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2011/06/27

世界遺産、取り消し?

小笠原諸島の世界自然遺産決定に触発されて、思い出話を披露したわけだが、もしかして世界遺産取り消し? という話題もある。

一つは、先回の森林組合の項目でも触れた、和歌山県新宮市の「熊野古道」沿いの森林を、森林組合が無断で伐採した件。この事件、今もよくわからないのだが(なぜ、伐採する必要があったのか、理解できない)、実はこのために世界遺産の景観を壊したことになり、登録抹消の可能性が指摘されている。

さすがに関係者も、それは想定外だろう。今頃あわてて植樹しているが、なに、埋土種子もあるだろうし、萌芽更新する種も混ざっているから、そんなに焦らなくても回復するだろう。ただ、再び森になるまで登録停止なんてことはありえる。

ところが、もう一つ問題が発生したのだ。

それは、なんと「古都奈良の文化財」である。しかも最も大きな「平城宮跡」が危機なのだ。

実は、昨年の遷都1300年祭のメイン会場にしたため、朱雀門前に約300台分の駐車場を建設している。また、復元した大極殿の周りに約1キロの木柵を築いた。これが、文化財を損ねているというのだ。それらを撤去することをユネスコが求めようとしている。

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大極殿と、木柵。

まあ、駐車場はもともと5年後を目処に撤去する予定だったし、木柵も仮柵であり、本格的な回廊を建設するまでだという。しかし、その回廊がいつ完成するかわからないのだから、それまで残しておくことができるかどうか。駐車場がなくなると、観光にも響くしね。

さらに回廊復元でも、理論的根拠を求められるという。不正確な復元をして遺跡の真実性が損なわれては困るというわけである。しかし、どんな回廊だったか、ほとんど記録がないのだから、正確な復元はできないだろう。

さらに言えば、大極殿自体が、記録のないまま想像で「復元」した建物であり、今の形状である根拠はない。もし本気で突っ込まれたら「不正確な復元」になってしまう。こちらは、文化庁上げての大事業だったわけだが、それが世界遺産の精神に適さないと言われたら…。

さあ、どうする?

ついでに言えば、今年11月20日には、この平城宮跡を会場に、全国育樹祭の式典が開かれる。皇太子殿下も招いた奈良県にとっては大きなイベント。それにケチがつかぬようにね。

※この全国育樹祭の関連行事として、吉野で育林交流集会(シンポジウム)や森林林業環境機械展示実演会も.開かれる。私はシンポに出席する予定だが、機械展も見たいね。高性能林業機械が勢ぞろいするかもしれんよ。

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