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2011/12/04

松永久秀・多聞城の木材

私の母方の姓は、松永であった。そのため幼少時から、「大仏様を焼いた松永弾正という極悪人の子孫だよ」と薫陶を受けていた(^o^)。実際、母の親戚も、松永一族の多い大阪の某所である。

松永弾正久秀と言えば、戦国時代の3大梟雄の一人と言われる。なんたって、東大寺の大仏殿も焼いてしまっただけでなく、主君を次々に討ったり裏切り、のし上がった男だからである。いわば下克上のシンボルのような武将。

私は、この人物がなかなか好きで、興味がある。それに信長に二度に渡って反旗を振りかざし、生駒山系の信貴山に築いた信貴城に籠もって爆死?したことでも生駒つながりで興味を持っている。(ちなみに、あの信長が二度の裏切りを許そうとした点も面白い。)

この松永久秀が現在の奈良市に築き、大和の国の支配拠点にした多聞城についてのセミナーがあったので顔を出した。

この多聞城というのは謎の多い城なのだが、1560年前後に築城。日本で初めての天守閣(4層櫓)を造り、絢爛豪華で、信長の安土城のモデルになったとも言われている。つまり近世城郭の先駆的存在である。

ただ信長などが徹底的に破壊し尽くしたうえ、戦後すぐ跡地に発掘調査を行う前に、中学校が建設されたために考古学的証拠に乏しい。そこで文献的にその姿を想像するしかないのである。

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セミナーでは、もっとも具体的な資料として、ポルトガルの宣教師イルマン・ルイス・デ・アルメイダの本国への報告書簡が紹介された。彼は、この城に招かれている。内部に能舞台らしきものがあったことや、金に彩られた壁……などが記されているそうだ。

で、気になったのは、
「城の宮殿は、すべて杉材で造られており、芳香だけでも訪れる人を喜ばせるに足る」
「1プラザの幅のある部屋の縁の廊下は、1枚板である」
(プラザは長さの単位で、約2メートル)

これを解説された講師の北村雅昭さんは、「これはスギではなくヒノキの間違いだろう」「2メートルの1枚板は無理だから、継ぎ目のわからぬように合わせた板だろう」といった。

まあ、順当な解釈である。たしかに建造物はヒノキ材の方がよく使われる。芳香もヒノキの方が強いだろう。

ただ、まったくスギでは無理かというとそうでもないように思う。内装はスギ材を使ってもおかしくない。それに当時の大和は、周辺に十分なヒノキ材を手に入れる山はなかったはずだ。奈良時代から延々と伐り続けたからである。
当時吉野からの輸送ルートを開拓できていたかどうかわからないうえ、まだ大和の国を完全統一して治めたかどうかわからない時期に、果たして他国から木材を調達できたかどうか。
その点、スギならまだ手に入っただろう。

また本当に廊下が幅2メートルだったかどうかは別として、これもスギ材なら可能だったろう。

……まあ、こんなことを考えながら話を聞くのも悪くない(^o^)。

もう一つ気になったこと。
多聞城は、信長のお気に入りとなったため、久秀は取り上げられるのだが、その後多聞城の各所は、信長の二条城や安土城に移築されたという。これは、木材のリサイクルというよりは、その造作の良さから、自らの新しい城に採用したのだろう。4層櫓は安土城に使ったというから、もしかして有名な安土城の天守閣の一部は、多聞城のものだったかもしれない。

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コメント

杉の大木はどこかの神社の鎮守の森から松永弾正が無理矢理切ってきた、とかだったら先の記事につながるかも。

そうか。久秀は興福寺と敵対していたたのだけど、春日大社の森から伐り出したかもしれないな。

実際、春日原始林には、巨木のスギ林があります。

田中さん、松永弾正好きだったんですね。少し意外^^;
「木材流通と戦国大名の盛衰」なんて本が出たら、世の男子は買いますよ。

私の勤める愛林館は、床だけヒノキで壁も柱も梁もスギですが、築18年目の今でも「良か匂いんすっですな」と言われることがあります。芳香は決してヒノキばかりのものではないと思います。

大体、デ・アルメイダが建物を見に来た時の案内役はスギとヒノキの材の違いがわかっていたのか??? 現在の新築の建物を役人が案内したとして、建築に詳しくなければ
見学の外国人「この建物は良い香りがしますね。この木は何ですか?」
役人「(よくわからんけど、良い香りの木と言えばヒノキだろうな。)ヒノキです。」
といった感じの会話はよく行われているように思います。

松永弾正は、わが祖先ですから( ̄ー ̄)。

奈良といえば古代史ばかりだけど、戦国の奈良にさん然と輝く松永久秀を、もっと顕彰したい。(今は、あまりに悪名ばかり高いよ)


そもそもスギは日本特産だから、デ・アルメルダに通訳はどう説明したか気になりますね。原文を確認しないとわからないけど、発音でsugiと記されていたら、結構信じてもよいのかもしれない。

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