無料ブログはココログ

森と林業の本

« ガレキ発電所を除染産業に | トップページ | 十津川村に木造仮設住宅は建つか »

2011/09/13

竹のバイオマス燃料化計画

バイオマス発電つながり、というわけではないが、京都府北部の宮津市では、竹のバイオガス化とメタノール化プラントがつくられた。

宮津バイオマス・エネルギー製造事業所」である。竹によるエネルギー製造施設は世界初という。市や民間企業など8団体でつくる宮津バイオマス・エネルギー事業地域協議会協議会が計画し、総事業費2億3500万円で施設を整備した。

施設は、竹の粉砕⇒乾燥⇒竹ガス化……そしてメタノール精製という工程を行う。
1時間あたり1トンの竹から、最大で竹チップ850キロ、竹粉150キロ、メタノール7リットル、電力30キロワット毎時を作れる予定で、一般家庭10世帯分に相当。これは工場で消費する。
竹のバイオガスでは、発電ができ、メタノールは、今後バイオ燃料として使い道を模索する。 バイオディーゼルとして車にも使えるが、燃料電池の燃料として有望だ。メタノールを補給するだけで延々と使える電池ならば使いやすい。

竹チップや竹粉も商品化の道を探っていくという。

なかなか夢のある話だ。ところで、このプラントは長崎総合科学大などが開発した「農林バイオマス3号機」を導入したもの。

311


実は、このプラントは私も視察している。このブログでも紹介したかなぁ。

これが、そのプラントだ。

私は、夢を感じた。
何といっても小型で簡単なのがいい。こちらでは竹だが、木質ならなんでもよく、機械に放り込むと数ミリ単位の粉末なって出てくる。それを密閉型の炉に入れれば、蒸し焼きになってガス化する。そのガスを触媒などでメタノール化するのである。

もっとも、プラントそのものは実験装置である。発電した電気も、工場内で使ってしまうわけだし。メタノールだって、研究用レベル。
しかも大量の原料を、いかに調達し、投入し続けるかが大変。1時間1トンなら、稼働率をどの程度見込むのかわからないが、1日1カ月1年で莫大な竹を必要とする。

それに、バイオガスは効率がよいのか悪いのかわからない。これで発電する必要があるのかどうか……。

でも、木質バイオマス発電にガス式も検討するのは、賛成だ。さまざまな方法を模索しないと、単に燃やすだけの火力発電方式に縛られると、あまり将来性を感じない。

震災地のガレキ発電や除染発電(勝手に決めている)も、ガス式も一考してほしい。

« ガレキ発電所を除染産業に | トップページ | 十津川村に木造仮設住宅は建つか »

森林活用(茶・蜂蜜・山菜…樹木葬)」カテゴリの記事

コメント

九州では、竹から紙を作ろうという試みがありましたが、原料調達の問題で操業中止になっています。コストの試算を修論でしましたが、竹のバイオマス利用厳しい…
でも、がんばってほしいです!

研究者は、みんな原料調達の問題を軽視しているんですよねえ……。
私も、このプラントがなぜ竹なのか、よくわかりません。フツーの木材にすれば、多少とも可能性が高まるのに。

鹿児島県の薩摩川内市にある中越パルプ工場では、昨年から既に県内産竹100%のパルプを生産し、市販されております。
これにより、原料の竹の調達が活発になり、高齢者が所有している竹林をターゲットにした、ブローカーが県内で暗躍(超安値で買収:一山5千円程度)しているという話も聞きます。

ほお。プラント稼働が先か、原料調達が先か、という課題に会して、一つの答ですね。

しかし、一山5000円とは……それでも契約しちゃうというのは、よほど持て余しているのか。それで竹林整備が進んだのなら、環境貢献ということになるんだろうな。

竹の持続的利用のための施行・管理を目的とした演習林or試験地があっても良いと思います
降水量や気温、日照時間など(で決まる年間光合成量や発筍期間の長さ等)の地域差を考慮しつつ、また固さ/長さ等(伐出時の手間や工場での加工しやすさの要因)も加味した(個人的には発筍伸長しきって開葉直前が好都合と予想しますが)、施行計画があれば良いと思います
そのうえで、一定面積の「バイオマス用竹林」としての整備がないと、山師が買い集めるだけでは安定した持続的なエネルギー供給に応えられないのではないでしょうか

そうですね。竹林といえど、2回3回と連続して皆伐すれば根絶やしになるでしょう。本気で持続性を考えるなら、伐採頻度や時期など計画が必要ですね。

でも、竹林対策としてのバイオマス発電なのか、バイオマスの原料としての竹なのか、わからなくなってきた……。

竹林対策とバイオマス原料、どちらなのかによって必要な知見は大きく違いますよね

前者なら、(大雨時を含め)斜面崩壊しない程度の強度で伐って、代替樹種を植えて、次第に竹の割合を下げて、最終的に竹をゼロにするための知見

後者なら、伐出コストや輸送コスト、加工しやすさなども加味した総合的な生産システムのための知見

どちらなのかはっきりしないと(補助ではなく)商売としての設備投資判断が出来ないですし
混ぜちゃいけないと思います

ごく小さくて簡単な規模でのソフトエネルギーの地域自給をずっと考えて(夢想して)いるのですが、そういう視点で見ると、竹林対策とバイオマス原料調達、どっちもあり、でいいのではないか、と。
プラント作ると設備投資もいるし、ランニングにエネルギーも使うわけですが、竹の発電利用にしてももっと単純な方法があるんですよ。まだどこでもやってないと思うな。
普通に田舎でちょっと農機具いじったり、堆肥の枠くらい作れる人たちで手作りできる程度のプラント。
ローテクって、お金かからないし手作りで楽しいし、修理簡単だし、廃棄するときも環境負荷少ないし。
まずは集落のエネ自給から。みたいな。   ふふふ。

単に竹をバイオマス利用するなら、チッパーがあれば、それでいいと思うんですけどね。ガス化までとなると……。
やっぱりローテクですよ(^o^)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 竹のバイオマス燃料化計画:

« ガレキ発電所を除染産業に | トップページ | 十津川村に木造仮設住宅は建つか »

January 2025
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

森と筆者の関連リンク先