無料ブログはココログ

本の紹介

« 晴れ男……だが | トップページ | 巨大組織のワーカーは粗雑化する? »

2011/05/13

ドイツ林業の現実

札幌では、たくさんの人と出会った。話したし、聞いた。森も街も歩いた。そして情報を多く仕入れることができた。

残念ながらカメラを回収するまで写真がない。そこで、記憶に残ったこんな情報を。

万が一、提供者に迷惑がかかってはいけないので匿名にしておくが、ドイツを幾度も訪れている研究者である。

そこで聞いたドイツ林業・林学の現実。

すでにドイツでは、画一的大型化林業は、否定されつつあるのだという。そして人工林の針広混交林化が課題になっている。
それなのに、日本は、20年前のドイツを見習って始めたのが、現在進行中の集約化・機械化・大型化を伴う森林・林業再生プランなのだ。

いや、それだけなら、日本にはすでに作ってしまった単一樹種の人工林が1000万ヘクタールもあるのだから、当面は20年遅れのドイツ式林業でも役に立つかもしれない。20年後に変換するつもりで……。

ところが、大型化したドイツの林業現場で起きているのは、過酷な労働だった。

なんと、大型林業機械を導入したものの、そのレンタル料を稼ぎだすために起きているのは、1日16時間労働だというのだ!  さもないと、ノルマがこなせないのである。

そして、フォレスターの最大の仕事は、担当区域の労働者の健康管理だという。そんな過酷な労働に従事する林業現場を回って、定期的に休ませたり、安全を確かめること……。

いや、北欧では24時間(3交替制)機械を動かさないと、生産効率が落ちるというところまで行っているらしい。

こうした現実は、通常の視察では見えない部分だろう。現場労働者に密着して、初めて聞き出せるのだ。

果してこれが、自然相手の仕事か? そして憧れの職業か?

ヨーロッパでさえ、市民の森林幻想と、現実の労働現場の乖離が始まっているのではなかろうか。

« 晴れ男……だが | トップページ | 巨大組織のワーカーは粗雑化する? »

林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

え"!
するってーと、
夜中も木を伐らにゃならんのですか。

ヒトも気の毒だが、
コビトも気の毒だ。(T_T)

大型ハーベスタのレンタル料が時間いくらの世界ですからね。

たぶん、担当フォレスターの腕次第で、労働環境はかなり変わるはずですよ。自分はドイツではありませんが、運良く複数のフォレスターの現場作業員と話をする機会がありましたが、同じ国・州でも上手くいっていない現場もたくさんありました。というか恐らくそっちの方が多い。

だから、表面(制度)をいくら真似してもダメだと思います。

現場密着で視察・取材しないと現実がわからないというのは全く同意です。某研究所なんて、州の政策担当者に1時間訪問して、それでレポート書いてるなんて例も有りますからね。

もはや大型化林業は、破綻したビジネスモデルなんじゃないですかね。
それを、どうしたことか真似ようとしているのがニッポン……。

もちろん部分的には上手く動かすケースもあると思います。だから、画一的でなく、地域ごとに最適モデルをつくる必要がある。
でも、それが林野庁にはできないことは、この研究者が官僚出身だけによく理解されておりました(^^;)。

ドイツ南部、オーストリア、スイスなどの急傾斜地は、実はウィンチ集材がメインというのは、あまり知られてないのかなあ。意外と条件のシビアな山間部林業の方が地道に生き残ったりして。

上手いフォレスターに雇われている作業員は、9時5時の仕事で時給4,000円〜5,000円貰ってましたよ。単純に比較はできませんが、思わず「俺も働かせてくれ」と言ってしまいましたw

ドイツや北欧の林業で、過労死寸前の勤務実態があったとは、、、

なんだか林業先進国の効率的&スマートなイメージばかりありましたので、意外でした。

すいません、2つ上は私です。

本当は、この山がちな地域の施業法を、日本は学ぶべきだったんでしょう。

ただこの研究者は、スイスも招かれていて、スイスでは谷に集落があるので皆伐はせず択伐ばかりだが、同じ山がちなオーストリアに入ると途端に皆伐が増える…と言っていました。
施業の差には、地形だけでなく国情もあるのでしょうね。

んー、スイスも皆伐は結構あるんですけどね。皆伐は連邦法で禁じられてますが、風倒害や病虫害を受けた林分や、樹種転換をしたい林分はOK。更にスイスはFSC規定で夏に択伐はできませんが、皆伐はOK。

だから、夏に行くと皆伐はそこそこやってるんですね。地形や国情だけじゃなく、視察する季節にもよるかもしれません。

まあそんな細かいことはどうでもよくて、州によって自然条件も制度も法律も大きく異なる中欧では、田中さんの仰るとおり、学ぶべき地域を間違うと何かずれてしまうということなんでしょうね。

田中さん,いつぞやは士別で面白い話をお聞かせ頂きました。

ドイツでそんな過酷な現場があることは初めて知りました。
が,そんなもんでしょうね。とも一方で思います。
日本まで届いた”美談”が全てとは思っていないです。
そんな現場もあるのだろう。そして,優秀じゃないフォレスターも居るはずだと。

北欧の3交代制は有名ですから事実でしょう。
ただ,そうでなければ生産効率が上がらないということばかりが真実では無いと思います。経験3年目の女性オペレータが8時間勤務で年収500万円貰ってるケースもありますから。
また,北欧は土壌が貧弱ですから土壌保全のため,伐採を極力凍結期に集中していることも理由の一つと思われます。
北欧の大型機械は「過酷」という言葉似合わないほど室内が広くて静かで乗り心地いいですよ。軽自動車よりもいいです。私は一緒に乗っていて伐木作業中に居眠りしそうになりました。

スイス林業については,下記のブログをご存じでしょうか?
フォレスターや現地視察をベースに分かりやすく解説されてます。
http://yfh731.exblog.jp/

画一的な方法論が通用しないのはそのとおりだと思います。
どこかのお役所のように,ただただ盲目的にドイツのやり方を形だけ入れて終わりにしようというのは本当に頂けないことだと思います。
北海道一つ取ったって,大型機械ガンガン林業が可能な地域と農用トラクタでこつこつスモールフォレストリー!が似合ってる地域もあります。
今,必要なのはハードではなく,そうしたことを提案・指導できる人材の育成でしょう。もちろん,権限もつけて。

それにしても,札幌で会ったという,元官僚のドイツに詳しい研究者は誰なのか気になります。
                        

まさに、現場の人材ですね、求められているのは。
残念ながら、森林林業再生プランに文句をいう現場は多いですが、対案は出てこない。それでは説得力がない。まさか、これまで通り補助金づけにしてくれ……というのが本音だったりして。

>スイス林業については,下記のブログをご存じでしょうか?

ええ、このブログにもコメントを寄せていたざっていますよ(^o^)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/51659589

この記事へのトラックバック一覧です: ドイツ林業の現実:

« 晴れ男……だが | トップページ | 巨大組織のワーカーは粗雑化する? »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

森と林業と田舎