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2011/05/01

「瓦礫がエネルギーになる」のか?

アエラ(11・5・2~9)に「瓦礫がエネルギーになる」という記事が掲載されている。

これは林野庁林政部長が練っている案で、東日本大震災で生まれた瓦礫の中の木質を燃料として火力発電を行い、瓦礫を処理するとともに自然エネルギーの供給を行う、というものだ。

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……読んだ瞬間に思い出したのは、このアイデアは本ブログでも提案していたことだ。3月21日「木材の震災需要を逃すな」のコメント欄。

ま、この程度は誰もが思いつくようだね(笑)。

記事によると、出力1万キロワットの小型火力発電所を5基つくれば、瓦礫の中の木質(500万トンと想定)は数年で片づくという。1基1年で12万トンを消費するという計算だ。

すでにこの構想は動き出していて、第1次補正予算に3億円程度を盛り込まれた模様だ。 政府の推定によると、瓦礫の木材を5センチ以下の木くずにするための移動式の木材破砕機を購入する際、2分の1を補助するらしい。

ところで、記事はここで終わらない。瓦礫の廃材がなくなった後(木質燃料が尽きた後)は、森林バイオマスを使う……ようするに林地残材を燃やそうというわけだ。まさに「バイオマス・ニッポン」(-.-)である。

それができたら苦労はないが、高性能の機械を入れて大規模に伐採・搬出すれば、採算が合う、日本の森林はバラ色ですよと、東大大学院准教授のコメントで示している。それって、今の林野庁の政策と合致しているわけだが、どこをどう計算したら採算が合うのか。
ここで林業に関する無知が露呈する(-.-)。

林地残材をエネルギー利用のために搬出するという発想は、本末転倒。まず木材として利用する中で出た端材をエネルギーに回すべきである。そのためには、国産材の需要先の確保が欠かせない。


この記事の後半は暴走して、森林バイオマスの利用で花粉症まで消えると記者好みのアホな展開をしている(~_~;)。が、この点は無視しよう。

前半の瓦礫エネルギー構想を考えてみる。いくつかの問題がある。記事の中でも指摘しているのは、塩分を含む木材を燃やすとダイオキシン発生の可能性があること。そのほか木材に付いた泥や化学物質を除く方法が難しい。

チップにするのも、一般的な切削タイプの場合、土や泥、金属片(釘など)が混じっていると、すぐに刃がかけてしまうからハンマータイプの機械にしないといけないだろう.。でも効率は落ちるんではないかな。私は、古材をチップにする事業体を取材したことがあるが、想像以上に大変だった。技術革新が進んでいることに期待する。

それより、薪ボイラータイプの燃焼炉は無理なのか。

岡山県真庭市の集成材製造の銘建工業は、端材で発電を行っていたが、10年以上前に取材した時、それはチップではなく、端材ならなんでも(かんなくずから長さ1メートル以上の背板まで)を放り込めていた。こうしたタイプなら、手間かけずに燃焼できるはずだ。それで2000キロワット以上の発電可能だった。ただ中国電力の買い取り価格が安いので、フル操業していなかったが……。(もっとも今は、木質ペレットの製造をして海外輸出までしている。)

むしろ東北なら、発電より温水による地域暖房に傾斜した方が価値があると思う。

とはいえ、小規模木材火力発電所を分散して配置して、ネットワークを組む発想は、なかなか魅力的だ。今後は、「小型・分散」がキーワードだろう。それは発電だけでなく、林業そのものにも言える。大規模化ではなく、小規模ネットワーク型であってほしい

なお多少技術的にはハードルが上がるが、ゴミ発電施設と組み合わせることだって考えられる。その方が、過度に林地残材などに燃料を依存しなくて済む。これも燃料の分散化と言えなくもない。

記事の中には、巨大な火力発電所だと、バイオマスの混焼率は1~3%で、引き上げても5%くらい、とあるが、もし2%上げられたら、それで日本のバイオマスを全部使い切ってしまうのではないか。ただ肝心のバイオマスを集めるのが大変。
小規模で各地に分散設置されているゴミ焼却炉のような施設に発電設備をつけて、そこに地域の木質系の燃料を集める方が向いているだろう。

「原子力はダメ」の反動で、自然エネルギーだ、なかでもバイオマスだ、とくに木質だ、と傾斜するのは危険。あくまで必要なのは分散なのである。さもないと、今度は山を荒らしかねない。もっとも分散した各種のエネルギー源の中に、「小さな原子力」は入ってほしくないけどね。

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コメント

 ごみ焼却施設の補助燃料として投入して、発電に結びつければ、重油の消費量も減るのではないでしょうか。なるべく大きな状態で投入できれば、破砕に係る軽油等の消費量も増えない。しかし、残渣が増えて最終処分の方法とコストが課題になってくるかもしれません。雑多なものをすべて燃やすようだと最終処分量を増やすのは大きな課題を生む結果になるかもしれません。

 生物由来のものに限定した燃焼であれば、その灰を再利用する手法も開拓できるような気もします。でも、そこに集成材や合板廃材などが混入した場合はまた、課題となってしまう。
 何か上手い方法はないものでしょうか。

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