キッザニアの森
お恥ずかしながら、キッザニア東京に、林業部門があるとは知らなかった。
「キッザニアの森」である。
キッザニアをいまさら紹介するのもナンだが、子供(15歳まで)に職業体験をさせるテーマパークである。本物どおり真面目に働いてもらい、その行為に対して賃金(キッゾ)も支払われるという仕組み。職業紹介というより、社会の仕組みを楽しみながら学ばせる施設と見るべきだろう。
現在は東京と兵庫県(甲子園)にあるが、このテーマパークが日本に進出したとき、「林業を体験するパビリオンも作ったら」と半ば冗談で言っていたのを思い出すが、すでに誕生していたのだ。
「キッザニアの森」は、5月で1周年を迎え、体験者は1万2000人を越えるという。
具体的な体験内容は、枝打ちだ。人工の幹にナラの枝が固定されてあり、それをノコギリで伐るらしい。
プログラムを見ると、
1、ユニフォームを着る。
2、林業の仕事の説明を受ける
3、枝打ちの必要性の説明を受ける
4、枝打ち作業の計画を立てる
5、計画に合わせて枝打ちを行う
6、切り落とした枝の長さを揃え、運び出しやすくする
7、切り取った枝の一部と確認書を持ち帰る
という手順を踏むようだ。これでグリーンマイスターになれるというわけ。
うなってしまった。
この手順、本物の森で行う林業体験でもしている?
林業や枝打ちの説明くらいは受けるかもしれん。
しかし、枝打ち作業の計画を立てたりせんだろう。さらに驚くのは、打った枝を搬出する作業が入っていることだ。実際の枝打ちで枝を搬出するかどうかはともかく、伐った木を持ち出すという林業のもっとも大切な部分を、キッザニアではしっかり押さえているのだ。まさに仕事として教えている。
それに比べて、説明もそこそこに枝を打ちなさい、間伐しなさい、という林業体験、森林ボランティアが多くはないか? それではアウトドアスポーツ扱い……というと、アウトドアに失礼だが、まさに山主に遊ばせてもらっているにすぎない。
このコーナーの出展は、「オフィス町内会」だという。ビジネス街で古紙収集をやっているNPOと思ってたら、こんな事業まで展開していたのか。正確にいうと、この組織内の間伐促進部門を担当する「森の町内会」という組織が担当しているそうだが、岩手県葛巻町と組んでの企画らしい。
これで子供たちに「林業」という仕事が記憶に残ってくれたら頼もしい。
それで将来林業職をめざす人が増えるとは思わないが(~_~;)、潜在的な理解者を育てることができるだろう。そして、彼らが成人になる頃までに、林業が十分に魅力的で希望者を安心して受け入れられる業種に成長してほしい(今は、とてもとても……)。
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