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森と林業の本

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2011/09/06

水害と人工林批判を結びつけたがる愚

台風12号の被害は拡大するばかり。

マスコミも、相変わらず和歌山県田辺市、那智勝浦町、三重県紀宝町、そして十津川村にどっと押し寄せてレポートしている。とくに十津川村は、国道・県道全線普通になっている。自衛隊もヘリで物資を運んでいる状態なのに、どうしてレポーターは入れたのだろう。歩いて入ったか、ヘリコプターしかない。

が、テレビを見ていて看過できない発言があった。どこぞの記者が、「この辺の山はスギやヒノキばかりなのです。そうじゃないと商売にならないので植えたのですが、スギやヒノキは根が浅くて水害に弱いのです。だから土砂災害を引き起こして……」と連呼していた。

どうも話し方からすると、自分の意見というより聞きかじりらしく、地元の人か言ったというニュアンスだが、あまりに不用意な発言である。

まずスギやヒノキには保水力がないというのは、誤解である。林齢や間伐などの手入れ状況抜きに針葉樹を貶める発言はムカつく。

次に、今回の水害の原因は今後の調査を待たないといけないが、少なくても映像を見ただけでもこれは「深層崩壊」であることは歴然としている。またテレビ・新聞の解説でも、識者がそう説明している。森林土壌部分が崩れ流れる「表層崩壊」と違って、深層、つまり基盤岩層から崩れるケースに表面の森林が関係する可能性は極めて低い。

こうした極端な大雨が降った場合、いかなる森林であっても崩れるものだ。屋久島だって、白神山脈だって、崩れるときは崩れる。災害があると、その理由を人工林と結びつけたがる愚はええかげんにしてほしい。

よく70歳80歳の地元の人が登場して、「この地に生まれ育って、こんな水害は初めてだ」と発言させているが、自然のサイクルはそんなに短くない。80年を越えるスパンで起きる気象現象は少なくないだろう。100年200年周期で起きたとしても、頻繁と言える。ただ人間の記憶の幅を越えているから「未曾有の災害」と感じるだけだ。

そして「人が森林に手を付けたから、これまでにない災害が起こった」「人は大自然に適わない」という結論に結びつけたがる。

これは推測だが、今回の場合、原生林の方が崩壊度は大きいのではないかと想像している。原生林には下草が生えていなかったり、逆に密生していて十分に根を張っていない可能性があるからだ。

人が手を加えた自然は崩れやすい。そんな先入観から災害を論じてほしくない。
なお,気になるのは、都会人がそう思い込んでいるのは毎度だが、山村の人までそんな理解をしていては困る。自らが営々と築いた人工林に対して誇りを持ってものだ。

ただ、一点気になるのは、洪水現場に山積みになった流木である。流木が橋などにひっかかり、それが水をあふれさせた原因になったところは多いようだ。
この流木は、森林が地面ごと崩れてなぎ倒されたものなのか、それとも伐り捨て間伐で林内に残された間伐材が流れ出たのかはっきりしない。もし間伐材が主因なら、林業にも災害の一因を作った可能性がある。

その点だけは留意したい。

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コメント

田中会長が言うとおり、私も全く同じ考えです。自然界で、人工林と天然林の崩壊する差は無いとおもいます。また、年輩の方がテレビにでて「70年住んでて、なんたらかんたら・・・・」地形はもっと長いスパンをかけて変化しているから、いつ崩壊するか判断するのは難しい事です。何でもないような山腹斜面も、じつはしずかに「風化」が進んでいるからです。森林に原因をなすりつけるような事は、控えていただきたいと切に思います。

私、会長だっけ(笑)。

人工林は劣っているとか、時間のスパンの思い込みは、なかなか収まりませんね。
深層崩壊の原因は、重力によって何千年レベルで基盤岩層に亀裂が入るからで、ここ数十年の動きじゃないでしょう。

もしかして、大地震の揺れも関係あるかな? だとしたら、東北と連帯できるか(^^;)。

ひさびさに死者行方不明者合計が3ケタの豪雨災害となりましたね.これって2004年台風23号の98人を超えてますね.21世紀に入って最大の人的被害をもたらした雨ですね.

上北山・風屋・宮川といったAMeDASでは72時間降水量が同地点史上最多,いくつかではなんとAMeDAS全国史上最大記録を更新しています.人里に近いところの観測点でこれですから山の中ではいったいどれだけ降ったことやら・・・

ここまで降られると,田中さんの指摘どおり植物の根がどうのこうのではない深い崩壊が多発します.

ただ,手入れの悪い人工林では,別にどうということのない雨でもガリー侵食が入り惨状を呈することがあります(このあたりは筑波大の恩田裕一さんが詳しい).マスコミに対しては,今回のような豪雨時に(適切とはいえない方法で)騒ぐのではなく,むしろ「平時」にそういった手入れ不良人工林の悲惨な実態を報道して欲しいと思います.

>一点気になるのは、洪水現場に山積みになった流木である。

私も気になりました。今後切り捨ては極端に減るのでしょうが、昔は薪に使ったりしてここまでひどくはなかったのでしょう。バイオマスエネルギーが注目されていますが、当社もバイオマスボイラーへの林地残材供給を検討中です。

現地で流木を確認したいですね。
根っこがついていたり、折れていたら立木が流された可能性が高いし、切り口があったら間伐材かも・・・。

林地残材のバイオマス利用は、集材が大変だけど、流木の処理にはいいかも。東北でもガレキ発電に動き出しているし。

大地震との関係も、なきにあらず・・・・・。地中がどうなっているか興味ありますね。  さん付けするのは、なれなれしいか、先生と呼ぶのは仰々しいか、組長?私の心の中ではなんとなく「会長」というイメージがする。  流木の中に間伐材が混じっている可能性は「大」だと思います。しかし、間伐材だけが流れてきている訳ではないのかな、崩壊地の立木&伐採木が一緒に流されていると思います。 でも、間伐材が混じっていたら、実際ショックかも・・・。

確かにリポーターは「地元の人の話では・・・」という言い回しでしたね。
その後はTVでも「深層崩壊説」が流れ出し、今朝の同じワイドショーでも、「深層崩壊」のメカニズムが紹介されていました。

でも、昨日の放送の訂正はないままなので「人工林-保水力なし」というイメージは今後も強く残るでしょうね。

こうやって、災害の度に言い伝えとして残っていく・・・。

いい人なんだけど・・・岸本リポーター。

昨日のNHKTV「クローズアップ現代」では、京都大学の先生が出てきて,今回の土砂崩れが「深層崩壊」であると解説してました。
それを見ている限り,人工林とか天然林とは関係なく,長年に渡る岩盤に入った亀裂に大雨が降ることで発生するようです。
したがって、今回のM9.0の大地震で、岩盤が緩んできているとなるとどこでも起こる可能性があると言うことですね。

出演された京大の先生の話では,数年前に台湾で、深さが800m、幅数キロにわたる深層崩壊があり,調査をされたそうです。やはり今回のようなゆっくりとした台風による被害だそうですが,災害関係者では情報が共有されないのでしょうか?
素人の疑問でした。

訂正:
深さ800m→80mでした。

台湾で起こった深層崩壊の様子が、グーグルアースで見ることが出来ます。

http://blog.goo.ne.jp/r-andou/e/a67cb08d8c0a2af75ec4f9c9c655ce91

> 今回の場合、原生林の方が崩壊度は大きいのではないかと想像している。
どうでしょうね。大規模崩壊なら下草関係ないので、件のレポーターと同程度の思い込みにも聞こえる部分もあるように感じます。
 
あと深層崩壊ですが、一種のバズワードになりかかっている面もあり、専門家は「うーむ」とうなっております。
http://twitter.com/#!/nied_inok/status/111355157291343872

では

この人は相変わらずですね。

http://blog.livedoor.jp/rokuten1/

挿し木苗と林野庁に個人的な恨みでもあるんでしょうか?
 っていうか、吉野等、奈良県の地域って挿し木苗より実生苗のイメージがあるのですが…。この人の言うように挿し木苗に原因があるとすれば、京都北山杉の地域なんて大土砂災害地帯になってる気が…間違ってたらスイマセン。

 話は変わりますが水源林詐欺が摘発されたようですね。ま、予想道理の展開ですが…

はじめまして。

田中さんのおっしゃること、よくわかります。

今回の報道でも「人工林は崩壊の原因だ・・」のような発言が取り上げられるのだろうなと思ってましたが。
どなたか別意見の発言もとりあげてもらいたいものです。

私は宮川下流域に近い山で仕事をしていますが、今回の台風では田中さんの危惧するとおり、切り捨て間伐の際の林内残材が沢山流出しました。田畑に流れ込んだものもあります。
山で仕事をしているの者としてたいへん申し訳なく思っています。
今日そのことについて同僚と話し合ったばかりです。川に近い場所では無理をしてでも引き出す等の処置も必要かなと感じています。
等高線に沿った横倒し間伐でも、立木と立木の間に掛からずに、置いてあるだけでは簡単に転がり落ちますから。

なんだか、議論沸騰ですね(^o^)。

まず安易な人工林批判問題は、誰もが認めるフライングですね。(なんでKOKOさんはリポーターの名前知ってるの?) ちゃんと事実関係を押さえるべきです。少なくても深層崩壊には、森林は関係ありません。
まあ、深層崩壊の概念が知られだしたのは最近のことで、まだ広く認知されていないでしょう。

ただ、天然林でもっと崩れているのでは、という私の推測ですが、私も舌足らずでしたが、これは表層崩壊のことです。別のところで、天然林の林床の方が下草がなく、ガレ(ガリー浸食)ができている例を見たものですから。

もう一つの論点。流木の出所ですが、倒伏した立木か、とり捨て間伐の林地残材か。証言が分かれています。

これは、なんとか現地調査したいものです。被災地近くの人は、流木に根がついているか、切り口があるか、見てもらいませんか。私もテレビで必死に見ている(^^;)が、わからない。

こうした点をしっかり確認しないと、安易な人工林批判か、林業擁護に偏ってしまう。

もう一つ。吉野は基本的に実生苗です。十津川の方は、ちょっと確認できませんが。いずれにしても、災害に強い弱いを苗に求めるのは論外でしょう。

しかし、このプログで指摘したことの正反対を書いてるね(^^;)。

あ、岸本哲也(?)さん、知り合いでもなんでもないです。
長崎の民放局にいるときから、人柄の良さがにじみ出ていたので、フジTVのワイドショーに出るようになってからも何となく応援していたのでした。

間伐材の問題とか、基本、田中さんの論点には賛成なんですが、以下は違うと思いますよ。

> 深層崩壊の概念が知られだしたのは最近のことで、
> まだ広く認知されていないでしょう。
土砂災害の専門家にとって、深層崩壊の概念は新しいものではない。しかし、その言葉がマスコミに多量に載ったのは、今回は初めてともいえる。よって、一般には広く認知されていない。それゆえ、単純化した理解のされ方を危惧される専門家もいる、、、ということです。
http://twitter.com/#!/FaultMAN/status/111363815895072769

では

???
 >一般には広く認知されていない。

同じように思いますが。専門家には新しいものではないのは承知です。あくまで一般には、ですから。
専門家の危惧は危惧として、今回のような崩壊に、森林は関係していないだろう、というのは認めているのではないですか。

2004年の台風で三重県の川から流出した丸太で愛知県知多半島の美浜漁港が埋め尽くされてこちらでは大騒ぎになっていました。

伐木か生木かはこの時にとったデーターが残っていると思います。
自分の中では、切捨て間伐された林地残材ばっかりではなかったので残念がった記憶が残っています
↓伐木か生木かの数字はありませんが↓
http://www.kasen.or.jp/seibikikin/h18/pdf/rep1-19.pdf

また2000年の東海集中豪雨の時に奥矢作ダムに貯まった流木もデーターがあると思います。

考えてみましたが、玉切りもされてない枝もそのままの林地残材が生木の間をスルスルと上手に流れ落ちるのは可也難しいんでは・・・?

でも、林地残材が流水を堰き止め土砂災害の要因になったと東海豪雨後にうったえていた方がおられましたが、これは当ってると思いました。

あまり関係ないですけれども、
公共事業への批判なども相まって、脱ダムの風潮がここ10年以上続いていたと思いますが、この風潮と人工林への批判は通じるものがあるような、ないような。

今後、水害を取り上げて、流木問題もクローズアップされる可能性があります。そこで安易に林地残材だと決めつけられることのないよう、ちゃんとした調査が必要ですね。

そのためにも、皆さんが提供してくれる資料は貴重です。私も理論武装しておこう。

脱ダムの問題も、改めて注目されると、どちらに話が転ぶかわかりませんね。水害を機に、やっぱりダムが必要だ、となるのか。あるいはダムは役立たずだったとなるのか。
いろいろな意見が噴出するでしょうが、その中の自分の立ち位置を定めないと。

議論沸騰していますね。
この水害で、数日間各種ライフラインが不通で不便をしましたが、私のところは熊野川すじなどと比べると被害は軽い方で、森林組合については、人、施設ともに被害はありませんでした。今は、林道が寸断されているので製材所さんにどんなにして原木を供給するか目の前の課題です。
さて、議論になっている林地残材について、私の感覚では、それが被害の原因になることは(よほど谷につっこんで捨て置いているなどない限り)ほとんどないのでは、と思います。
今回も谷水が林道を削り、その先のやまをえぐり取って数十本の木が倒れているすぐ隣のうちの山の切り捨て間伐の林地残材はそのままでした。目につく切り捨て間伐を否定的にとらえているがために「災害の原因」といわれているのではないかとも考えてしまいます。
表層の崩壊を防ぐために、切り捨て間伐でもいい、間伐をどんどん進めしっかりとした木を育てなければなければいけない、というのが私の持論です。

ただ、もしそれが被害拡大の原因であるとすれば大変な問題で、私たちも認識を変えて取り組まなくてはいけないことなので、きちっとした調査が必要ですね。

田辺市も水害の激しいところですが、目先の被害が落ち着いたら、林道・作業道の崩壊問題が心配ですね。

作業道をいっぱい入れて、低コストで搬出を、と進めてきた政策はどうなるのか。

それと、流木問題もしっかり調べる必要がありますね。ぜひ、現地からの情報を流してください。

屋久島の木下と申します。田中さんが「屋久島だって、白神山脈だって、崩れるときは崩れる」と書かれていたので、つい反応してしまいました。この前後の文脈から、「天然林でも崩れる」という意味でお書きになったのだと思いますが、屋久島の森林も、5分の1以上はスギ人工林です。また、私は屋久島の森を長年歩いて見てきましたが、台風のあとに根こそぎ倒れるのは、殆どがモミ、ツガ、スギ、ヒノキといった針葉樹です。その中でも特に多いのは、やはりスギばかり植えた人工林であり、天然林の中ではスギやヒノキもあまり倒れません。それはヤマグルマなど根をしっかりと張る木々と根が絡み合っているからだと思います。屋久島でも永田地区では1979年に大規模な土石流が起きたことがあり、その時も崩れた箇所はスギの人工林でした。田中さんは「基盤岩層から崩れた深層崩壊だから表層の森林は関係ない」と言われますが、天然林であればスギやヒノキだけの人工林よりも保水力があり、また根の張り方も違います。天然林(または人工林であってもFSC認証林のような森林)では深層崩壊は起きないとまでは言いませんが、保水力があってしっかりと根を張った森林で表層が守られていれば、水が深層まで浸み込む量も抑えられるでしょう。私の家も人工林のスギを主要部材にしており、人工林や林業を闇雲に批判するつもりはありませんが、森林伐採や単一樹種の人工林が自然の多様性を消失させているだけでなく、災害時には人の生活にも多大な悪影響を及ぼしている可能性が高いということは、林業や伐採等に携わる人たちもしっかりと考えていくべきだと思います。台風だけでなく、地震、津波においても同様のことが言えるでしょう。2004年のスマトラ島沖地震では、マングローブ林を残した地域は津波の被害が少なかったというデータもあります(日本、デンマーク等の国際研究チームの調査による)。末文ではありますが、被災者の皆様が一刻も早く平常な生活に戻られることをお祈りいたします。

あまり天然林至上主義者と議論しても徒労感があるので、やりたくないのですが……。

今回の紀伊半島も天然林で崩れたところはたくさんあります。それに表層崩れと深層崩れをごちゃまぜにされても困るし、よくわからない保水力という概念も使うべきではないでしょう。
さらに土石流と深層崩壊は別物。
またFSCの人工林だって崩れる。(これは速水さんがいうのだから間違いない。)人工林は単一樹種という見方だって誤っている。


ようは、天然林vs人工林とか、針葉樹林vs広葉樹林なとではなく、出来の悪い天然林&人工林vs出来のよい天然林&人工林です。
さらに、いかなる出来のよい天然林であろうと、崩れるときは崩れる。

もっと柔軟になってくださいませ。


私は天然林至上主義者ではありません。むしろ日本の林業、農業、漁業といった第一次産業を見直し、国内生産をあげていくべきだと考えています。自然の多様性を消失させ、災害に結びつくような単一の人工林は良くないと言っているだけです。はっきり言えば、そのように導いてきた今の国策を批判しています。林野庁が赤字経営に落ち込んだのも、1964年に木材の輸入を100%認め、その後ずっとそれを続けてきたからであり(戦後の復興期のため一時的にはやむを得なかったと思いますが)、そのため伐採、土建は民間に委託するようになり、彼らに仕事を与えるために全くナンセンスな天然林の伐採(桧枝岐から南会津に至る広大なブナの原生林の違法伐採等)を進めてきました。一方で日本は東南アジア、シベリア、タスマニア等の森林伐採に関わり、世界的に自然破壊を進めている国でもあります。日本の林業を見直すということは、世界の自然を守ることにもつながるでしょう。

↑ まだこういった方もいるのですね(笑)

あらら。いつの間にか論点がずれている(笑)。
人工林と深層崩壊は、どこへ行った(@_@)。

前にもあったなあ……(徒労感)。

十津川はほとんどは実生苗ですよ。うちの山だけ例外的に挿し木が多いです(九州にルーツのある関係で)。でも道の付き方や地形地質が微妙に異なるので、その影響の差異はなんとも言えないところ。

比較できるような事象が観察ができましたら、またご報告いたします。

十津川も実生苗を使っていましたか。
基本的に関西は、実生苗が多いですね。
挿し木苗とは一長一短あるでしょうが、遺伝子の多様性という点では、実生苗なのかなあ。ただ生長は、環境要因が大きく左右するでしょう。

論点はずらしていません。「主に林野庁が進めてきた単一の人工林が生物多様性を消失させ、深層崩壊等の災害を招いている。国に大きな責任がある。」と言いたかっただけです。またなぜ林野庁がそのようなずさんな経営に至ったかを示したまでです。表層崩壊と深層崩壊をごっちゃにするつもりもありません。深層崩壊が起きるにも表層の状態が関わっていると言いたかったのです。なぜなら、水が原因で深層崩壊が起きたのであれば、表層で水を食い止めることができれば良いからです。そのために、保水力のある森林が必要だと言いました。保水力という言い方がよく分からなければ、「健全な天然林や単一ではない健全な人工林では、縦横無尽に張った根と腐葉土を含む水分保持率の高い土壌が水を表層に留めておく」と言えば分かるでしょうか?誤解がないように付け加えますが、健全な天然林や人工林でも深層崩壊が起きないとは言いません。

論点がずれているだけでなく,論理が破たんしています。「主に林野庁が進めてきた単一の人工林が生物多様性を消失させ、深層崩壊等の災害を招いている。国に大きな責任がある。」深層崩壊は樹木根系より深い層に水が浸透して発生します。ですから,地表に天然林があろうが人工林があろうが,それが広葉樹であろうが,針葉樹であろうがほとんど関係ないはずです。「縦横無尽に張った根と腐葉土を含む水分保持率の高い土壌が水を表層に留めておく」ですが,もしその仮説が正しいとすれば(私は否定も肯定もしません),かえって保水量が増した分,重量が増すので崩れやすすさに貢献すると考えるのが自然です。山が崩れるのは地球に重力があるからです。氏の話は,「竹林は根系を縦横に張っているので地震の避難場所として最適」という風評となんら変わりありません。勝手に想像されて個人で信じている分については御自由ですが,もしここではない他所においても周囲に今回のような言説を流されているのであれば,防災教育上,大きな問題があると思いますの止めて頂けるよう,お願いいたします。ところで,「台風のあとに根こそぎ倒れるのは、殆どがモミ、ツガ、スギ、ヒノキといった針葉樹です」とありましたが,「針葉樹だから倒れる」のでしょうか。「針葉樹は風害を受けやすい立地に生えていた」のでしょうか。両者では全く意味が異なりますが分かって頂けますでしょうか。ちなみに台風がよく直撃する高知県の簗瀬には樹高40mを超えるスギ林があります。風害を受けにくい谷地形に生えているからだそうです。また,「その中でも特に多いのは、やはりスギばかり植えた人工林であり、天然林の中ではスギやヒノキもあまり倒れません。」とありますが,人工林は密度を高くして植えます。手入れがなされない場合,当然,形状比が高くなって風害を受けやすくなります。「人工林だから倒れた」のではなくて,「手入れが行き届かないから倒れた」のだと思います。思い込みというのは誰にでもあるはずです。でも,もし自然をよく理解しようと思うのであれば,自分の考えが本当に真といえるか,常に自問自答しなくてはなりません。現実を説明できない仮説は,たとえそれが一般に広く知られ信じられていたとしても,疑ってかかるべきです。
都合のよい一面だけをつまみ食い的に見るだけでは,自己満足を満たすことにはなるでしょうが,自然を理解することにはつながりません。

反論しますと、徒労感にひたります(^^;)。

最後は、国の責任にしたがる。

はじめまして。書き込みますが。結局、降雨以外原因のない、その山の頂上部からふもとの岩盤部に地下水がいっぱい溜まっていくわけですから、やはり
深層崩壊も樹木が関係してるのではないでしょうか?蒸散できなくなっているとか?
素人ですので。思いつくままです。すみません。

岩盤部に水がいっぱい溜まるためには、節理(ヒビ)が多くないといけません。節理は地震などの多寡や地質条件で決まるので、森林は関係ありません。深層に森林が関与できる余地は極めて小さいですよ。

あえて言えば、表層に森林があった方が、節理に水が染み込みやすくなる。だから禿山の方が深層崩壊が起きにくい、なんて理屈をこねることができるかな?

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