驚! 仮設住宅に関する住田町の決断
東京では、モア・トゥリーズも訪れた。
本ブログでも幾度も紹介している岩手県住田町の木造一戸建て仮設住宅の建設に際して、その資金援助を申し出た団体だ。
プロジェクト・LIFE311 である。
この件について驚くことを聞いてしまった。
そもそもこのプロジェクトは、住田町の仮設住宅が一戸建てであることや、被災地ではなく隣接自治体に建てることなどから、国や県の支援を受けられないことから始まった。110棟建てて、そこにペレットストーブを入れることから、1棟約300万円かかる。そこで費用を約3億円と見込んで、モア・トゥリーズはそれだけ集めると啖呵を切ったわけである。
ところが、この事実が多くのマスコミで取り上げられ報道されると、県も無視できなくなったらしい。住田町が建てた仮設住宅を買い上げるという打診があったそうだ。つまり、もう建てて入居者もいるので、建設費を援助できないから、住宅ごと県のものとするというわけだ。
つまり、3億円を県が出してくれるというのである。
だが、住田町の多田町長は、どんな判断をしたか。
断ったのである\(^o^)/
せっかく民間(モア・トゥリーズ)が、寄付を集めているのに、県からお金をもらったら、これまで集まった浄財の行き場がなくなるではないか。やはり約束した信義を重んじたのである。
この瞬間、モア・トゥリーズは、確実に3億円の負債を抱えることが決定した(^^;)。
もはや逃げ道はないぞ。
ちなみに本日の時点で集まっているのは、2580万7436円。目標額の1割にも達していない……。
担当者は、ロト6を買おうかな、と呟いていました(笑)。
募金の性質上、そして仮設を建設した業者への支払いを考えても、今年一杯が勝負のはず。奮闘を期待しています。
そして。ぜひ皆さんに支援をお願いしたい。
« 『森林異変』書評・WEDGE7月号 | トップページ | セイホク石巻工場が再開へ »
「政策・行政関係」カテゴリの記事
- 木材のトランプ関税(2025.04.17)
- 「里山広葉樹の利活用」に向けた提言とやら(2025.04.20)
- 林野庁「森林林業の現状」分析を楽しむ(2025.03.28)
- 林業機械に林業3原則を植え付けろ!(2025.03.10)
- モクレポに見る木材輸入額推移(2025.03.03)
いや、あっぱれ。福島各地の安易路線依存型首長も見習いなさい。
今回の震災、原発事故について、もう常識的な、というか既製の判断ではどうしようもないんじゃないか、と思っています。
どこか突き抜けた部分(普通、非常識と言われる)がないと、乗りきれないのでは。
(福島県民)
投稿: unchan10 | 2011/07/04 22:04
いやあ、3億円集める側は大変でしょうが。
ともあれ切った啖呵は引っ込めない。ロトは買わせない(笑)。
ちょうど物議をかもしている松本某復興大臣の挙動は、たしかに失礼だし、被災者と痛みを分かち合えないと思うが、「アイデア出さないところは助けない」という発言の真意は意味深だ。
依存して助けを待っていては、どんどん遅れるよ。まず考えましょう。そして行動しましょう。
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/04 22:33
住田町の自己負担はゼロなんでしょうか?
手元に資料が残ってませんが、たしか地震直後に町長の決断(議会を通過する時間は無かった筈)で県に申請をした。と記憶しています。モア・トゥリーズの支援がこの決断の前なのか後なのかは自分は把握していませんが、もし支援を受ける事が決まっていたなら、英断とは言えませんよね。しかもこの件で住田町はNHKでも特集する程に有名になりましたから・・・
前だったら、相当切れ者な首長さんです。
まあ兎に角、今回、災害救助法や応急仮設住宅関連などでは、かなりの愚考、愚行が暴かれましたですね。
投稿: 建具屋・都築@三河湾岸です | 2011/07/05 07:10
順序としては、まず業者などに町が支払い、モア・トゥリーズは町に寄付する、ということになるんでしょうね。
町長の判断は震災3日目。モア・トゥリーズがそのことを知ったのは、フェイスブックを通じての新聞記事で、住田町に行き提案したのは4月に入ってからじゃなかったかな。
住田町は負担があるなしに関わらず名を挙げたのだから、収支はプラスでしょう。
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/05 09:05
ここはひとつ「森林異変」の印税をポン!となんてどうでしょう?
投稿: スポット | 2011/07/05 15:34
建具屋・都築@三河湾岸です
>ここはひとつ「森林異変」の印税をポン!となんてどうでしょう?
焼け舗装に打ち水とか・・・
(と書くと田中さんが憤慨して忘我状態に陥りそうなので訂正します)
イチバン円く納まるのは、岩手県とか住田町がLIFE311に寄付する事でしょうが、法律とか条令とかで無理なんでしょうね・・・
1000年ごとにしか来ない災害の時くらいは特例とか特区を発令するくらいの発想は無いんでしょうかね・・・!?
3月の時点で住田町は多田町長の決断でGOをしたみたいなので、その事は町民を含めメチャクチャ褒められる決断と思います。結果、全国的に名を知らしめたのは事実です。何がしかの負担はするべきと私は思います。
投稿: 建具屋・都築@三河湾岸です | 2011/07/05 18:06
痛いところを……(*_*)。
ここは小細工抜きに、モア・トゥリーズに頑張っていただき、そして民間有志が支援するというスキームを崩さない方がいいでしょう。
万万が一、目標に到達できなくても、その努力と成果は決して貶めるものではありません。その時は、ちゃんとホワイトナイトが現れるって。大丈夫!
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/05 22:15
出来ることから始めよう!
今、「LIFE311project」宛、本当にわずかながら寄付をしました。
昼間振り込んだ
「森林セラピスト・フィールド講習受験料30,000円」
に比べると・・・
「森を歩く・森林セラピーへのいざない」を6月15日に読み始め、2回読み終えました。
お蔭様で私なりの「森林セラピスト像」が少し見えてきたような気がします。
福岡県在住
投稿: よかやす | 2011/07/05 22:58
感謝m(._.)m。
拙著もお読みいただきありがとうございます。
森林セラピーには妙なところもありますが、セラピストの勉強は森とのつきあい方を学ぶことにもつながります。うまく利用してください。
投稿: 田中淳夫 | 2011/07/06 00:06