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2011/10/11

「木づかい運動」を進めてよいのか

国際森林年も、あと3カ月。そして10月は、木づかい月間なんだそうだ。

しかし、近頃思うのは、「木づかい、つまりもっと木を使おう!なんて運動、やってていいの?ということである。

このところ会う林業家と話していて、「このまま木をどんどん使っていたら、森は持たない」という話になることが多いのだ。

ここで振り返っておこう。「木づかい」とは、林野庁が言い出したのだと思うが、ようするに気遣いと引っかけた造語だろう。

世界の森林事情とは違って、日本の森林は、手入れしないことが問題になっている。手入れとは、主に間伐をさすが、なぜ間伐が進まないかというと、間伐材が売れないから。木材の消費量が尻すぼみな上、外材や非木質素材にシェアを食われてしまったのだ。だから、もっと国産材を使ってください、という意味で、「木づかいの勧め」が行われている。

ま た資源量としての国産材は、年々太っていて蓄積は増す一方。今の3倍木を伐っても、日本の森は減らないという。

私も、どちらかというと、木づかいの旗振りをしてきた。国産材が売れないと林家が困り、山林から離れて森が荒れるという論理だ。また、身近に木質物がないと、情操面からも心配があると考えた。

実際、国産材の消費量は延びている。統計のからくりはあるとはいえ、木材自給率は18%から26%まで上がった。その点では、木づかい運動は成功と言えるだろう。

だが、先日の滋賀で会った林業家は、今の伐採量は多すぎるという。これは統計の数字ではなく、実感として、森の蓄積が減っていくのを感じているのだ。
とくに太い木、樹齢の高い木ほど減っている。100年もののスギを探すと、ほとんど残っていなかったりする。私も、長伐期施業だ、現在伐っているのは間伐だ、と言いつつも、山が薄くなってきた印象がある。若木の生長は早いが、その材積はそのまま利用可能木材につながらない。

なにしろ、現在伐る木は、少なくても50年以上前の人が植えて育てた木だ。なかには100年200年前の努力に目を向けなくてはならない。ところが、伐採跡地に苗は植えているか。植えた苗はちゃんと育っているか。獣害は多いし、間伐という言葉で、植林をさぼっているだけではないか。

あと10年後20年後に、果たして収穫するに足る木はどれほど残されているのか。

もっとグローバルな目で見ると、世界的にどんどん森林が減っている。木材資源争奪戦は始まっているのだ。そんな中で、日本だけ内向きに「木づかい」を推進して、木をどんどん使え、と言えるだけの理論武装をしいるのだろうか。

もちろん、国産材を使うことで、森林の手入れを進め、また山村の活性化を計るのは、私も賛成なのである。
ただ使い道が安い合板ばかりでは困る。
かといって木製品の素晴らしさを強調するあまり、美しく優秀な材質の部分ばかりを使った製品を宣伝するのもどうかと思う。

木づかいとは素材に木を選ぶのではなく、木の使い方を考えるものであるべきだ。細くて切り捨ててしまう間伐材や、小さく切断された端材をどのように使えばいいのか。できれば高く取引されて山に還元できる木製品は何か、を考える機会ではないのか。

その意味では、木づかいは使い道がなくて廃棄される木をいかに使って、いかに高い価値をつけるか、を考えよう。木がもったいない運動でも展開すべきだったかな。

これは木づかい運動だけでなく、世界中が木を無駄なく使う文化を広めたい。そのためには、伐る木の量は少なくても、山元に多くの金が落ちて森づくりが進む運動、そして木を大切に使う運動を考えたい。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

く、組長ー!!心に刻みます、この文章。
確かに数字の上では大丈夫、と言われても、現場の方の声が本当のところなんでしょう。
私たちが目指すのも、木がもったいない、であるなと思います。
それを大事に使って、ビジネスにつなげるように、がんばるぞー!
って、ひとさまのblogで宣言しちゃってすみませんm(__)m

そんなわけで「木づかいがビジネスだよ!全員集合!」開催です。
10月19日から21日の、18時に、港区立エコプラザでお待ちしてますよ!組長!
って、告知までしてすみませんm(__)m

うまいなあ。しっかりイベントの宣伝してる(笑)。

木づかい運動は、木に親しむ人を増やすのが第一義なんだと思います。量で計ってはいけない。
木育もそうだったけど、最初は木材需要の増大を狙った業界向けの言葉が、今や精神運動に昇華したと考えましょう。自給率なんぞ無視して、木が好きな人をどれだけ増やしたかを競うのはどうだろう。

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