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森と林業の本

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2011/08/04

「原発」中毒・「森林」依存症

昨日の稲本正さんの話。

いろいろ面白かったのだが、さすが元理論物理研究者である。宇宙論から素粒子論まで話しだすと止まらない。若き頃、原子の研究から転向して、木工職人へと舵を切った今も、物理に対する偏愛?は残っているとみた(^o^)。

そして、現在のフクイチ・原発事故の話になったとき、意味深いことを言った。

「原子の世界って研究すると面白いんだよ。好きになると別れられない。だから今、電子力ムラと言われている原発研究者や政策推進者は、あれほどの事故を起こしたのに原発から離れられない。中毒になってしまってる
そして「私も、もう少しあの世界にいたら、なっていた」。

この言葉、実に腑に落ちた。というのも、フクイチの事故は、全世界に反原発の動きを広めているし、誰の目に見ても今や原子力が時代遅れであることは明らかなのに、肝心の原子力研究者や原子力を推進してきた政治家・官僚は、今も必死に脱原発の動きを押し止め、推進へと反転攻勢に討って出ようとしている。

それは、単に利権のため……と説明されているが、それでは納得できないものがあった。必ずしも全員が、原発絡みの甘い汁を吸ってきた・今後も吸える立場とは限らない。今の地位が脅かされるとも言えない。それでも、原発の“可能性”を語る。甘い夢を忘れられない。その偏愛ぶりに、なんだかどす黒く、気味悪いものを感じていた。

だが、彼らを原発中毒だと見れば、わかりやすい。原発の理論か、原発が開く明るい未来か知らないけれど、ハマッてしまったのだ。原発・愛なのだ。

愛は、理屈では語れない。どんなに否定されても、どんなに現場の悲惨さを示されても、別れられない。

「あの男は、ギャンブル狂だ」「暴力をふるうぞ」「浮気性だ」と周りが止めても離れられない女のように。いや、性悪の女に貢ぐ男の例もあるように。

もはや中毒であり、依存症である。もしかしたらストーカーのようにもなっている。
原子力の方が、もう勘弁してくれよぉ、と思っているのに「いや、君には素晴らしい未来が開けているんだ」と期待しちゃって追いかける(^o^)。ああ、わが子に無理な期待をかける教育ママに似ているかもしれないσ(^◇^;)

 

 
研究対象には、そんな魔力があることは、少しはわかる。

考えてみれば、森林とか木材の中毒というか、依存症もいるよなあ。新月伐採中毒とか、木質ペレット依存症とか……。

いっそ、「森林」中毒、「木材」依存症を増やすことが、森林の持続性を高めるヒントかもしれない。

何が中毒に引き込むのか分析し、人々の心に、木心の受容体(レセプター)を形成する。すると、レセプターにはまり込んだ木心愛が抜けない。離れようとすると、ものすごい痛みと不快感が引き起こされてしまうのだ。結果、酒のように、煙草のように、麻薬のように、木質から離れられなくなり、森を作らずにはいられない(笑)。
これぞ、1000年続ける森づくりの秘策である。

ちなみに、私も、稲本さんも、中毒にはならない体質みたいだよ。案外、覚めているところは覚めてるんだよね。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

ワタシの家を設計してくださった
設計士さんは、それにちがいありません。
その木材依存症とやら。

不思議なことに、
その周辺のヒトたちも。。。。

きっと感染るんですね。

木材使いすぎで、木材嫌いを増やす建築家がいるかも……。

しかも、伝染性だったのか、この依存症。あくびみたい(^^;)。

フクイチじゃないよ。フクシマだよ。

上記3つのコメントを削除します。きわめてレベルの低い個人攻撃だからです。
なお書き込んだ人も出入り禁止です。私のブログを穢す奴は許さない。

おっしゃるとおりです。
お母さまは優しいです。

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