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2011/04/02

「森付きマンション」で考えるコモンズ

千葉県習志野市に、“家族の森プロジェクト「Green Green」”というマンションが売りに出されている。

総戸数270戸、間取り3LDK~4LDK、平均専有面積85㎡台、販売価格2300~4900万円台を予定……だそうである。ちなみに京成本線実籾駅(東京駅まで35分、船橋駅まで10分)から徒歩11分に位置する。
こんなこと、書き写していると、なんだか不動産業者の宣伝作ってる気分だ(笑)。せめて、マンション名を書かずに抵抗しよう。

ともあれ、このマンションの特徴は、森が付属していることである。マンション前に、1ha程度の森がある。そこにはケヤキ、モミジ、サクラ、リンゴ、竹林など。散歩できるようになっているほか、バーベキューコーナーもあるとか。ここを居住者が森林浴を楽しむ場、交流の場、子どもの遊び場にしてもらおうという発想である。

主なターゲット層は、20代後半から30代の小さい子供がいる若夫婦らしい。

しかも森は、鍵付きのセキュリティゲートの内側にあり、居住者専用となっている。子どもだけで遊んでも安心できるように、ということだろう。

なるほど、と思った。ようするにこの森は、マンションの住人専用なのだ。おそらく土地代、その維持費もマンション価格と管理費に上乗せされているのだろう。

このニュースを読んで思い出したのは、かつて(20年以上前)私が取材した兵庫県西宮市の行政が仕組んだ開発構想。
西宮と言ってもかなり山手で、周りは農村風景が広がる一帯にニュータウンを建設する計画なのだが、そこで一軒一軒の敷地が目茶苦茶広いのだ。

ただし、住宅建設部分は道路沿いにある程度集中させる。そして裏山を、そのまま分譲してしまうというのである。購入者は、住宅地とともに裏山を手に入れられるわけだが、その管理もしなければならない。実際には、山の管理は開発区域全体でまとめて別にやってもらう形になるだろうが、とにかく山を我が物にできる! という魅力?があった。

たしか販売価格は1億~2億円くらいじゃなかったかな(~_~;)。

だって、これはバブル景気の真っ只中の話ですよ。これを行政が作ったというのが面白い。つまり、このままでは里山地域が業者の手によって切り刻んで売買され、ズタズタに破壊される。それなら、新住民によって里山環境を守る枠組みを作れないか……という発想だったらしい。

もちろん、バブル崩壊で、構想は全部吹っ飛びました(笑)。今、この地域はどうなっているのか私も知らない。里山のままなのか、虫食い開発されたのか……。

まあ、構想というより夢想であったわけだ。

ただ、私が気に入ったのは、里山環境を守るためには個人の所有物にした方がいいんじゃないか、という点だ。

単に開発規制などやっても、地主は喜ばない(怒る)し、維持管理を放棄して荒れるだけだろう。また公的機関が買収したら、税金を投入してドツボにはまるのが目に見える。あるいは誰のものでもなくなり、これまた無責任に放置されかねない。

実は、その典型が生駒市にあるんだけどね(-.-)。

所有権を持つことによって、真剣に管理しよう、美しく利用しよう、という気持ちになることを期待する。ただ個別に分譲してしまうと、個人の都合で売却されたり、勝手に伐採して小屋建てたりとヘンな開発もおこりかねない。

その点、今回のマンションのようなマンション住人の共同所有というのも、一つの手かもしれない。(270戸で1haというのはしょぼいが。全員が森に入ったら過密だろう。)コモンズ(共有地)の悲劇~過利用による荒廃~も起こらないとは限らないが、同じマンション住人という点で、何らかの縛りをかけるのだろうか。あるいはマンション以外の周辺住人とどのようにつきあうかも興味深い。

今後10年ぐらい、このマンションの森がどうなるか、追跡してみたいね。

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森林資源」カテゴリの記事

コメント

「所有権を持つ」「個別」「コモンズ」…
入会林野の近代化ってのが、果たして本当に良かったのかどうか、とても気になり出しました。

間違いなく管理方法をめぐって揉めると思います。でも揉めるのは悪いことじゃなくて、どの様に解決し前に進めるかでしょうね。

予想では、サクラを植えろ!って人が出てきて、それが揉める口火になりそう(笑)

コモンズと個別所有の善し悪しは難しいですね。
それを越える概念がないかと……個人所有なんだけど、社会的資本としての誇りと規制を備えるシステム。
かつての入会地や共有地は、そんな壁を軽々越えていた?

まだ入居者を募集し始めたばかりなんだけど……(笑)。
まあ、管理方法は難しいですね。
おそらく、入居者は森林に詳しい人は少ないだろうし。
10年たてば林相変わるし。そもそも最初からリンゴを植えているのはなんだ?と思うし。サクラは害虫発生するから、絶対に農薬必要だし。
ま、面白そうではありませんか。

いっそ管理会社が有無を言わせず行い、入居者はそこで遊ぶだけ……なんて方がうまく行くかもしれない。

ここは元々「ユトリシア」という名前で2年くらい前から分譲が始まった所で、知人が住んでます。
一昨年遊びに行きましたけど、敷地が平らなこともあって、あまり森の中、と言う印象はありませんでした。
周辺は研究所や県営住宅が多く、緑地は多いし、住民のまとまりも結構あるみたいですから、
子育てのための環境作り、と言う視点で計画してゆけば、本物の森になるかも知れません。
ただ、管理会社の方で、そうした構想を持っているとも思えませんが・・・。

どうやら4番館まで建設する予定ですが、今回分譲される森のあるのは3番館とのことですが……。
でも、周辺環境にも緑は結構あるのですね。

もともとの森を残したのではなく、ゼロから森づくりをするということでしょうか。うまく管理すれば、10年かけてよい森にすることはできると思いますが……それだけの見識を持っているかな? 森付きマンションという売り文句にするだけなのかも。

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