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2011/05/22

『森林異変』書評・日経

日経新聞5月22日版で、拙著『森林異変』が取り上げられた。ただ、正確には、書評欄ではなく、「今を読み解く」というコーナーである。

タイトルが「日本林業の常識が変わる」とあるとおり、林業とその地盤である山村を、4冊の書籍を通して論じている。

その一番バッターとして、拙著『森林異変』を紹介している。ただ、取り上げ方は、「外資が日本の森を奪う」という言説に異を唱えているという観点だ。

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そして日本林業の病巣は、山林の所有権や境界線が画定されていないことであると紹介する。

その後、日本の林業の問題点には、『国産材はなぜ売れなかったか』(荻大陸著)や『日本林業はよみがえる』(梶山恵司著)から引用する形だ。もっとも、その内容は「道や伐採法の議論に終始する」と、多少物足りなさを感じているらしい。

そして山村集落の問題と再生策を図式化した『集落再生』(ぎょうせい刊)を取り上げている。

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筆者は、名古屋市立大学の香坂玲准教授。経歴の中には、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部森林経済学研究所で博士号を取得し、国連環境計画の生物多様性条約事務局に勤務経験があるなど、なかなか華麗?で、森林問題や農山村問題にも詳しそうだ。

とくに研究者や自然保護団体、行政と、国民・森林所有者の意識の乖離などを指摘する当たりは、そのとおりだと思う。国民の森林に対する無関心こそが問題なのだ、と。

そのためかどうか、なんとなく紹介した本の根幹を外した取り上げ方をしているような気が……。拙著に関してはおいておくとして、荻氏の研究のもっとも重要な点や、梶山氏の論点と彼自身が持っている林業への思いを読み取ったのだろうか、と感じた。もしかして、読み取った上で外したのかもしれない。

ちなみに「外資が日本の森を…」は、私にとっては枝葉の部分なのだが、拙著の各種書評で常にこの点に触れられるのは、いまだに真正面から論じる(反論する)人物が、私以外にはいないことを想像させる。この事態こそが、なんだかなあ~気分を増幅する。

興味を持つ人が多いからさまざまな媒体が取り上げるのだろうが、それを真正面から(賛成にしろ反対にしろ)検証しつつ論じる人が、ほとんどいないなんて。単に尊国攘夷派が、排中国を主張するネタにしているだけではないか。 もしかして研究者は、この問題に触れたら火傷する……と敬遠しているのか?

  

ところで、本屋に寄っていくつかの本や雑誌を立ち読みしたのだが、洋泉社ムックの『日本は天然資源で復活する』を手にとった。
ところが内容は、天然資源論というより、 「日本の資源が世界から狙われている!」章に代表されるような、ようするに外資(中国)が日本の資源・土地を狙っていることを煽る記事が半分以上だ。当然、スタンスは外資警戒論が圧倒的なのだが、最後に橋本淳司氏のインタビューがあった。

橋本淳司氏って?

日本の「水」がなくなる日』の著者である。そして、本ブログで私がケチョンケチョンに貶した本である(^^;)。なぜなら、安易で裏付けのない「外資の日本の森買収論」を振りかざしたからだ。実は、少し書きすぎたと、後で反省している<(_ _)>

ところが、このインタビューでは様相が違う。「外国人だから警戒するというが、日本人の所有者もひどいことをしているではないか」と釘をさしているのだ。
そのとおり! 問題は所有者の国籍ではない。穴だらけの土地制度と、森林政策、そして目先の利益しか考えない偏狭な日本人そのものが問題なのだ。私は、この件に関して、全面的に同意する。頑張れ!  私と一緒に、外資問題に反論しよう、と共闘を呼びかけたい(だからといって、先述の書評を撤回はしないけどね)。

ま、アチラは嫌がるだろうけど(~_~;)。

 

ともあれ、東日本大震災とそれに絡む原発問題で、日本のエネルギーや資源が急速にクローズアップされている。木質バイオマスもその中で大きな項目だろう。

少しエネルギー論も勉強しないといけないなあ。

ちなみに今年は「国際森林年」で、5月22日は「国際生物多様性の日」だそうである。

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コメント

 日経新聞の「日本林業の常識が変わる」の筆者の言わんとしている要点が少し理解できました。
 ありがとうございます。(・∀・)イイ!

 私はたまに行く吉野家の箸が割り箸から樹脂の箸に替わって・・・牛丼がまずくなって、気分を悪くしている生駒山歩きを楽しむ一市民です。( ̄ー ̄)ニヤリ

いえ、私の推測?が当たっているかどうかはわかりません。
ただ、これは書評ではなく、筆者の論説なのだ、と思って読みたいと思います。

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