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森と林業の本

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2011/11/08

明るい照葉樹林とは

今日は、生駒山を歩いた。

と言っても、散歩ではなく、お仕事である。お仕事。

まだ紅葉には早い季節だが、青空に恵まれ、美しい森林景観が広がる。吊り橋の上から見ると、深山幽谷の気分になれ、しかも林冠を眼下に見られる。

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林冠や樹冠を間近に目にするのは、非常に興味深い。熱帯雨林では、樹上回廊が建設され、樹冠見学が観光の一分野になっているが、日本の森だって可能ではないか。とくに照葉樹林の樹冠は年中、葉が繁っているから見どころがあるはずだ。

そしてメンバーの中には、植物、とくに照葉樹林が専門の先生がいた。

生駒山の潜在植生は照葉樹である。そして、戦前の禿山から落葉樹林の植生を経て、現在は照葉樹へと遷移を進めている。というと、自然回復が進んでいるようで結構なことのように聞こえるだろう。が、そう簡単ではない。

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写真は、ソヨゴ。庭木などにも使われるし、最近は蜂蜜が採れることで養蜂家からは歓迎される。

ただ照葉樹(常緑樹)ではあるが、比較的明るいところを好むようだ。そのため、遷移が進むと消えてしまうらしい。

しかし、人に触れ合う森としては、やはり照葉樹より落葉樹だろう。暗くなった照葉樹林は、人が過ごすには向いていない。残念ながら、生駒山の森が暗い照葉樹林になったら、人が憩う場にはなりがたい。

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明るいコナラの森

今の生駒山の植生は、圧倒的にコナラである。
つまり、落葉樹林ということになる。しかし、その下に照葉樹が伸びてきているのだ。

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シイ・カシの森。暗くなった林床に草が生えていない。

これでは、美しくないし、あまり楽しくないだろう。

ところが、先生のいうには、宮崎県綾町の照葉樹林は、明るく美しいのだそうだ。照葉樹林にもいろいろあるらしい。綾町の照葉樹林は、原生環境のまま残されているといい、一度伐採されてから遷移によって再生した森ではない。そこに違いがあるのだろうか。

綾町は訪ねたことがある。どころか、泊まってアチコチ歩いた記憶もあるし照葉大吊り橋も渡ったのだが、照葉樹林本体はゆっくり見て歩く時間的余裕がなかった。

明るい照葉樹林。一度見てみたいものだ。

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コメント

私の感想は、「明るいところもある」、つまり構造が多様という印象でした。台風の多い地域ですので風倒木もそこそこあるのですが、単木規模なので、良い感じのギャップ→森の若返りになっています。南九州の森づくりを考えるときに、大変示唆に富む森です。立地の勉強のため、四季を通じて通ってみたいなと思っています。

なるほど、綾の照葉樹林は小規模ギャップが多いのか。また訪問してみたいな。
施業にも活かせるかも。
生駒山の森、どんどん伐採してモザイク状にギャップつくるとか(^o^)。

田中様
お世話になります。
宮崎の綾にも来てください。綾の散策路には、6年前に樹種を知らせる木製看板を立てに行きました。まだ、弥良来杉ですので腐っていないと思います。

綾には、草競馬もあり、鮎が美味しいですよ。

さすが、海杉さん。綾町にも関わっていましたか。

以前、綾町に行ったとホームページに書いたら、音読ソフトで「あやまち」に行ったと読まれて、何を誤ったのかというメールがきたことを思い出しました(^o^)。いや、その前に人妻と会っていたと書いたので…(笑)。

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