『森林異変』書評・WEDGE7月号
東京往復の行程で手にしたWEDGE7月号。
ここに拙著『森林異変』の書評が載っていた。
ちなみに、今号には「人にやさしい技術」という連載で
「燃料代も節約
木質ペレットが
森林を救う」
という記事も掲載されていた。これによると、なかなか木質ペレットの製造も奥が深いな、と思わせる。ただ製造メーカーは、まだ利益を出していないようだ。いかなる技術も、経済性が普及を左右する。
なお、巻頭特集は「それでも原発 動かすしかない」。
私は、あえて世相に逆らう「原発推進」を掲げるのはいかなる論理か、楽しみに読んだ。
残念ながらつまらなかった。言い古された論理の羅列である。原発が止まったら電力供給が危機になる、日本経済がアブナイ、の一辺倒だ。必死で原発擁護するために努力しているという意図だけは伝わってくる。
そのほか「国が前面に立てば原発は動かせる」とか「東電だけが悪者か」「発送電分離より大型化を」と、まさに時代錯誤ばかり(笑)。原発は使えないという前提で経済を組み立てる発想がないなあ。
浜岡原発を止めたことも、高さ15メートル津波を想定していないから止めるなら、日本中の原発を止めねばならない、という批判。そのとおり。止めろよ、全部。
残念ながら月刊誌は、回転が遅い。7月号に掲載する記事は、おそらく5月一杯が最終締め切りだろう。マスコミの論調は、5月の原発擁護から6月からの原発たたきに舵を切ったことが反映できなかったのではないかな。
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まぁ、JRの雑誌ですからね。
JR東海のリニアは原発を否定しちゃあ動かないでしょう。
投稿: スポット | 2011/07/04 10:20
拙著の書評を載せてくれた雑誌に対して、こんな感想書く私もどうかしていますが(~_~;)。
意外な切り口で原発擁護しているのなら、むしろ感心したのかもしれないんだけどね。
でも、東京は軒並み暑かったけど、新幹線の中は涼しかった。JR東海は、中部電力管内だからかなあ。中部電力は、日本で最初の脱原発・電力会社なんですが。
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/04 10:48
JR東で通勤しているあがたしですが,冷房はちゃんと効いてます.JR東は自前で発電設備を持っていますので(東電から電力供給を受けているのは信号・踏切などの設備).でも,全体としての電力需要を抑えるためにか,車内・駅内の照明はかなり暗くなっています.朝の品川駅在来線コンコースなんて,ちょっとビックリするくらいの暗さです(新幹線乗り場はそうでもない.品川駅の電力供給がJR東とJR海とで分離されているのかどうかはわかりませんが).
Wedgeは,たまに見事な特集を出しますが,逆に大宣伝の割には凡庸な内容という記事も同じくらいの頻度で出てきますね.
投稿: あがたし | 2011/07/04 14:24
そうすか~。山手線内の冷房は効きが弱かったような気がする。。。地下鉄はましだった。
WEDGEは、穴場的雑誌なんですけどね。
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/04 17:10
老婆心ながら、「浜岡原発」とかくべきところが「浜松原発」となっております。
(ちなみに『森林異変』は読んでおります)
投稿: 小野山 | 2011/07/08 01:02
おおお、焦って直しました(^^;)。
ご指摘ありがとうございます。
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/08 08:59