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2012/01/13

肩上げ曳き出し

今年も、シイタケの原木を伐り出した。私が原木担当で、父が駒打ちをする。

今回選んだ場所は、かなりの急傾斜。上の方に太さなどがベストのコナラがあった。

久しぶりにチェンソーを持ち出すが、どのようにエンジンかけるかひときしり悩んで(^^;)、斜面をよじ登る。そして、さっさと2本伐り倒した。きれいに谷側に落ちてくれた。

さて、ここから車のある場所までいかに運ぶか。コナラの丸太は結構重い。そのまま引っ張ってもほとんど動かないし、枝などが広がっていて、運べない。かといって、あまり短く玉切りすると、往復しなければならない回数が増える。

そこで、まず枝を払って、だいたい3m程度に刻んだ。全部で5、6本になる。これは、まだ十分に重い。

結局、丸太の端を肩に担いで、もう片方は地面を曳きずるようにした。

これがいい。意外とすいすい運べる。もちろん下りだからであるが、あまり重さを感じないで済んだ。

そして、これは「肩上げ曳き出し」であることに気づいた。

吉野林業全書』に載っている木材運搬法だ。

この本には、明治時代に行われた林業に関わる作業が詳細に図入りで記されているが、なかでも木材運搬にはいくつもの種類が紹介されている。

Photo_2


まずは、「肩上げ持ち出し」。肩上げとは、人の肩で担ぐことを意味するが、「持ち上げ」は、文字通り持ち上げて運ぶ。一人で、あるいは数人がかりで行うものだ。
一人当たりの作業量は、1回に20貫匁で60丁ほどを往復する。






  

Photo



そして、次に紹介されているのが「肩上げ曳き出し」だ。

これは図のように、小径木数本をまとめるか、あるいは1本だけを曳く。「持ち出し」の約2倍の重量を一人で運べるという。

 
 



私が、行ったのは、後者である。地面を引きずるのだから、抵抗が大きいかと思えば、下りだとたいしたことはないと、体験でわかった。落ち葉や土が滑らせてくれるのである。ただ土壌は荒れるかもしれない。
また平坦なところになったら、いきなり動かなくなる。登りはかなり厳しい。

もっとも、運んだのは10~20m(^^;)だから、まったくたいしたことはない。それでも5、6回往復しただけで汗かいたけど。
私は、平坦なところで、玉切りを行って短く軽くして車に運び込んだ。

ちなみに『全書』には、ほかに「クワン引」や「釣り持ち出し」、「地車出し」、そして「木馬出し」などが紹介されている。木馬だと、坂道500~600貫匁、平坦なところでも300~400貫匁は運べるというから、肩上げの10倍20倍以上。非常に効率が高い。木馬は、当時の革新的な技術だったのである。

もちろん、別に「滑り板出し」(修羅)もあるし、川にたどり着いたら、「管流し」、そして筏流しの細かな作法についても解説されている。

偶然ながら、昔の運搬法のまねごとをしたおかげで、当時の感覚がつかめたよ。

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