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2012/01/12

樹上の林業

アーボリカルチャーの取材に行ってきた。

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アーボリカルチャーとは、極めて簡単に言えば、「高木を扱う園芸的な技術」であるが、欧米で発達して近年日本に入ってきた。
ただ日本では多少意味がずれて「特殊伐採」、つまり高木を周辺に悪影響を与えないように上から伐採する技術かのように理解されがちだ。空師なんて表現も生まれている。


※写真は、伐採のための木登り。

ま、その当たりのことは記事に書くべきことだ。

ともあれ高木に登ることが求められる。はしごや脚立では無理な高所まで手を加えるためにはいかに登るか技術が必要になる。

日本の林業では、木登りと言えば主に枝打ちに必要だった。もっとも枝打ちが古くから行われていた林業地はごくわずかで、全国に広がるのは戦後だろうから底は浅い。あとは実生苗をつくる地域では、種子を取るために木登りすることがあった。これも、ごく一部の林業地だけである。

もっとも、たいていの枝打ち程度ならハシゴでも行えるので、本格的な木登り技術を身につけようとする人はそんなにいない。ときに枝から隣の木の枝へ飛び移る軽業師のような達人も現れるが、技術体系があったわけではなかろう。個人技である。
道具も、多少の爪のある地下足袋などがあったが、発達はしなかった。

むしろ木登り技術が発達したのは、園芸として木を扱う庭師や研究現場だろう。高木の剪定や、樹冠の研究を行うためには、木登りをしなければならなかった。
そこで彼らは、十分な安全と作業性を高めるうちに、ロッククライミングやケイビングのロープテクニックを応用することに気づく。いわゆるSRT(シングルロープテクニック)だ。もちろんシングルだけでないロープの使い方もあるのだが、林業とはちがうところから木登りが注目されている。

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一時期は、樹上にたどり着く手段として、クレーン車を使ったり、ツリータワーと樹上回廊やジャングルジムを建設したり。さらに飛行船の利用……と広がった。

誰でも登れることが重要だとされたのである。

※写真はボルネオの樹上回廊。

だが、最近は元のロープによるクライミングにもどりつつあるようだ。木登りに、大がかりで高コストな方法は似合わないのである。フレキシブルに、必要な際にすぐ行える木登りは、やはりロープなのだろう。

Photo



今やツリークライミングというスポーツ的な要素が加わって、環境教育やレジャーとしても広がりを見せている。

※写真は日比谷公園のツリークライミング。

残念ながら林業分野では、あまり木登りは注目されていない。需要がないのかもしれないが、もっと各分野がクロスオーバーしてもよい気がする。

たとえば、高木の枝葉・花・実の採集を行い、それを生け花や料理のいろどり用に出荷する、なんて職業も生まれないかな、と思う。葉っぱからアロマオイル生産につなげるとか、稀少な樹上性のランを採取して盆栽用に売り出すとか。私の知り合いのツリークライマーは、オランウータンの巣調査を助けにインドネシアまで出かけていた。

林業では幹ばかりに目を向け、枝葉の茂る樹冠はあまり興味を持たないが、枝葉の資源化も考えられないだろうか。

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コメント

熱帯の国々ではロープなしで椰子の木を登る人たち(子供も多い)がいますが,あれ,相当難しいですね.多少の練習では文字通り手も足も出ません(体験者).

そうか、椰子の実栽培とその収穫も「樹上の林業」だったか。

古来の日本の林業も、ロープなしで登ったそうですよ。手も足も出ない…というより手足だけで登るんだなあ。

へえ,日本も昔は縄なしだったのですか.ぶり縄が出てきたのはいつ頃なんでしょう.

そういえばカリフォルニアの山林地帯に行った時,国立公園のビジターセンター(米国のこの種の施設は日本に比べて比較にならないほど素晴らしい.ハコモノとして豪勢という意味ではなくてコンテンツに感動する)で,高さ60m以上の通直な木を輪っかにしたロープ一本で登る職業林業者のビデオを見ました.これはすごかった.ただ,あれ俯瞰で撮っていたんだけどカメラマンもツリークライミングしたんでしょうか.

スリランカでも木登りは大切なスキルのようです。
一般家庭にボサボサ生えているヤシの木の実は、
定期的にとらないと、落ちてきて危険なので、
その家の若者が登って取る(落とす)か、
近所の登れる人に依頼して落とすかしないといけないみたいで・・。

あと、ドライブ中にのどが渇いたら、その辺のジャングルに分け入って、
ヤシの実を取ってくるのにも必要な技能かも・・(笑)

私も、昔ソロモンで子供たちがすいすい木登りをするのに驚いたけど、
スリランカもヤシの実取りですか。

友人が家族連れてスリランカに移住してしまいました。あそこのおチビさんも、そのうち登れるようになるだろう(笑)。

田中様

こんにちは!弥永です。
プロカメラマンにお願いするには大変躊躇われますが
ブログにあるボルネオの樹上回廊の写真、ちょっと企画書に
使わせて頂けませんか?
ネットで叩いたら一番上に登場したものですから!!
海洋テーマパークの企画をしてまして、イメージ写真で是非!
また、次回ビール奢らせて頂きます!!

こんな内容はメールにしてください(ーー;)。

無料で、と言われてもねえ。次回ビールをと言われても、ここ数年会っていないし……。。。
かくなるうえは、その企画が通ったら私にも仕事を回しなさい。海洋テーマパークもいいなあ。。

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