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2011/03/08

邪馬台国に林業はあったか?

日本の林業はいつ誕生したのか?

という話題にこだわっている。ここでいう「林業」とは、単に木の利用ではなく、組織的な伐採と流通・加工を行うことである。

これまでのところ、奈良時代の甲賀杣(平城京・東大寺建設……西暦700年代)から飛鳥時代の飛鳥寺、四天王寺建設当たり(金剛組の登場……西暦580年代)まで遡ったのだが、さらに遡れる?かもしれない。

それは、邪馬台国の時代だ!

邪馬台国がどこにあるかわからないのにぶち上げるのはどうかと思うが(^^;)、その有力候補である奈良県桜井市の纏向遺跡は、弥生~古墳時代前期(西暦180年から210年)である。

ここに宮殿跡が見つかり、大量の木製品も出土している。それだけなら、これまでの弥生、いや縄文時代の遺跡にもあるのだが、ここの出土品はヒノキ材が多いのだ。そして、当時はこの地方にはヒノキは少なかったと推定されている。花粉分析もしているのだから、そんなに外れていないだろう。

となると、遠くからヒノキを伐採して運んだことになる。

しかし、ヒノキなど針葉樹の伐採には金属器、とくに鉄器が欠かせない。針葉樹の繊維は、縦に長く、石斧では切れないからだ。となると、邪馬台国(それに匹敵するクニ)は、鉄を持っていたことになる。それは金属の精錬をしていたのか、それとも中国からの輸入品なのか。

木造建築物に使われた木の太さがわかれば、その輸送能力も見えてくるだろう。

いずれにしても、クニ(集落国家)が組織的に遠くの地の木を伐採して、輸送していたことを物語る。その伐採地の推定もおぼろげながらできるかもしれない。

これは、林業の発祥と言えるのではないか?

日本の林業は邪馬台国が生み出した、のかもよ\(^o^)/。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

さすが、田中さん!古代考古学へ一石!ですね!!(^^)
最近の花粉の研究など、考古学の経験が、林業などの歴史
解明になれば、いいですね。
(そういえば、以前、松山城の「城山の植生」ネタで盛り上がり
ましたが、丁度イイ記事を見つけました(^^)
 「城と竹木15 伊予松山城の竹木」
http://blogs.yahoo.co.jp/joukakukenkyuu/28089999.html
(若手の城郭研究者のブログです(^^))なかなか興味深い
ですよ

まあ、何を林業発祥とするか、そもそも林業のスタートを調べてる学者っていないよなあ~。卑弥呼は、林業技術者だった! なんてどうだろう。

松山城の記事によると、元禄の時には城山は結構繁っていたんですね。江戸初期は禿山だったのに。

三内丸山遺跡には、直径1mの巨大な6本の栗の柱跡が見つかっており人工的に育てたあとがうかがえるとも言われています。これを原始的林業と考えると縄文時代、約5000年前くらいでしょうか。
三内丸山は約1500年間くらいの定住跡らしいので、もしかしたら定住とともに原始的な林業も始まったのでは、と個人的には思っています。

三内丸山遺跡の周辺にはクリ林があって、遺伝子的に近いので人間が植えたのではないかと言われていますね。農業の誕生かもしれない。クリは実を食べるだけでなく、材も利用できますから育成林業かもね。

でも、林業的には集落近くの木を伐ってくるのでは輸送面で産業化していない(^^;)。遠くから運んだことが推測できれば、立派な林業と主張できるのだけどなあ。

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