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森と林業と田舎の本

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2011/05/20

今こそ、断捨離!なわけ

近頃、『断捨離のすすめ』なる本が売れているらしい。仏教用語ぽいが、ようするに物を捨て、片づける技術を伝授する本、らしい。真面目に読んでいないけど。

もともとはヨガの「断業」、「捨行」、「離行」という考え方から来たらしく、

断=要らない物を断つ(手に入れない)
捨=要らない物を捨てる
離=物への執着から離れる

を通して、身軽で快適な生活を手に入れようというものだ。

一見、大層な心の拠り所を求めるような心理本のようだけど、ようするに片づけの本。そして収納などの面倒な方法を取らず、捨てろ! という一言で済ませている。

それで思い出すのが、『「捨てる!」技術』である。十数年前、爆発的なベストセラーになった本だが、これまた「捨てる」だけを強調した片づけ本。(著者は、そうじゃないと力説しているけど、中身は何もない。)

そういえば、『そうじ力』なる本が売れたこともある。『超整理法』も、片づけ本だったかな。

だいたい5年ごとに片づけ本、捨てる本が流行るというのは、ようするに本などで「捨てなさい!」と指摘されないと捨てられない(片づけられない)人がいて、一度は本の魔力で捨てるんだけど、またぞろ捨てずにたまったゴミで家が埋まる、そこで新たな捨てる本が売れる…というサイクルが成り立っているらしい。

今回は、ヨガとか仏教用語的な装いを使って、スピリチュアル?しているのが特徴か。

ま、そんなことはドーデモよい。

他人のススメによって捨てられるなら、どんどん捨てなさい。私も、ずいぶん資料の中に捨てられないものを抱え込んでいるからね。

では、究極の捨てるものとは何だろう。

金か。財産か。異性とか。親? 配偶者? そんなもんっ(笑)。

プライドは。自分の過去か。成功体験や長く培った価値観は捨てられるかな。

もっともやっかいなのは、「故郷」かもしれない。

「ふるさとは、遠きにありて思うもの」「帰るところにあるまじや」とまでうたわれているのに、望郷の念は強いものらしい。ぐずぐず移動を渋ってドツボにハマるケースが多い。

もっとも、それは日本人の多くが「農耕民族」だからかもしれない。土地に根ざしたものに執着する度合いが強い。変わらない者、動かない者が強く正しいと、先祖から受け継いだ意識がこびりついている。それを保守的と説明することもある。

だが少数派の「遊牧民」的性格の者なら、いとも身軽に住む場所を移動させていく。前言を撤回したり朝令暮改で新しい道を選ぶ。故郷は、思い出としては心の中にあるかもしれないが、行動としては、たいして重きを置かない。

これは、先の「働かないアリ…」本でも感じたのだが、全体の効率を落とす存在としての異端の「働かないアリ」は、普段はごくつぶしだが、危急の際に種を救う一歩を踏み出す。

今、不振だったり不遇だったり、危難に陥っている人こそ、断捨離して身軽になるべきかもしれない。片づけ術に貶めているうちは、たいしたことできんだろう。

故郷を「断捨離」できる人こそ、生き残って未来を切り開けるかもしれないよ。

……こんなビジネス書か人生本を書いたら、売れるだろうか? なんて考える私は、あんまり欲の断捨離をしていないね(笑)。

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コメント

いつも楽しく読ませていただいています。
「断捨離」流行ってるようですね。TVでもやっていました。
著者の方は本の内容を人に伝えたい、もしくは印税?か何かの欲求は捨てきれなかったようですが。読んでいもないのでこういった皮肉めいたことは的外れな内容だったら申し訳ない。スピリチュアルな感じが気に入らなかったものでつい・・。
私、思いますにこういった本がヒットする時代背景とでもいいますか、裏側には現代人が無意識にキャパを超えた物質や情報に埋もれてしまっている状況があるのではないかと。
人が生物として情報量にあった処理能力を持てていないので
「とにかく捨てたら楽になるよ」と教えてもらうと、実際楽になる方がたくさんいるという。
現代社会の生活環境、もっと言えば文明は、人の生物としての進化をとっくに追い越してしまっているのではないでしょうか。
さっさと文明に追いつくよう進化するか、進化の程度に見合った生活を自覚し工夫していくか。私は前者にはなれそうもありませんが。


別にこの本だけではありませんが、「捨てる」本は、基本的にドーデモいいものを捨てろと言っているだけで、厳しいもの(でも捨てたら人生変わるかも)は捨てろと言わない。また読者も捨てる気は毛頭ないのでしょう(笑)。

故郷に仕事に家族を捨てるとか……。おっと危険発言か?

その3つ捨てたら、何でもできちゃうってば。

(^o^)(^^;)(~_~;)。

なんでもできる……もちろん飢える自由も、孤独の自由も。
そこからイノベーションが始まるのです(ドラッガー調)。

自分の生家を壊すときに「『いらないもの』と書かれたダンボール箱が沢山出てきた」と隣家に話したら、「うちは他に『捨てるもの』ってかいてあるのもあったヨ」って返されました・・・
因みに登場人物はみんな「田舎者」です。

 たまに己(表面的なポリシー・・・ポリシーとは言わないか)を捨てざるを得ない時がありますね。
 職場で、家で・・・。こっちは結構ストレスになります。絶対にに譲れない部分は守っ茶いますけど。そういうことなんですね。

 宴会の時に結構深い部分まで知らず知らずのうちに捨てているときに気がつく。それはそれは楽しいものがあったりします。

「田舎者」でなくても、多いですね、そういう人(笑)。
むしろ田舎なら、捨てなくても保管する場所あるから邪魔にならないのかも。

モノは捨てなくても、心のゴミを捨てると人生変わるのです。
(カッコいいやろ)

お酒は、「断捨離」の強い見方です(~_~;)。

ストレスも捨ててください。何、ストレス源を「ボケ、アホ」と心の中で罵倒するだけ。そして、もっと大きな世界平和とか、人生について考える。 (アブナイ世界に行きそうだ)

捨て方にも問題がある。
田舎の人は収集に出さずに住まなくなった家に持ち込んでくる。
軽トラに積んで少し離れたかつての住まいに捨てに来るのと、
収集に出すのとそんなに手間は変わらないと思うのに。
不思議。

たしかに(笑)。廃車したのに、敷地内に置いてあったりとか。

やはり田舎には、農耕民族が多いのか(~_~;)。

放射能汚染で避難勧告エリアに人が住み続けている、、、。

故郷を捨てるのは、簡単ではない。

そう、健康・命に関わることでも、捨てられない。
それが農耕民族の証かも……。

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