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2012/01/16

里山資本主義とは経済のブロック化か

里山資本主義という言葉が、登場している。

これは、たしかに藻谷浩介(『デフレの正体』の著者)が言い出したのではないかと思うが、ようするに田舎社会(里山)の資源を元にして産業を活用しよう、という地域活性の理念だ。

具体的には、木質バイオマスの利用である。地域社会で、もっとも外部に依存しているのはエネルギーであり、その購入に資金を流出させている。そこで木質バイオマスを利用することで、資金の流出をストップし地域内に滞留させようという発想である。

ここで、木質バイオマスの利用の難しさをあげつらって、せっかくの意見に水をさそうとは思わない。実は珍しくもないバイオマスエネルギーの利用促進案も、地域資金の流出止めという視点から説明してみせたのが斬新だ。

そして地域資源の利用を「里山資本主義」と名付けたのも、お見事。このネーミングで飛びつく人は少なくない。

そこで、改めて私流に里山資本主義を因数分解してみた。

里山には未利用資源がたくさんあるのは間違いない。これを資本とする発想は面白い。そしてエネルギー需要というもっとも外部へ資金が流れ出しやすい穴を防ぐのである。
エネルギーを自給すると、過当競争がなくなり価格変動が減る。また需給バランスをコントロールできるので、ロスが出にくい。仮に外部から購入する化石燃料や原子力エネルギーの方が安くても、無駄を出さず、安定供給が保証される特典で、差額は十分に補てんされるだろう。

これは、ある意味、経済のブロック化である。グローバル化に対抗して、地域内で経済を回すのだ。

もちろん経済そのものは、開かれている。田舎社会だって、収入を得るためには、外部に資源や労働、サービスを販売しなければならない。すべての物資を自給することもできない。

だがエネルギーは輸送・配給がネックとなり自由競争が似合わない産業だけに、ブロック化に向いている。

つまり、条約・協定や法律のような強制力のあるブロック化ではなく、極めて自然に資源と資本と顧客を囲い込むことができる

たとえて言えば、生協など会員制のスーパーマーケットみたいなものか(笑)。外部の人も売ったり買ったりできるんだけど、会員間にはポイントカードみたいな特典もあって、なかなか外に出て行かないし、よそ者が参入できない。ポイントカードを持っている同士の仲間意識なんかもできちゃうかもしれない。

ソフトな囲い込み。ソフトなブロック化。

そういえば、今年は国際協同組合年。里山資本主義は、協同組合資本主義でもあるのかな。

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コメント

田中組長

そうすると、今までは里山社会主義で、これからは里山資本主義ということになりますかね。

どちらがいいかという議論は置くとして,21世紀の里山利活用を今後取り組まざるを得ないという現実ですね。

やはり、自然再生エネルギー源として森林を利用する。木質バイオマスエネルギーの地域での利用法を真剣に考える時代ですね。

ところで、東海木材市場(株)という大手の会社が、今年秋には愛知県設楽町東納倉(9000平方メートル)に、木材市場を開設するそうです。
これから、伐採適期の三河杉がこの周辺地域から大量に出てくるでしょうね。

新しい動きがあちこちで発生しています。

東海木材が設楽町進出(東日新聞 2012.01.13. )

 木材市売りの最大手、東海木材相互市場(本社・名古屋市熱田区、鈴木和雄社長)は、北設楽郡設楽町地内にサテライト市場を開設する。岐阜県郡上市内に同様の施設を開設して軌道に乗せており、エリアは北設楽郡内にとどまらず、隣接する長野県や静岡県にもおよぶ。町および議会は、木材流通の活性化につながるとして全面的に協力する姿勢であり、3月議会で建設地となる町有地を売り渡す方針を固めている。

 同社は55(昭和30)年に創業し、現在、年間木材の取り扱い量24万立方メートルを誇る国内有数の大企業。丹羽郡大口町地内に開設した大口市場で毎週1回市場を開き、日本全国からバイヤーを集め、市場価格づくりを行うほど。

 エリアの拡大をめざし、岐阜県郡上市にサテライト市場(美並)、敷地7500平方メートルを設け、年間2万立方メートルの商いを行っている。

 さらにエリアの拡大をめざして設楽町東納庫地内にサテライト市場を計画したもので、昨年秋に町に申し入れ、町議会も視察するなど、調査を進めてきた。

 その結果、設楽町はじめ奥三河全体の主幹産業である林業、木材流通の活性化になると判断し、協力する方針を固めた。

 計画によると、サテライト市場の敷地となる町有地9000平方メートルを売却、提供する。3月議会で契約議決する予定。平地になっているが、木材の保管のためアスファルト舗装する計画であり、開業は秋口になりそう。扱い量は美並と同じ年間2万立方メートルの予定。

 このサテライトシステムは、主に三河産山間地域にある木材を一手に集積し、優れた品質のものは自営の販売市場で、セリにかけて販売する。2等品はここを拠点に、全国の木材利用者へ販売し、直送する。

 さらに今まで山で放置されてきた曲がり材から切り捨て間伐材など、商品価値のないものはチップ材として製紙工場に売却し、全量使い切るシステムだ。

 横山光明町長は積極的に誘致する姿勢を表明。「今までいろいろな方法により、木材需要を高める努力をしてきたが、決定打がなかった。今回のシステムは、山林の現場近くで直接販売し、ここを拠点に全国に販売するものであり、木材流通の向上や山林経営に光がさす」(新春懇談会)と述べ、県に対し、協力を要請した。

 町の説明によると、木材の伐採現場近くで売り渡しが出来ることから、運搬コストを低く抑えられ、山主の収益がアップする。また全国規模の大口市場の取引価格で取り引きされるので、納得しやすい。企業傘下に3社ほど問屋があり、山主らに対し積極的な営業活動を行っており、従来の木材市場と違う。

 エリアは愛知県内の奥三河だけに限らず、長野県の根羽村、静岡県の水窪町や佐久間町方面まで及び、三遠南信交流圏活動としても注目される。
(山崎祐一)




ネーミングに飛びついた一人です。

これまでは、里山社会主義というより里山植民地政策ですね。資源の収奪と商品の売りつける場として……。

一方で東海木材の進出は、里山の宗主国になる目論見(@_@)。どんどん里山資源を外部に売り出す作戦と見た。

ところで、近代のイギリスやフランスが各地に植民地を作って経営した事実を、経済学的に分析すると、利益より支出の方が多かったそうですよ。植民地にするには軍事力の維持やインフラ整備など初期投資が大きく、利益が出たところはごくわずかだったようで……。
結局、外から資本を注入するのは高くつくのです。

こうした比較ができるのも、里山と資本主義をつっつけるネーミングの成果ですね(^o^)。

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