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2011/06/20

ブランド化の罠

昨夜、鎌倉・横浜巡りから帰宅。

あちらでは、偶然ながら「オーガニック・エクスポ?」の関係者と会って多少話した。

ここでこのエクスポとは何かは私もよく知らないので割愛するが、一応世界的規模のイベントの日本版らしい。そして、これまで衣食中心だったが、今後は住にも力を入れていくとのこと。で、住のオーガニックとは何かということになるのだが、住宅や家具に接着剤(化学物質)などを使わない材料という点や、森を守る林業的な切り口になるそうだ。

そこで林業の現状などを即席で解説してしまったが、必要なのは「材価を上げること」。山元に利益を還元すること……であると伝えた。では、どうする?

そこで誰もが思いつくのは、木材、あるいは木材商品のブランド化だ。

たしかに国産材であること、無垢で品質が高いこと……などを訴えると、そうした分野に関心の高い層は、価格が高くても買ってくれる可能性はある。高くて利益が出たら、山元への還元額も増やせるだろう……。

皆さん、そう考えてしまうんだよなあ。これが、罠ではないか(~_~;)と思う。

実は、その前にメールで相談を受けたのだが、ある研究者から今後の研究テーマとして国産木材のブランド化によって林業振興・地域おこしを進めることを考えている、という内容だった。

しかし、私の返信は、No!だった。ブランド化は林業振興や地域振興につながらないだろう、というものだった。

まず、木材のブランド化とは何を指すか、という問題がある。木目などの見栄えか、強度などの品質か、それとも自然素材であることなど環境か、地場産だという愛郷心をくすぐることか……。

が、いずれも量にはつながらないだろう。そもそもブランドは流行りものの一過性の面が強いし、それらにこだわって割高に支払ってくれる顧客は少ない。しかも、一部の木材をブランド化することは、その他の木材と差別化するわけだから、非ブランド材の売れ行きを落としかねない。

結局、ブランド化は個人や企業などの経営戦略としては有効なのだが、森全体への影響力は低いのだ。もし、木材(国産材)利用を高めて、森の整備を行き届かせるようにしたいとお考えなら、ブランド化は主要な手段にならない。(ブランド化が悪いわけではない。事業主なら、大いに挑戦してほしい。利益を上げて、その一部を森に還元してほしい)

ここで考え方を変えねばならない。

山元への利益還元=木材価格を上げること=木材商品の価格を上げること

ではない。かといって、

木材商品の価格は上げず、販売量を増やす 

でも感心しない。これでは利益が薄いまま伐採量を増やして山を荒らしかねない。

山元への利益還元=木材価格を上げる=木材商品の価格は上げず、商品の利益率を上げる

でなくてはいけない。

販売量を増やしてもよいが、その場合は環境負荷を考えて「そこそこ」にすることが肝要だ。

利益率を上げるには、どうすればよいか。

まずは、コスト削減。山元から流通、そして加工、販売までの無駄を省き、生産性を上げる。これは当たり前だ。

次に、付加価値を高める。消費者も納得の付加価値を付けたら、高くても文句は出ない。
それは木取りや乾燥などで木材品質を高めたり、流通サービスだったりする。通常の小包より、翌日配達の宅配便には高く払うだろう。

もう一つ、流通の仕組みを変えることも必要だ。誰も損をせず、利益配分を変えられないか。たとえば梱包を簡単にする代わりに安くする。確実に買い取る契約をして営業費を削ってもらう。輸送ルートを短縮する……。ここは、頭の絞り具合だろうな。

 

しかし利益率を上げても、山元へ還元しないケースもありえる。それを防ぐには「見える化」や厳密な契約が必要だろうが、それ以上に倫理観が要求されるのではなかろうか。

考えている内に、木材産業にもっとも必要なのは、この倫理観か? と思ったりして(~_~;)。

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コメント

うん。
倫理観必要説に賛成。
ぁ。愛も必要かもよ。

倫理と愛、ね。うんうん。

私に足りないもの……かも(笑)。

 私は、過日のA○B総選挙で愛と貨幣の区別があいまいになっています。あと、倫理も。まあ、私自身もアイドルにくるっていた時代もあったわけで・・・・。
 その勢いを山に!

ちょっと専門分野と言うのか、渦中に居るので発言させて頂きます。自分のレベル(一人親方の吹けば飛びそうな木工場)やもう少し大きな工場でも山(森林組合)と直接取引きしてるところは微小と思うので、原木の単価を上げるとか余分に出た利益を山へ還元は不可能でしょうね。
銘建さんや住林(住宅メーカー)なら可能でしょうが、彼等は生き残りをかけてコストダウンに躍起になってますので、出た利益を山に戻すことは無いんでは?

で、どちらが山にとって良いのかと考えると、日本の山に感心を持ってる、零細~中小の最終木製品製造業者(だから地場の工務店も入ります)が増えて元気になることだと思います。
それには、ユーザーさんが私達を支えてくれる必要があるんですが、やっぱし養生用の毛布は似鳥で買ってしまう自分が悲しいです・・・

そうなんですよねえ。この手の問題を考えると、結局は利益を山元に確実に還元する手段が見つからない。なぜなら、各段階の業者が別々だから。

そこで「大林業構想」が登場するのです(^^;)。業者を分断しては利益は途中で抜き取られる。それをつなぐコーディネート役が求められるけど、それを支えるのが倫理であり、愛なのです。(なんか伝道師の気分。)AKBに向ける愛のほんの少しを山におすそ分けしましょう。

作って売るほうにすれば、材料原価は低いほうがもうかるわけで、
山への還元と言いつつも自分のビジネスの維持が第一ですしね。

小さな個人経営のところは、まぁ、山への適正なおすそわけができればね。

唯一、「組手什」は売上金の5%を「木の駅」または「木の駅の発足プロジェクト」に寄付するのを義務として、各地への技術移転を進めています。なので私達は権利を放棄しました。(正しくは先に発表してしまったので取れなくなった)

微々力ですが、このシステムは良いと信じています。
↓鳥取のサイトでの説明
http://www.karooyaji.org/modules/pico2/index.php?content_id=6

ついしん
ちょっと組手什だけ一人歩きをしそうなので心配してます。

売上の何%かを山に還すという方式をとっている人・事業所はいくつかありますよ。山元に返す以外に、森林関係のNPOなどに寄付するとか、いろいろあります。でも、まだまだ大きな動きにはなりませんね。
自分の利益を削るだけに見えますからね。

やはり寄付の形では難しいのだと思います。たとえば植林費用として渡すとか、何か目に見える形で森林に貢献しないと。その仕組みが難しい。

木材加工やブランド開発や流通革新とか、都市山村交流や農山村活性化などなどが叫ばれるようですが、以下は私案。
(62歳、9人の孫持ち爺さん。恥ずかしながらの『私案』です。孫たちは『嵐』と『AKB』に夢中の日々。御笑覧あれ)
その①
都市の住人が山村に移住して『森林都市を形作る』というのは如何でしょうか!?
それも、
・・・「先端ITリゾート森林都市●●」・・・『先端ITと、リゾート』がくっつくのがミソです。

リゾートで暮らす・仕事する、そして週末は『スポーツ林業』で社会貢献。・・・(週末は私たちAKB○○の面々も、おじ様たちと共に森林で良い汗流したい!!)
な~んて、ね。

その②
彼らに釣られて、若者もギャル(ちと旧いか?)も続々と森へ。

いえ、『逆転の発想です』
首に縄を掛けて水場に連れて行くより、云々のアレこそが、むしろ必要かと。

若者を林業従事者に仕立てる構想が失敗するとなると、次は思い切った斬新な発想で《超若者》に狙いをつける。若者や超若者の《火付け・躍らせ役》は今はやはりAKB○○、でしょう。

その③
一つのリゾート地に対して100戸の家を建てる『開発』プラン=勿論、地元の木で、地元の工務店が建築する。上棟式での餅撒きはAKB○○が仕切る。もしかしてAKB巫女!?
間伐とか搬出とかもイベントにし、そのときもAKB○○が一緒に行動する。
・・・全国に潜在するAKB志願者を《適材適所》、仕立てて・・・こちらは『芸人発掘プラン』。

その④
お茶の間の人気者が、あのAKBが森へ行って、何かやらかすのだと!! (言いたいのは→森ガールならぬ『AKB森○○』ってこと。)

新しい社会現象の出現を上手く繋げるのが『有識者』の役割かと。そして、この種の『森林有識者』としては、私は、田中さんを於いて他にないと、(勝手な思い込み、失礼。森林問題をドラスティックに切れる方、という意味でも、です。)

今夜はこのテーマで一晩中の夢見かも(苦笑)

AKBへの想い、伝わりました(^^;)
だって、このコメントの中に8回も登場するのだもの(笑)。

私も森林都市を夢想したことがあります。単なる住居提供だけではダメなので、職場として「森林オフィス」をつくることで、職住を森林地帯に設けることですね。
設置するのは、廃村(消滅集落)。ITインフラを整備して、一定規模の人口(100人まで)を形成したら、まったく違った集落が生み出せるのではないか……。

森林作業を無理にさせなくてもよいのです。住んで、目の前に森林を見て感じれば、何か新たな動きが出てくるだろうと。

森林都市構想の推進に追い風かあるように思えます。→データセンター、です。

山村に移り住みたいという動きもあるでしょうし、山村に転勤になる、というのもありえると思います。 (どちらも当該市町村は歓迎しますかね?)

山村に企業が来る、人が来るとなると建物が必要、居住場所が必要ということになります。地元材活用のチャンスかも。

田中様
平成13年に私は、勝手に自分のすむ町を「世界の木材都市」にする宣言をしました。丁度10年前ですから、大法螺吹きと思われたでしょう。まあ、誰もおぼえてはいませんが・・・。

おかげさまで順調にことは進み、駅周辺は、誰が見ても世界に冠たる木材都市に仕上がりました。

木材のブランド化よりも木材を使って、こんなことができますよというモデル場が欲しかったわけです。大いなる社会実験でして、そうなると町の人も「木材を使わなければ!」と次第に建物に取り入れてきていただいています。しかし、結構時間の掛かる木の長い作業ですよ。

心意木も必要なんでしょうね。

「世界の木材都市」ですか。こうしたキャッチフレーズがいいですね。そして、それを掲げる心意木も。

ブランド化によって差別化するのではなく、誰もがつくれる・手に入れられる商品をつくって、その中で品質やデザインを切磋琢磨してほしいですね。
ある木工品の作り方をパテント化したり、商標登録してほかが真似できないものにしてはダメなんですね。
たとえばチェンソーアートの技術を隠してはダメで、むしろ広めて、誰の作品は面白いデザインだ、難しい技術を持っている、と競い合ってほしい。それはビジネスモデルも一緒。
囲い込みすると、もはや衰退するだけです。

ある宗教団体が都会の本部機能のほとんどを
地方へ移す計画があるそうです。
環境問題に積極的に取り組んできた結果、
地方への移転を決断したという話。
移転先では数百人の人口増が生まれます。
宗教団体という性格から、移転に対し心配の声も
ないわけではないのでしょうが、
特におおきなトラブルも無く話は進んでいるようです。
これもひとつの「森林オフィス」と言ってもいいでしょう。

そろそろ秘密結社「田中組」も拠点を持ちますか?

宗教法人をつくって、御布施として持て余している山林をどんどん寄付させる……という組織を作れたら、と考えたことがあります。

宗教団体だからと言って、すべて警戒しなくてもいいでしょう。ただ規模が大きくなるとトラブルの元。なんでもソコソコです。

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