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2011/09/15

アエラの福島記事~タイトルの怖さ

もう知っている人は知っている、読んだ人は読んだ、今週号のアエラに「福島の森林は大丈夫か」という記事を書いた。

この記事は、7月末に福島を訪ねた際に取材したことを元にした記事である。森林の放射線モニタリング調査の結果や、いわき市の林業家などの取材を元に書いている。もっとも、記事の根幹は、本ブログに先に買いちゃってるんだよ~(*^.^*)。

もともと、どこに発表するか考えて取材したわけてはない。ただ、偶然のように朝日新聞記者と接触があったから、アエラを紹介してもらったのだ。アエラには、数年前までかなりの頻度で執筆していたが、あることがきっかけで止めていた。

すると、「来週号にすぐ載せたい」というので、大急ぎで原稿を仕上げた。速報性が命だ。

各新聞各雑誌に放射能汚染問題は膨大な記事が出ている。ひたすら恐怖を煽るものから、安全だ、心配ないと力説するものまで。ただ、森林に関する放射線問題には、まだどこも触れていなかったはずだ。その点で、ニュースバリューはあるはず。

ところが……その後、ずるずると掲載が延びる。その度に、「京都・大文字の送り火の薪事件」があったから、ぞれを付け足してくれと言われ、次に「野生キノコからセシウムが出たから付け足してくれ」と言われ、最後には「シイタケ原木の放射線の話も」ときた。

私は、辛抱強く、書き直しましたよ。モニタリング調査の結果をすぐ世間に、という速報性はすでに消えてしまったが、とりあえず世に森林の放射線問題とその除染の可能性について触れたかったのだ。

とうとう、最初の執筆から1カ月以上がたってしまって、ようやく何が何でも来週に、ということになった。そこにシイタケ原木に野生キノコの問題も書き足した。記事を秋らしくするためだ。編集部の要望にしっかり応える私。フリーライターの鑑だ(^o^)。

ところが、最後の最後になって、メインタイトルを「国産シイタケ栽培に危機」にしたいと言ってきた。これにはキレて、即座に拒否した。もうボツにしましょう、と提案した。

私は、それまでの「福島の森林は大丈夫か」というタイトルも気に食わなかったのだ。記事に書きたかったのは、いかに森林と接するかという問題意識なのに、「大丈夫か」と疑問形にされたら、暗に危険かも……というニュアンスを含んでしまう。

それでも、森林のことを書いていることはわかる。そう思って黙認していたのに。いきなり主題がシイタケになってしまっては完全に逸脱ではないか。実際のシイタケの話は冒頭の10行ほどにすぎなくても、それは致命傷である。

中身を読めばわかる、というのは嘘だ。なぜなら読者は8割がたタイトルで記事を判断するからだ。

私が以前勤めていた夕刊新聞社では、駅売りがメインだから、目立つタイトルを付けることが至上課題だった。タイトルは整理部てはなく、記者自身が付ける。

社長は「タイトルを読んだら、記事の中身が100%わかるように付けろ」と言っていた。記事本体は、タイトルに合わせて書いて、タイトルに示したことを証明するものだ、というのだ。

これは、あまりに強烈なスタンスだが、言いたいことはわかる。刺激的でいて、伝えたいことを一読でわからせることが、駅売り新聞の売れ行きを左右するのだ。読者は、新情報を知りたがるのではなく、新情報を確認したがっているのである

そこで私は鍛えられつつ、しかし、刺激的なだけのタイトルには反発していた。刺激的で読者の気持ちを引っ張りつつも、いかに中身を伝えられるか、というのが、タイトルを付ける際の課題・アジェンダ(^o^)なのだ。

そうした気持ちで、現在は書籍のタイトルも付けている。もっとも、書籍名を著者に決めさせない出版社もあるのだが(T-T)。

その点で言えば、森林がシイタケに変わってはイカンのである。しかも、疑問形どころか、シイタケ原木は危険だと、あきらかに危機感をあおってしまう。

 

私の執筆のスタンスとしては、きっちり事実関係を押さえつつも、将来展望も記すというものだ。福島の森林が安全だとは言えないことは、しっかり記す。野放図に安全安全と垂れ流してはいけない。だから、木材にセシウムが浸透する可能性にも触れた。
そのうえで、森林除染が産業になる可能性にも触れた提案を行っているのだ。

ともあれ、一段落。実は、福島の森林放射線に関しては、「オルタナ」次号にも記している。

さて、このアエラには、もう一つ私が関係した記事が載っている。こちらも林業ネタだ。

それについては、また改めて。

明日からは、朝日地球環境フォーラムだよ。

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コメント

メディアのように金の上に成り立っている情報は怖いですね。ネットの様に責任のない情報も怖いですが。
金のからまない責任のある森林セラピーが出来ればと思いますが無理です。
アエラの様に情報を左右する森林セラピーソサエティも怖いです。
森林セラピーから足を洗おうかと思いますが、その前に森林セラピストを除名されそうです。

田中組長

アエラかって読みました。
シイタケの話は付け足し程度で、福島県の森林の放射能汚染をどう除染するかの提案まであり,なかなかの内容でした。

さすが森林ジャーナリストです。

つぶやいていたのは、この話のことだったんですね。やっとわかった。 でも、ほんとくやしかったでしょね。 悔しいことを、地元の方言では「はがいか~」っていいます。

いろいろあって、ようやく世に出たわけですが、すると急に「森林の放射能」が話題になり始めましたね。文科省の調査結果も発表されたし。(こちらについては、また。)
これまで優先順位が低かった森林にも目が向いてたのならよしとします。

>た夕刊新聞社では、駅売りが面だから、目立つ

あー、「駅売りがメインだから」か。

失礼。直しました。

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