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2011/12/26

木材の品質とは

輸入される大量の木材に対抗するには、国産材は品質で勝負するしかない……と先に書いてしまった。

が、木材の品質とは何か、ということが誤解されたままでは、上記のフレーズに意味がなくなる。

実際、業界では「国産材は外材より品質がよい」という発言が散見されるのだけど、これも口にする人によって意味が違っていたりして、誤解を招きかねない。
おそらく、昔からの感覚で「品質」をいう人は、無節とか年輪が詰まっているとか、木目だ色だ、といった、いわゆる「銘木」の概念で品質を捉えているのだろう。つまり、高級材を生産することで、「安い外材」との差別化を計ろうというわけだ。

だが、それはすでに破綻していることを忘れてはいけない。銘木生産で国内林業の生き残りを計る路線は、40年も前に行いしばらくはうまくいったが、1990年代のバブル経済とともに崩壊した。今の林業不況は、その路線ではだめになったからである。銘木(役物)市場は今もどんどん縮小を続けているのだ。

そこで、「木材の品質」について分類してみた。

まず、見た目。外見的品質だ。これは情操的な「木っていいな」と思わせるもの。古くからの銘木の定義だった無節や密な年輪、杢のような珍奇な木目もその一分野だが、それだけではない。
最近では、節もデザインになったり、黒芯など変色も活かすことが可能だ。虫食い痕も意匠になる。この品質は、製材も含めて人が商品に向ける好感度なのだ。

第2に、機能的品質マテリアルとしての木材の機能を求める場合に必要となる、強度やヤング率、割裂性、調湿性、手触り、香り、加工のしやすさまで考えられる。用材でなく、燃料用なら、燃えやすさ・火持ち・熱量なんて項目もあるだろう。これは樹種が決定づけるほか、乾燥度も影響を与える。これは計測してわかるようにすることが肝心だ。

第3に、ビジネス的品質。これは、商取引を行ううえで求められるサービス品質である。わかりやすいのは、アイテムとロット。まず商品の品揃えと安定供給する体制だ。太さや長さ、樹種……さまざまな種類を揃えていないと、注文しにくいし、またまとまった量を一気に届けてくれる量の確保も品質である。
それに加えて、輸送体制も入るだろう。納期は早いほどよい。それも正確であること。注文したら、取引相手と決めた日時に、確実に注文した分をきっちり届けられることが重要となる。

第4に、社会的品質。社会的要請に応えることができるか否か、も品質と扱うべきだ。具体的には、今風に言えばトレーサビリティ。産地証明と流通履歴、それに合法証明も必要になった。もしかしたら今後は放射性物質の有無まで入るかもしれない。
さらに、これは1番の情操に関わるのだが、ドラマ性やストーリーとしての情報も含めるべきかもしれない。どんな土地の誰が、どんな思いをして植え育て、そして伐ることになったのか。育った森の環境や景観も入る。その木を伐る時の写真・映像もありだろう。

4つに分類した「品質」だが、こうして並べてみると、国が進めた林政は、第3の品質を押し進めたことになる。また、第4の産地証明や合法証明も少し手がけている。

しかし、銘木とは違った新しい「外見的品質」は、いまだ一部の作家的商品にしかないし、機能的品質も研究は進んだが十分に広報活動は行われていない。社会的品質も、一部の林家が個人・もしくはNPOなどが取り組むレベルに止まっている。ビジネス的品質でさえ、大手偏重のままである。

もちろん、すべての品質を押さえないと売れないというわけではない。集荷が遅く、ビジネス的品質は劣るが、外見的品質、あるいは機能的品質をうまく広報して売ることはできる。外見の悪い木材だって、ほかの要素でカバーすれば、使い道によってはよく売れるはずだ。むしろ量を掃くには、その方が有利かもしれない。

ともあれ、どこの消費者のニーズはどの品質なのか、それをどのように売るか、という戦略を立てることだ。品質の意味をつかみ損ねたら、品質向上の努力が報われない。

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コメント

日本の杉 桧、あえて無垢に特化すれば一番の理由は 耐蟻性です。
建築の長持ちという時間軸が すっかり短くなったので 今のニーズという点では重要視されていませんが 増改築すると北欧 北米の木はかなりやられている確率が高いです。集成材は、まだ不明です。
杉 桧も見かけやられていても 心材が意外にしぶとく頑張っています。

もう一つは、調湿性と不要になった時に再利用がしやすい事。

それが、出来ていないのは林業ではなく 建築側の問題です。

一つ一つの性能は、レベルの高い素材がありますが、総合的に価格も含めバランスの良い素材と言えます。

木が育った年数以上 持たせる家をつくれ!と 森林側から言ってもいいのではないですか。極論を言えば、そうでないと森林や他の資源の持続性は確保出来ませんよね。

田中様
お世話になります。
私の好きな話題です!!
木材の品質の件ですが、私は、「性能保証」も入れてほしいところです。設計事務所やゼネコンに話をしても、木材は品質で疑われています。結構、腐ったり、白蟻にやられているからでしょう。10年保証が、当たり前の時代でなければ、特に屋外には、出せません。欧米の一歩先に進んだ制度を求めます。

耐蟻性を含めて、性能と言う意味では二番目の「機能的品質」をさしているのでしょうが、「性能保証」となると、四番目の社会的品質に入るでしょう。

せっかくの木材の優秀な機能も、公表しないと結果を生まないことを、もっと重視すべきです。それを第三者が「保証」することで、初めて意味を持つ。木材も社会的商品だということです。

実は、ここに上げた4つの品質は、どんな商品にも当てはまると思うのですが、残念ながら木材を扱う人にちゃんと区別して実行している人が少ないことに問題があるのかもしれません。

川根本町sさんのしょうかいでよませていただきました。

木材の品質を語る以前に、内地材であれ、外材であれ
適材適所に使えば良いのではないでしょうか?

また、使っていただける施主の考えも考慮しなければなりません。
「節もデザイン」確かにそうでしょう。
しかし、部屋の全面に節ありの木を使った部屋にいると
落ち着かなくなるのは、私だけでしょうか?

無節の方が落ち着くのは 私だけかな?

それは 内地材であれ 外材であれ 同じでしょうね。

木材の品質、使う用途によって違いますが
最低限の基準となるものを作るべきだと考えます。


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