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2011/09/27

新月伐採の実験方法に異議あり

実は、来月また本を出版する。

まあ、緊急出版というヤツだ。(ウソ)

この出版については、そのうち改めて紹介したいが、そこで「新月伐採」について書いた。

もちろん、ボロクソである(^o^)。なぜ、こうしたミョーな伐採方法が流行るのか理解しにくい。そして、伐採方法が木の性質を変えて「魔法の木」になるという戯言を多くの人が信じるのかわからん。

どうも、天然林に異常なシンパシーを感じる人がいるように、新月伐採に夢中になる人がいるようだ。

と、そこに新月伐採について実証実験を行い、その効果を確認した、という案内(プレスリリース)が来た。

その内容の一部を紹介しよう。

※少し考え直して、一部、訂正しました。論旨は変えていません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・伐採時期: 秋季(10月~11月)における月齢4期(下弦、新月直前、上弦、満月直前)

・対 象 木:スギ等、樹齢20年程度以上(胸 高直径10cm程度以上)を3本

・観測回数: 伐採 直後及び3ヶ月後、6ヶ月 後の3回

■*本試験結果要旨*

2010年10月30日(下弦)、11月5日(新月直前)、11月14日(上弦)、11月21日(満月直前)に、全国11ヶ 所で、スギのほか、ヒノキ、ウリハダカエデも伐採した。伐採直後に辺材部(白太)を採取し、固定液に漬けた。伐採された木は3ヶ月間、あるいは6ヶ月間、山中で葉枯らし乾燥をさせ、再び辺材部を採取して固定液に漬けた。これらの試片よりまさ目面切片を作製し、ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液を滴下してデンプンを検出した。

スギの結果は以下の とおりである。

伐採直後の試片で は、デンプンは、地域により、また個々の木により異なっていたが、ほとんどの試片でその存在が確認された。デンプン量は、満月>上弦>新月>下弦であったが、これは月齢による差というよりは、冬に向かって貯蔵デンプンを増やしていくことによるものと思われる。

3ヶ月間、あるいは6ヶ月間葉枯らし乾燥を行うと、明らかに期間の長さに応じてデンプン量は減少した。6ヶ 月後のデンプンは、下弦に伐採された木ではほとんどが消失し、新月直前に伐採された木ではかなりの減少を見た。一方、上弦、ならびに満月 時に伐採された木では、デンプンのほとんどが消失した個体がある一方で、まだ大量に保持している個体も存在した。これらの時期に伐採、葉枯らし乾燥された木は、デンプンの含量から見るとばらつきが大きいと言える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

共同研究として京都大学が上がる。実は、その担当した研究者は、以前も新月伐採の実験をして、全然効果がないことを証明した人である。その人が、なんでまたもう一度同じことを繰り返しているの。。なんか、がっかりする。

結果がどうだったかより、この実験方法に疑問満載だ。

そもそも月齢を変えた伐採と、葉枯らし乾燥をなぜ一緒に行う必要があるのか。

実験というなら、

・新月伐採と、葉枯らし乾燥をした場合
・新月伐採と、人工乾燥した場合
・新月期以外の伐採と、葉枯らし乾燥をした場合
・新月期以外の伐採と、人工乾燥した場合

最低、この4パターンを試さないと、結果(デンプン量の変化)の原因が何か示せないのではないかなあ。

それに対象が、たった3本では、統計的な処理もできない。さらに場所が全国11カ所?ならば全部で33本か?

理解に苦しむ。同じ地域内でも斜面によっては材質が変わるといわれているのに、生育地を全国に広げたら比較しにくくなる。またスギとヒノキ、ウリハダカエデと樹種を変えたこともわからない。完全に比較できない。なぜ一種(できれはスギかヒノキのみ)に統一しなかったのか。
実験項目以外の条件をなるべく揃えるのは、実験のイロハだと思う。わざとバラバラにしたのは、比較を拒否したように思えてしまう。

たとえば同じ土地のスギを40本伐って、上記の4パターンを試して測定すれば、それなりの意味があったのではないか。

もう一つ、付け加えると、辺材部を検体としたようだが、建材としては芯材部の方がよく使われるのだから、正確には芯材を対象にしてほしかった。

これでは森林セラピー以上に科学ではない(笑)。

何を証明しようとしたのかさえ、はっきりしない。

私の想像としては、デンプン含量の変化は、ほとんど葉枯らし乾燥の結果ではないだろうか。月齢は関係ないように思う。

この結果を、来月7日に記者発表するらしい。誰か、取材する? ただし、科学実験の仕方を知っている人でないとダメだよ。

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コメント

田中様 お世話になります。
新月伐採は、あまり、効果はないと思いますよ。自分たちでも十分、実験しています。割れますし、腐れもします。

寒の時期に伐採しなければならないことは、確かですし、雪に抱かせて、繊維を傷めない伐採も大切だと思います。新月に合わせなくても十分に乾燥していれば、虫はつかないものです。
まあ、こだわる人がいれば、こだわることも否定はしませんが・・・。

そろそろ、次の段階へ、行きませんか?!

ここで取り上げたのは、実験方法です。新月伐採を信じるも信じないも、その前提となる実験方法がおかしいと、議論になりませんから。

たしかに、「次の段階」に行きたいですね。こんなところで立ち止まっていては。

え? 次はEM菌だって? (ウソだよ)

>デンプン量は、満月>上弦>新月>下弦であったが、これは月齢による差というよりは、冬に向かって貯蔵デンプンを増やしていくことによるものと思われる。

つまり、月齢の効果はない、という結論ですね。
新月から始めていればもっとはっきり分かったと思います。
また、各時期の間に何パーセントの違いがあったのか(僅差なのか?大差なのか?)も必要な情報と思います。

プレスリリースなら公表情報と思うので、リンクを付けていただけるとありがたいです。
引用されているプレスリリースでは、どのような比較をしたのか等データ処理(統計含む)方法が分からないので、ご指摘が当たっているのか判断出来ません。
例えば、ご推測通り全部で33本かもしれませんし、11地点x3樹種x4時期x3反復で396本かもしれません(これなら統計処理が出来ます)、この書き方ではどちらも解釈可能です(その意味では研究のプロとして0点)。
プレスリリースを書いたのが事務方(もしくは専門外)で、内容を正しく理解していない可能性もありますね。
記者会見がUSTされるのなら見てみたいですが。

それと、記者会見するそうですが、査読論文として採択されてからがいいのではないでしょうか。
査読論文として採択される=プロが認める、という価値観が社会的に共有されていない現状が残念です。
以前にも石器の発掘年代をねつ造した研究者(?)がいましたが、高校?の教科書にまで採択される過程で、査読論文が一切無い(=プロに認められたわけではない)ことに疑義が出なかったことが教訓となっていると良いのですが。

私のところに来たものはメールだったのですが、どこかに告知があるはずと探したところ……ここにありました。
http://www.kogurebito.jp/report/2011/09/1011.html

なるほど、読み方によっては396本か。私は3本ずつ4時期で12本説も考えたのですが(^^;)。

ともあれ、私は結果以前の実験方法としての疑問が先に来ました。本来は、ちゃんと論文にして、査読されるべきですね。

リンク、ありがとうございました。

全部で12個体って明記してありますね。
確実に査読に通らないでしょう(通ってもカス雑誌)。

カラクリとしては、「本試験結果発表会概要」の協力が15件、うち分析協力として2件が重複しているので13件、協力の最後の会社はデジタルコンテンツの会社ですので、真水は12件ですね。
あれ?分析したのは全部で12個体ですよね?
しかもこの12社の所在県と、サンプリングの県名とも合致しますね。不思議!

また、「本試験結果要旨」には「個体数は少ないが、ヒノキ、ウリハダカエデでもほぼ同様の結果が得られた。」とあるので、結果についてはスギの話であり、ヒノキとウリハダは各1〜2本程度しかないのでは?

ということは、各産地ごとに各樹種1本ということでしょうか?

もしそうなら、どの雑誌でも絶対に査読通らないですね。

「共同研究;京都大学」は箔付けでしょう。

いい加減過ぎる。

リンク先、ちゃんと読んでいなかった(^^;)。

いずれにしても、査読に耐えられない(その前に論文にしないだろうけど)のは確実です。

>「共同研究;京都大学」は箔付けでしょう。

いや、あの、この実験をしたのは、京都大農学研究科の高部圭司教授なのですよ。。。

「月齢は関係ない。葉枯らしにより辺材部のデンプンが減少するため、多少カビにくくなる。心材は関係ない。」
という理解でいいかと高部先生に尋ねたところ、その通りと答えられていたのですが。


おおお、直接本人に尋ねましたか。
そして、この回答。まあ、通常の学者なら、そう回答するだろうけど、では、この実験そのものがナンなんだ? ということになりますね。

基本的実験条件を整えず、全国から協力者を募る……というのは、何か最初から出したい結論を持って臨んだように感じられる。

実験方法に異議があるんじゃなかったですか?

林学科卒を看板にしているジャーナリストでしたら「高部圭司先生は細胞レベルがご専門ですが(http://kaken.nii.ac.jp/d/r/70183449)、実験室とは大きく異なる野外環境で生育した樹木の個体差については専門外なので、このような稚拙な実験設定になったのでしょう」ぐらい言ってください。

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