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2011/07/24

福島森林除染計画2~除染産業と新たな林業

さて、森林にも降り注いだであろう放射性物質の除染には、どんな方法が考えられるだろうか。

まず、放射性物質が存在しているところはどこか知らねばならない。

通常考えられるのは、空から舞い降りたのだから、森林の林冠部、つまり枝葉だろう。これは葉の形態にもよるが、最初に落ちてきた物質が付着した後で、それがどのように移動・あるいは留まるのかはわからない。スギやヒノキの葉の形状を見るに、細かな隙間に潜り込む可能性がなしとは言えないだろう。
幹の樹皮に付着することも考えられるが、量的に問題にならないはずだ。よほどの豪雨でないと、樹皮に雨が吹きつけたり、樹冠から幹を流れ落ちる樹幹雨にはなりにくいからだ。

そして、やはり土壌だ。直接降り注いだもののほか、枝葉に着いた物質も、数カ月もたてば、降雨などで洗い流され地面に落ちるものもあるだろう。また最大の放出があった3月時では、針葉樹林は葉を付けていたが、落葉樹林は葉がない状態だった。つまり、そのまま地面に落ちたと考えられる。
なお針葉樹だって、だいたい数年で葉を落とす。結局、地面に移動するわけだ。その前に、除去する手立てがほしい。

この土壌に落ちた放射性物質は、永く経てば地下に浸透することも考えられるが、今のところ表層に留まっているという調査結果が出ている(これは市街地の土壌の場合だが)。土壌の粒子などに付着・吸着されているのかもしれない。

※別次元だが、ゴルフ場でも、散布した農薬は、ほとんど地下に浸透せず、地表から5センチ以内に永く留まるという研究結果を読んだことがある。主にサッチと呼ぶ腐葉土層に吸着されるからである。

こうした放射性物質の動態については、森林総研が研究を始めるという。8月にチームを結成するというが、のんびりやらんと早急に結果を出してほしいものだ。

 

 

ともあれ、高汚染森林地域の除染を考えた場合、方法としては樹冠部の除去と腐葉土層の除去の両方が考えられる。

森林内の落葉かきを全山で行う様子を頭に描くと、クラクラした(^^;)。ましてや、山林内の表土を5センチ剥ぐことを考えると目眩がする。
もちろん、全山の除染をする前に、人が入りそうな森を重点的に行うべきだろう。

ここで気がつくのは、林内の表面をかきとる作業は、林業の地拵えと似ていることだ。伐採後の林内の片づけ作業で、落とした枝葉の片づけである。重機を使うこともある。

一方、樹冠の除去は、ようするに伐採を意味する。伐採して、枝葉を切り取る……これって、通常の林業で行っている作業だ。プロセッサなどの機械を使うと、いとも簡単にできる。枝葉を取ることは、付着した放射性物質を集めることにもつながる。

つまり、伐採して、枝葉を払って、跡地を地拵えする……これって、林業の一連の流れではないか。ただ一般的な林内作業は、伐採後、枝葉を払って丸太を持ち出す。枝葉は林内に残すわけだ。

ここで全木集材という方法があることを思い出したい。伐採後に枝葉を付けたままの木を引っ張りだすものだ。全木を土場まで運んで、そこで枝葉を落とすのだ。欧米では普通だと聞いた。

この時、引きずる樹木で林床をホウキで掃いたようになり、地面をかく効果があるそうだ。だから地拵えもいらなくなる。この方法を低コスト造林法の一つとして試す業者がいる。

この全木集材法は、除染にも応用が効くはずだ。

まず、一気に樹冠部の除去ができる。腐葉土層を掃き集めもある程度は期待できる。完全除去まではならないだろうが、かなり線量を落とせる可能性がある。

ただ土壌の撹乱にもつながって、その際に放射性物質が舞い上がるなどの心配はしなくてはならない。一時的に線量は高まるかもしれない。
やはり作業は、すべて乗用タイプの林業機械で行うのが、無難ではないか。基本的に車内は密室だから、被曝する可能性は低くなる。

問題は、集めた枝葉だ。ここの線量がどれほどなのか、まったくわからない。案外、地表と変わらないかもしれないし、集積するのだから異常に高くなるケースだってあるだろう。

この処分は、特殊な焼却炉が必要となる。燃やした煙から放射性物質を放出させない完全密閉タイプの炉だ。

ここで焼却の熱は、コジェネレーションとして温水による地域暖房と発電に回す。小規模でも電気は買い取らせるから利益も出るだろう。これは地域の産業となるはずだ。

そして焼却後の灰。ここには濃縮した分だけ、線量は高いだろうね。ただ嵩は随分小さくなったはずだ。ガラス固化技術なども必要かもしれない。いずれにしても、この灰をいかに保管するか。私は、東電本社屋に積み上げたらよいと思っているが、まあ、福島第1原発周辺に保管場所を求めるのが現実的だろう。

こうした一連の流れを除染産業として立ち上げる。公共事業的ではあるが、実は地域分散型エネルギー産業の育成である。

 
 

 

これだけに終わらない。なぜなら伐採して林内から出し枝葉を払った跡には、原木が残るからだ。
この原木、もちろん使うのである。太いものは当然用材とするが、細いものもすべて利用する。ただし、剥いだ樹皮は、しっかり集めて樹冠部と一緒に焼却すべきだろう。ただ、この場合は木を選んで伐採するのではなく、皆伐的であるから細い木もかなりあるだろう。それでも燃料以外にも商品開発すべきだ。徹底的に使い尽くす、ゼロ・エミッションの林業を確立する。

ここに除染と林業のリンクが成立するのだ。

このように、除染作業を木材供給とバイオマスエネルギー供給の新産業とする態勢を築き上げる。それは新しい林業であり、地域再興産業である。

なお伐採跡地は、すぐに植林する。新たに育つ木が、土壌中の放射性物質を吸収してくれるだろう。幸い、それらは、枝葉や形成層のある樹皮にしか溜まらない。次の伐採が、また除染効果になる。これは循環型除染だ。一足飛びに完全除染を狙うのではなく、数十年単位で放射性物質を除去する発想も必要だろう。

この構想には、裏付けとなるデータがない。それぞれの線量もわからなければ、安全な作業法も模索しないといけない。細部は煮詰めていないし、工程表もない。そんなもん、無料で書いているブログに求めるな(^^;)。

しかし、やるという意志があり、智恵と努力と、福島・愛(これがミソね^o^)があればできる。そう確信している。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

「東電本社屋に積み上げたらよい」には私も賛成です。現実的には、福島の方には申し訳ないけれど、東電原発周辺(津波被害の心配がない場所)に中間処理施設を作るしかないですね。 それと、作業をする方を少しでも被爆から守る装備(負担の少ないマスクなど)も必要ですね。

面白いです。
被曝林野は完全放棄の立入り禁止持出し禁止、手付かずの原野の様になっていくしかないのかなあお思っていましたが
こういった思い切った発想もありかですね。

放射性物質の処分・保管場所問題や、作業者のための防護マニュアル、そして施業手順などを考えることが得意な専門家はいるはずです。

必要なのは、政治家、官僚、研究者らみんなが前向きに考えること、そして行動することではないかなあ。
原発20キロ圏は、もはや人も入れないのだから除染対象にもしにくいけど、まだ除染が間に合う大地はあるのですから。

やっぱりドイツの計測器担いで、ツリークライマーと同行すべきだったかも。

ツリークライマーがいたのですか? 
ぜひ、樹冠部の線量を計ってほしいなあ。ここのデータがないのです。

と、他力本願ですが。

戸渡の森でなんどかやってくれた人がいます。会津の人なんだけど最近連絡していません。

いっそのこと、伐り倒しちゃって計測とか(^^;)。

森林総研の研究場に提供するという名目にしてもいいかな。

高線量だったらちょっと飛散が怖いような。(笑)

ずっと思っていたのはパラグライダーでの計測なんですけど、これも上空が高線量と言われているので頼みにくいですね。
地元大学ではたしか熱気球使ったですけど。

unchan10さんなら、心配いらないです(笑)。

上空線量を計っても仕方がないと思うんですね。空気の移動によって変化してしまうから。
樹冠の葉の部分に、どれだけ放射性物質が付着しているかが問題です。それと林床土壌ですね。葉に付いていないのなら地表に落ちたことになる。あるいは樹木は付着しづらいという結果が出るかもしれない。

上空から計るのも別の意味では大切かも(^^)。今ニュースで隣の川内村で紅人ヘリ使うと。空で計って、地上一メートルも換算できるのだそうです。空中散布や亭主の趣味でラジコンヘリは身近だったのに気がつかなかった。

この頃、被爆で脳の細胞が半分くらい壊れたと感じています。 (笑)

紅人ヘリ→無人ヘリ  署名も忘れた。
やっぱりやばい。(笑)

がれき木材を発電所燃料に 林野庁“一石三鳥”狙い
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201107270110.html

紅人ヘリ、いや無人減り、いや無人ヘリコプターですか。

大丈夫です、脳細胞は壊れてません。キー打つ指は…だけど(笑)。

みんな、あの手この手だなあ。

林業の作業としては、枝葉にどれだけ残留しているかが心配。林床が低くても、森の上を飛ばして高かったら、怖い。

中国新聞が今頃この話題を記事にしたんですね。あと、読売もかな。
もともと林野庁の狙いは後半、つまり林地残材にあるのだろうから、瓦礫をネタに推進するのはいいでしょう。
ただ瓦礫だけでは足りないから、除染林材も使うようにすべきです。それで時間を稼いで、全木集材のシステムを構築すればと思うんですがね。

ツイッターに勝手にリンクを貼ってしまいました、ご迷惑をお掛けするかも解かりません。すみません。ただ、木材に放射性物質が含まれる可能性が殆どゼロの筈なのに「五山送り火」であの企画が中止に追い込まれたことは、自分達にとっても無関係ではありませんし・・・

いえいえ、「五山の送り火」事件に関しては、私も言いたいことが山ほどあります。
岩手という、これまでは放射能問題では、あまり関係のないとされた土地が舞台であることも重要です。
そこには、実際に放射性物質があるか否かではなく、「被災地は汚れた地」という穢れの思想に縛られていることになる。
とすると、除染そのものが否定されてしまうのです。実際の危険性ではなく、穢れたものに関わりたくないという感情は、まさに差別の根源ではないのか。
放射線値を計るより、御祓いをした方がマシか。

これが日本人の本性なのか、とさえ思う。

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