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2011/04/18

『森林異変』に影響? 森林法改正

先に『森林異変』を執筆するのを最初のうち渋った理由に、「最近の動きは早すぎて、出版するうちに古びてしまう」ことを上げた。

まあ、そうならないよう、過去から現在までの流れを重視して、その上に「今」があることを押さえた。だから、少々時間がたっても、古びないと信じたい。

……が、さっそく新たな事態が進展している。

その一つが、森林法改正だ。

『森ヘン』では、外資が日本の森を買う噂と、森林境界線や所有名義問題などを取り上げている。私としては、外資問題なんぞは導入のつかみであり、境界線や所有者行方不明の重大さに力点を置いたつもりだ。それは、悲観的なニュアンスだ。

今回の森林法改正は、この問題に対応している。

改正内容はいくつかあるが、林業関係者が注目しているのは、「所有者不明森林の適正な森林施業を確保する為の施策」だろう。かみ砕けば、所有者がわからない山林であっても、市町村長の判断で調査のために立入ったり、林道・作業路の整備や間伐などの手入れが実施できる……としたことだ。

これまで林地の集約化を阻害していた大きな要因を乗り換えられるようにしたことになる。

早くも古びたか、『森ヘン』! 

が、実はそんなにたいした改正だとは私は思っていない。そもそも、こんな改正で、所有者不明森林が、整備されるだろうか。

だいたい、これってマジメに捉えたら、日本の土地制度というか、所有権とか財産権の根底をゆるがせかねないことだ。所有者不明と行政官が認定したとして、その後「所有者」が名乗り出てきたらどうする? そして勝手に木を伐りやがって、道までつくりやがって……とごねて賠償請求したらどうなる? 

なんか、その筋の人ならやりかねない。

つまり認定には非常に勇気がいるのだ。結果的に、この森林の所有者は不明だから勝手にやります、と決断すること自体が進まない気がするなあ。

仮に、この方法で森林の団地化を進めたとしても、所有者不明森林なんて、全体のうちわずかだろう。所有者はわかっているが、境界線の不確定問題や、所有権の分散問題(何世代も前の亡くなった人の名義のままで、土地がその子孫何十人の共有になってしまい、意志決定ができない)は解決しない。

ところで、林業関係者が思うほど、この項目は注目されていない。むしろ法案づくりに動いた議員の多くは、全然別の目的をめざしていたことをご存じだろうか。

それは「外国資本の森林取得を制限する」ことである。主に自民党議員が騒いだ。不思議なことに、所有者不明の森林は、外国人に買われてしまう! というのだ。どうやったら、売買できるのだろう。むしろ、所有者が不明で、境界線が確定していないことの方が外資のみならず森林の売買を抑制できると思うが。

そのために「新規森林所有者の届出制度」などが入っている。なんで届け出るようにすることで売買の規制になるのか理解できない。だいたい、これまでだって1ヘクタール以上は届け出義務があった。
ちなみに、かの有名な熊森協会が、外資取引を規制できると評価している(~_~;)。この点だけで、今回の改正をうさん臭く感じてしまうのは、私だけだろうか。

というわけで、どちらも現状に影響はなさそうだ。というわけで、まだ『森ヘン』が古びたとは言えないよ。


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コメント

おっしゃるとおりです。
所有者不明の土地なんてそんなにあるわけない。
民間事業体の立場からすると、不正確な森林簿データで所有者を見つけられなければ、さらに突っ込んで経費掛けて、調べるだけの現場を作ることができるかで判断します。
それをさらに市町村長が判断するなんて・・・・
まず、市町村長には市町村森林整備計画を市民に示してほしい(協力は惜しみません、動いてください)。

とくに民間は、手間かけて不明宣言を行政に求めるより、別の山に当たるでしょうね。

行政は、境界線の確定や名義の整理に力を注ぐなり、簡単に確定できるよう法改正する方が効果あったのではないか。

日本の国土は三十八万平方キロで、このうち、所有者不詳(北方領土約五千平方キロを含む)は三万平方キロ弱です。
そのうち、空き家の756万戸が外国資本に~

ほう、北方領土を除くと2万5000平方キロメートルですか。
しかし、そんな統計が存在するのかな。
さらに空き家756万戸が外国資本?
 
根拠を示してください。それとも在日の人々の所有地も「外国資本」の所有とでも?

アホらし。

統計の根拠は、土地基本調査総合報告書です。

空き家756万戸が外国資本?は(不思議なことに、所有者不明の森林は、外国人に買われてしまう! というのだ。どうやったら、売買できるのだろう。)にかぶせたネタ話のつもりでした。
言葉足らずでしたね。

ネタでしたか、失礼しました<(_ _)>。

土地基本調査の報告書が出ていたのですね。でも、所有者不明の実態が反映されるのだろうか……。

コメントで、市町村長に市町村森林整備計画を示してほしいと書きましたが、ちょうどそのあと、県から森林環境保全整備事業実施要領の改訂が届きました。
その中身を確認すると、事業計画の中身が改定されていて、
市町村長が市町村森林整備計画を作成し、知事が取りまとめて林野庁長官へ提出する手順から、市町村長の部分が無くなっていました。

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