板メーカーへ送ることになりそうなんだけど、今すぐにどのくらい出荷できる?」
だそうです。ちなみに、この業者は今まで原木を一切扱ってこなかったにもかかわらずです。
今回の話は、たまたま合板が話題の中心でしたが、その他の用材も推して知るべしでしょうね。
ましてや、今冬は全国的に大雪に見舞われ供給不足となり、県内の市場相場は例年には見られない高止まりを見せていたところなんです。(雪が少ない静岡は幸運でした)
『出よ、現代の紀伊国屋文左衛門!』の言葉には非常に励まされます。
今、僕らキコリに出来ることは、義援金を送ることよりも、山から世の中に原木を下してくることではなかろうか、と妙に腑に落ちている今日この頃です。

新参者が長文失礼しました。

『義捐金より・・・』の方に反応して『エール(というかメール)』を送ります。
『本業の林業でもって被災地の復興に貢献する』→素晴らしいです。

リアルな動きを教えてくださり、ありがとうございます。

東北の合板、製材業界が動けぬ今、放置したら外材の導入が進むだけです。東北の業者を出し抜くという卑しい発想ではなく、国産材供給を守る点から、他地方の業界は頑張っていただきたい。
同時に、過去のしがらみを断ち切るチャンスです。

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