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森と林業の本

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2011/05/29

飯田哲也氏のバイオマス論

 原発事故から自然エネルギー推進への舵取り、とくに孫正義氏の電田プロジェクトが持ち上がり、引っ張りだこなのが、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也。いまや時の人である。

実は、私も飯田氏とは今年の1月に会っている。

このブログでも紹介した第6回バイオマス科学会議の席上である。実は、私も彼の発言には引きつけられた。というのは、バイオマスに限らず、自然エネルギー増大は世界的な潮流になっていることを理論的に示したことである。それも市場規模の推移から示した。
自然エネルギーの普及は理想論ではなく、経済的に世界は動き出しているのだ。にもかかわらず、日本は気づいていないというのだから、ちょっとショックだった。

そして政策=補助金であることに警笛を鳴らした。必要なのは、供給プッシュではなく、需要プルだという。

飯田氏の得意なのは、太陽光や風力系である印象を持ったが(もちろん、本筋は原子力であり環境政策)、会議のテーマがバイオマスなのだから、当然バイオマスについて語っている。

「エネルギー資源を生み出す森林と林業サイド(供給側)でも、供給プッシュ(ないしはそれ以前)の考えが支配的で、森林マネジメントも業としての林業も、ほとんど機能してこなかった」

そして、需要側も供給プッシュの考え方にとらわれているという。

まさに現在の森林・林業再生プランがそうであるように、今の政策は補助金によって供給を後押しするすることをめざしている。だが、これでは、林業が活性化するかどうか以前に、産業の世界的潮流から外れるというわけだ。

言い換えると、林業も需要喚起から取り組むべきだということを暗示している。

私は、飯田氏とひと言ふた言、言葉を交わした程度だが、もっとちゃんと意見交換しておきたかったね。有名人になったから、この先どうかな。

 

バイオマス・エネルギーも、そろそろ次の段階に踏み出してほしい。いつまでも林業側の都合や、市民の郷愁・趣味に頼っているようでは遅れてしまう。明確な需要ターゲットを示して、それと木材需要をパッキングした形で供給方法を示すべきだろう。

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コメント

田中様

飯田哲也氏は、数年前は京都女子大学の講師でしたが、すぐに辞めやれました。しかし、大学の枠に囚われないで、活躍をされているのをみると正解だったと思います。

随分前から、再生可能エネルギーの有用性について、経済的にも原子力エネルギー利用よりも優れていると主張されていましたが、無視されていました。今回の大地震とそれによる原発事故で、国民が一気に原子力の安全性に疑問をもち、再生可能エネルギーに関心を持つようになったことはいいですが、経済的に見て原子力エネルギーが莫大な費用を掛けているだけで、不経済である点をしっかりと押さえて議論すべきでしょう。

もちろん、火力発電にも問題はありますが、原子力発電にくらべれば数十倍の環境負荷が軽いことは事実です。

広島や長崎での原爆被曝体験、57年前の水爆実験で千隻近い漁船の被曝(第5福竜丸だけではない!ことをしらせない報道!)がありながら、何故日本人は原発を54基も作り、利用しているのか、外国人には理解出来ない点があります。
私たち一人ひとりが、私を含めて、あまりにも電気という便利なエネルギーに依存した社会に慣れ親しんで来たと思います。

今回の福島原発事故のあまりにもおそまつなことが、一人ひとりの国民の意識を安全で安心出来る社会を作り上げる方向に、政治を押し出すことを期待しています。
いままで、原子力政策を推進して来た政党が、民主党の政策を避難していることを国民はしっかりと認識すべきですね。その政党を支持したのは、他ならぬ日本国民ですから。

田中様

ご存知かと思いますが、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、4月15日に日本記者クラブで 「3.11大震災について」というテーマで第1回目の講演をしています。

内容は、新聞やテレビではほとんど伝えられていない恐るべきものです。

まだでしたら、皆さんもぜひ一度、ご覧下さいませ。約1時間の講演+質疑応答です。
http://www.youtube.com/watch?v=e8Oefssx0_4

私は、本学の学生達にも紹介する予定です。
原発事故の原因と責任はどこにあるか、21世紀のエネルギー政策について、レポート提出をさせます。

あと何年この世界史に残る原発事故の悪夢とつきあうのか、考えると暗〜い気持になる老人より。

訂正です(^¥〜)


4月15日→4月5日でした。

京都女子大とも縁がありましたか。

こんな事故によって注目されるのは、あまりに遅きに失した感がありますが、ともあれ一歩踏み出すきっかけになればいいですね。

ユーチューブの記者会見、全部通して見ていませんが、記者クラブの記者には報道できないかもしれない(ーー;)。

田中様

おっしゃる通りです。
ユーチューブの記者会見の内容をきちんと記事にしたのを見たことありませんね。
最後まで見て下さいね。

会場からの質問に丁寧に答えてますが,空恐ろしい事実が淡々と述べられています!

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