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森と林業の本

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2011/11/16

木材のフェイクとホンモノ

コンフォルト12月号に高機能木材と、木質フェイク素材の紹介がされている。

高機能木材とは、素の木材では寸法が狂ったり、腐ったり燃えたりシロアリに食われたり……という弱点を防ぐための処理をした木材のこと。徹底的に乾燥させる(含水率15%以下)もその一つだが、ほかにもアセチル化木材とか半炭化木材、さらにほう酸や樹脂コーティング、不燃剤・耐腐植剤の含浸処理もある。また圧密処理のように木材を圧縮する手もある。
木材の風合いは残しつつ……と言われるが、素の木材とは多少変わるのは仕方あるまい。

一方で、フェイクとなると、もともと木質でないものを木材に見せかけるわけだ。単純な印刷もあれば木目のようなフィルムを張り付けたり、そもそもの素材(合成樹脂など)を加工して木材の表面ぽくしたものまで。

昔は、慣れれば見破れたが、今のものはほとんど完璧。木目も肉眼ではホンモノと違いがわからないし、手触りまで似せている。以前は、広い面の場合、同じ木目を繰り返していたので見破れたが、今は不規則さまで作り出しているそうだ。

私は、木材の価値は何かと考えた際に、機能で勝負するのは無理ではないかと考えるに至った。もちろん木質ならではの機能もあり、それらは優れているのだが、一つ一つを取り上げると、別素材が優位になってしまう。
強度とか耐火性とか耐震性……などを追求したら、木材よりよい素材はいくらでも出てくるだろう。何より建築物や家具などの場合は、構造が重要で、素材の機能よりも最終製品の機能が決定する。

むしろ機能より官能であろう。人が木材に対して感じる感覚的な思い、情操部分こそが木材のほかにない価値となる。それは、具体的には視覚や触覚、嗅覚……などだ。

 

ところが、そうした思いをぶち破るのがフェイク素材なのである(-.-)。

見ても触っても、区別が付かない疑似木材が増えたら、もはやホンモノ木材との差別化は難しくなる。

結局、「ホンモノ」という情念のような情報だけで木材は存在するのか?

しかし、ねえ。ホンモノの木材と区別が付かない見た目や表面の感触だって、鍛えた人間の感覚器官は見破れるのではないかと密かに信じている。みんながみんなが備えるのは難しいかもしれないが、きっと「違いのわかる人」はいなくならない。骨董品の真贋を見抜くのと同じだよ。。。

無意識に違いを読み取る力。それを鍛えるには、やはりホンモノを身近に数多く見たり触ったり知識を身につけることから生まれるんだろうな。そして直感で、ホンモノの木材は美しい!と感じ取るのだ。

先に「美しい森は健全な森である」、と定義づけたが、「美しい木材はホンモノの木材」と言えるようになりたい。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

田中様
連続して話が出ているので・・・。びっくり!!
コンフォルトさんの高機能木材の特集にも私の組合の製品が出ています。
広告でない、記事として扱われることは大変、光栄です。

日向市では、10年目の検証会を立ち上げました。カンナをかければ、また元に戻る外構木材を使って街づくりに役に立てようと市民に公開する予定です。
本当にきれいですよ。

すみません。確認のつもりが、送信を押したみたいで・・・。

つづき

フェイクには、絶対まねできないと思います。市民が灰色になった木材を磨いて、復活させると言うイベントは!!

本物しかできないことが市民と公共物をつなぐ懸け橋になればと思います。

会長、ごぶさたです。
バブル期は、「この家は、銘木ばかりを使って建てた家だぞ!」って自慢していた金持ちがいたが、これからは、「この家は、本物の木材を使って建てた家だぞ!」って、ささやかな自慢をする中流家庭がでてくるかも。
話は変わりますが、11月15日の木材新聞に、奈良県の木造仮設住宅の記事がありました。十津川村、野迫川村の仮設住宅は奈良県産材をふんだんに使い、木造軸組で建設されると。
しかも、寒冷地仕様&バリアフリー対応。
写真を見ると、ほんと、「家」が建っているようです。
今後、このような流れ(仮設住宅の構造の一つとして)は全国に影響を与えていく事でしょう。
(木造仮設住宅は、フェイクではないので、本物志向(贅沢品?)と思われる時代がくるかも。)

奈良県の仮設住宅はすごいですよ。
完全木製(県産材とのこと)で、デッキまで付いています。これは、前の家より素敵だ、と思う人もいるかも(^^;)。

こんごフェイク素材の方が高くつく時代が来るかもしれません。ホンモノの木造住宅は仮設だけ……なんて、そんなバカな。

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