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2011/08/10

書評「ぼくは写真家になる!」

私の友人でもある写真家、太田順一さんの「ぼくは写真家になる!」 (岩波ジュニア新書)を読み終えた。

ジュニア新書とは言っても、子供向きに書いたわけではない。

ジャーナリストに憧れて早稲田大学に進むが、学園紛争に巻き込まれて中退し、ならばと映画づくりに取り組むが挫折。帰郷して会社員になる。そんなある日、たまたま手にとった写真専門学校のパンフレットのせいで、夜間コースに通って卒業。そのまま小さな新聞社に転職したのち、独立してフリーになる。

この頃私は彼と知り合っているはずだ。

実は、一緒に仕事をしたのは数回止まりで、たまに飲みに行くこともあるが、ほとんどは偶然どこか出会って立ち話をする……という仲だ(^^;)。最近あったのは、数カ月前に、なぜか喫茶店の席に背中合わせに座っていた。帰る際に気づいて挨拶した程度。

同じ奈良在住だからかもしれないが、不思議な関係ではある。

しかし、彼は独特の作風とこだわりで作品づくりをする。

写真集を列挙すると、
女たちの猪飼野』(晶文社)
大阪ウチナーンチュ』(ブレーンセンター)
ハンセン病療養所 隔離の90年』『ハンセン病療養所 百年の居場所』(解放出版社)
佐渡の鼓童』(プレーンセンター)
化外の花』(ブレーンセンター)

などがある。在日朝鮮人、在阪沖縄人。ハンセン氏病罹患者。和太鼓集団に、工場地帯に咲く野花。……マイノリティの世界を描く。とくに好んで選んだわけではなく、そうした世界の仕事が転がり込んでくるらしい。
ものすごく地味だ(笑)。でも、ものすごく味がある作品群。日本写真協会賞作家賞などを受賞している。

写真集だけでは食べていけないのだが、逆に開き直って、1冊作るのに何年もかけている。

これらの作品を作る過程が描かれている。断片的に製作中の裏話も聞いていたが、改めてこんな意図を持って取り組んでいたのかと驚く。阪神大震災の時は、幾度も撮影依頼を断ったというエピソードもある。

そういえば、写真を撮るだけでは満足しなくなったことをいつだったか聞いた。動かぬ写真だけでなく、描き出したいものがあるとか。それで文章の世界にも足を踏み入れているとか。
その点は同感だ。私は、写真の世界に手を延ばすか(笑)。

先に会ったとき、別れ際に、「また、一緒に仕事しましょう」と言った。いや、本気である。
自然写真を得意とする人に森林の写真を撮らせるより、彼に山村を、限界集落を撮らせたい

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

ども、です。
よい写真をお撮りください。

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