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2011/04/04

2010年木材輸入量と林業界のレゾンデートル

林野庁が、2010年度の木材輸入の統計を発表している。

以下、引用しよう。

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1.木材輸入額【9160億円(前年比113%)】
木材輸入額は2年連続で1兆円を下回りました。第1位の輸入先国は中国で木材輸入総額の14%を占めました。

2-1.丸太【輸入量 476万m3(前年比115%)、輸入額 880億円(前年比115%)】
カナダからの輸入量が前年から大きく増加しました。北洋材は輸入量減少が止まらず、総輸入量に占める割合は1割を下回りました。

2-2.製材【輸入量 642万m3(前年比115%)、輸入額 2018億円(前年比114%)】
主な輸入先はカナダ、欧州で、総輸入量の71%(カナダ36%、欧州35%)を占めました。

3.合板【輸入量 265万m3(前年比108%)、輸入額 1242億円(前年比115%)】
マレーシアとインドネシアが主な輸入先国で、それぞれ合板の総輸入量の54%、32%を占めました。

4.木材チップ【輸入量 1212万トン(前年比116%)、輸入額 2194億円(前年比111%)】
第1位の輸入先国はオーストラリアで、次いでチリ、南アフリカ共和国、ベトナムと、主な輸入先国は近年ほとんど変化していません。

5.集成材【輸入量 69万m3(前年比123%)、輸入額 338億円(前年比123%)】
主な輸入先は欧州と中国で、特にルーマニアからの輸入が大きく伸びました。

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結論は、すべての品目で、2009年度より伸びた、ということだ。

これを、どのように見ればいいのだろうか。

この年は、リーマン・ショックがあって大きく下がっているから、その反動と見ることができる。実際、全体で2009年より13%増だ。
もっとも伸びたといっても、2008年より高くなったわけではない。2008年比では21%減なのである。いかに09年の落ち込みが大きかったか、ということを示しているにすぎない。木材自給率は大きく動かないのではないか。

ちなみに輸入額をドル換算すると、円高が進んだため08年より20%増加している。

為替がどう動くか、円レートがどうなるかは、プロだってわからんだろう。東日本大震災の直後、なぜか猛烈な円高が進行した。どうやら日本の企業が海外資産を決算期に合わせて国内に引き上げる……と投機筋が読んだためと言われるが、どうもわかりにくい。国際的な介入に救われたが、何が起こるかわからない。

ただ長期的には下がるだろう。震災被害の影響はジワジワ効いてくると予想できるからだ。
もし日本の国債格付けが落とされでもしたら、ハイパーインフレになり円安に振れる可能性が高くなる。すると輸入品の価格も上がり、外材輸入はやりにくくなるかもしれない

今後の木材輸入は、そして国産材はどうなるか。

まず復興需要によって、木材需要が膨れ上がる。そのため木材輸入量が増えることが考えられる。しかし、国産材だって増えるだろう(ちゃんと供給できればの話だが)。国産材のシェアを削って外材が増えるとは考えにくい。
ただし、短期的には、東北の生産量が落ちる分、国産材のシェアは落ちるかもしれない。

幸い東北の山の現場に、たいした被害はなさそうなので、素材生産は行える。ただ、日本有数の合板・製材工場が軒並み傷ついているから、それをカバーしなければならない。東北の生産量は全体の4分の1あったというが、西日本などの工場がその穴を埋められるかどうか、である。私は、生産設備的には大丈夫だと睨んでいるが……(ちょうど各地に大型工場が新増設されてきたところだし、そもそもフル稼働していなかった)。その代わり、東北の木材を各地の工場に搬送するルートづくりが急務だ。

早い復興のためには、国産材にこだわらず、資材を投入すべき、という声もあるが、それに負けない速度で国産材商品を供給することに期待したい。今こそ林業界にとってのレゾンデートル〔存在意義〕が問われているのだ。そして同時にチャンスでもあるのだから。

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コメント

「存在意義」
今回のような災害復興にためには、重要なポイントです。この震災で住宅建材・資材メーカー・問屋などはかなり動揺しています。工夫をすれば、構造・内装材全て国産材で住宅が建つことを立証できると良いのですが・・・。

全国の木材関連会社が手を組めば、プレファブメーカーよりも安く、良質な仮設住宅ができると思います。

今こそ、信頼を結び直し国難にあたるとき、
それができずして国産材の未来は危うい。

もし林業界・木材産業界が「自粛」してしまえば、国民から国内林業は危急の時に役に立たないと思われるでしょうね。

実は、全国で国産材の仮設住宅等を供給しようという動きは盛り上がっています。が、いまのところバラバラだな。小規模産地が多いし、ネットワークが組めていないよう。

さあ、とうする?

コーディネートが必要ですね。

建築士会や建築家協会などと協力して統一規格の図面を作って、法的な基準をクリアーすることが大切です。全国の木材関係者の協力が要りますが、どの地域で作っても同じ部材になるように部材図が必要です。互いに融通できるようにしたり、詳細なマニュアルを備え、人数さえいれば、大工道具で簡単に組み立てられるようにすると被災者やボランティアでも建築できると思うのですが・・・。

仮設住宅を離れることになっても希望すれば、格安で購入してもらい、同じものを安全が確保された自分の土地に組み立てられるようにすると需要が増えるのではないでしょうか。

仮設住宅(テンポラリーハウス)ではなく、スタートハウスを目的としたいですね。

残念ながら、全体をコーディネートし、まとめ上げるできる人材がいるかどうか……。

むしろ、「震災に乗じて林業や木材産業は儲けようとしている」という声? に怯えているという話も聞きます。また、震災復興のためだからと言って、木を伐りすぎるなという意見もあるのではないか、という先読みしすぎ! な話もあって……。難しいですなあ。

ただ、国産材を仮設住宅にして、最後は処分というのも悲しい。恒久的に使える資材であってほしいとも思います。

少なくとも僕の今住んでいる地域では「伐り過ぎ」にはならなくて、あくまで今まで通り「伐らなさ過ぎ」の状態が継続しています。(だって伐る人がいないから)皆伐の問題はあるにしても、もうちょっとみんなで伐っていったほうが良いのでは?と感じています。ただ、今に始まったことではないですが、山主は「銭にならないなら・・・」という消極的な姿勢が大前提にあるわけで、供給力をつけるにしても地主を口説く「殺し文句」もしくは、現生で還元できる機械力を始めとする「コスト削減林業」が現実的かとも・・・

殺し文句に「東北を支援しませんか」では、動かないですかねえ……。

まあ、震災需要で価格が高等すれば、飛びつくのかもしれない。「価格が上がるのは,これが最後のチャンスですよ」と耳元で囁く。

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