最終商品……加工板
荻氏の講演、まだ続く。
さて、過去の日本の林業・木材産業の問題点を追求する中で、では現在の新たな動きに何があるだろうか……という点で登場したのが、「加工板」である。
今、本当に売れているのは「加工板」なのだそうだ。
加工板とは妙な言葉だ。そもそも板とは、丸太を製材した存在であり、まさに加工したものだからだ。だが、ここに落とし穴があるらしい。
というのは、通常の製材所の板は、そのままではとても使えないからだ。
というのも、日本の製材過程には、まだまだモルダーかけ、プレナーかけ(かんなで、表面をツルツルになるほど磨き上げたもの)が成されていないのが通常なのである。その板を仕入れた大工が、建築現場でカンナがけして使うのが当たり前だった。
しかし、時代はプレカットである。柱などは完全に組み立てるだけになっているのに、板だけカンナをその場でかけるわけがない。同じようにサネ加工もするわけがない。
建築現場では、完全に完成した部材が求められているのだ。それに応えるのが、「加工板」と呼ばれる商品なのだそうだ。
いわば、丸太を製材した角材・板だけでは半製品にすぎないという。だから、最終加工まで仕上げている製材所とそうでない製材所の格差が生まれているのだそうだ。
これまで製品を作っていると思っていたが、実は中途半端な半製品だったとしたら。果たして世間の製材所はそのことに気づいているのか……。
そして、そのまま使える加工板こそ、現代の役物として壁や床など目に見えるところに使われる。加工板という最終商品を作るところがもっとも強いのだ。
考えてみれば、世間はみな最終商品を求めている。昔は素材を購入して、自分で手を入れて……というのが当たり前だった。しかし、それは変わってきたのだ。
たとえば野菜や肉から料理する。しかし、今や総菜が大はやりだ。いや、お米だって、炊くのが面倒なのか、おにぎりや炊飯そのものが売りに出されている。結果的に、外食か持ち帰り弁当が広がっている。食べるだけ、という商品を求めているのだ。
それとは別に、木材流通の要は、製材所ではなく、プレカット工場になっているようだ。
プレカットは、消費者にもっとも近くで最終商品を作っているところ。ここがエンドユーザーの情報を握り、ニーズのあるアイテムやロットを握っている。山元や木材市場、製材所、工務店だって、その下請けになっていくのかもしれない。
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