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2012/01/14

林業ジャポニズム

先のアーボリカルチャーに出会った時の話である。
名前がアーボリ(樹木?)とカルチャー(文化)なのは、なぜかと感じていた。

ちょうど取材先には、イギリスのアーボリストが訪問していて、彼も日本でビジネスにできないかと模索中だったのだが、お互いが技術やビジネス事象など情報交換していた。

そしてイギリス人は「サムイ」という日本語を使った。寒い? いや、冗談が受けなかったときの状況である(笑)。それに対して、日本人はおでこから後頭部に手をかざして「スルー」と応じた。頭の上を通りすぎていく、というジョークが受けなかった状態のイギリスの表現らしい。

これもカルチャー交換であろうか(^^;)。イギリスで「サムイ」が流行らないかな。日本文化の拡散である。



ちょっとジャポニズムについて調べた。

いや、調べたというほどではないが、執筆している記事の周辺を探るために知識を入れておこうと思ったのだ。

ジャポニズムとは、簡単にいうと19世紀末から20世紀始めにかけて、ヨーロッパに日本の美術品が流れ込んだことによって引き起こした芸術の変革運動である。

ようするに鎖国を解いた幕末から日本の浮世絵や陶磁器といった工芸品などが流出して、それが西欧の美術傾向に多大な影響を与えたのである。
浮世絵なんて、日本では挿絵や広告イラストみたいなB級アートの面もあるのだが、それが西欧に渡ると、人物のしぐさや風景のアングル・シチュエーション、空間構成、そして色調や筆遣いに至るまで欧米には驚きを持って迎えられたのだ。

最初は珍奇なオリエンタリズムだったかもしれないが、あっという間に美術界を席巻して、アールヌーボーや印象派などに変化をもたらす。

もっとも、その時期の日本美術界は、西欧から流れ込んでくる絵画・工芸技法などに押されて浮世絵などは急速に力を失っていくのだから、皮肉というか裏返しの関係なのだろう。

ようは、カルチャーショックである。爛熟して行き詰まりを見せていた文化は、異境の文化・・・日本は西欧の、西欧は日本の文化を取り入れ、ショックを受けたのだ。

文化だけでなく、すべては異質なものと出会うことで、次の発展につなげていく。ただ西欧はジャポニズムを生み出したのに対して、明治の日本は西欧文明に飲み込まれて、独自の世界を構築できたかどうか心もとないが。

林業事情に関しては、まさに鎖国していた日本は、今やとうとうと流れ込む欧米の林業事情に接して飲み込まれようとしている。十分に咀嚼しないまま、機械化を受け入れてしまった。本当は、これを独自の変革運動につなげなくてはならないのだけど。

逆に、日本の林業も輸出すべきではないか。

実は近頃、日本がパラダイスのように思っていたドイツやフィンランドの林業も、すっかり行き詰まっていた…という報告を立て続けに聞いた。日本に紹介されているのは、理想的な状態の部分だけで、ヨーロッパの林業だって価格下落による産業構造の変化に対応仕切れていない(らしい)。だったら、アンチテーゼとして日本がつい最近まで展開してきた「役物」高品質素材路線を紹介してみてはどうだろう。

日本では行き詰まっていても、ヨーロッパに林業ジャポニズムを引き起こすかもしれない。そこに双方の解の公式が隠れているかもしれない。

現代は「ジャポニズム」というと、日本のアニメやオタク文化を指すらしいが、林業だって可能性はあるかも。なぜなら、情報化時代にもかかわらず、ほとんど海外では知られていないから。そして落差が大きいから。落差の大きさはカルチャーショックを引き起こす大きな要因だ。

木目の美しさによって、木材価格を10倍にすることが世界的な運動になれば素敵なのだが。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

木目の美しさ、スギヒノキの外材にはないような美しさ、香りがあります。広葉樹にはないものがあります。雑貨、家具、内装、色々な提案ができそうです。
傾向としては、これまでと同じように欧米で高く評価されると、評価が逆輸入されて日本でも評価が高くなることがあります。映画もそうですよね。
着物の柄、日本の建築様式は海外でも評価されているでしょうから、スギヒノキも評価される、高く評価される素材で、中間製品としても、最終製品としてもイケル気がします。

木目とはあまり関係ない製品ですが、神奈川県のH内ウッドクラフトさんは、米国、独国の専門的な学会でその製品が非常に高く評価されていて、毎年展示に出かけていると聞いています。

海杉さんのブログにも韓国での工事の話題や韓国の家具内装の話題あが載っていました。

欧米の評価、そして国内の評価、スギヒノキが「素敵だ」をか「カッコイイ」とか「やっぱり日本人はスギヒノキ(他の国産材も含めて)、だよねえ」とかそんなふうになっていくように行動をしてみます。

それにしても、杉の木目と香り、そして超仕上げかサンダーした時の手触り感は心地良いですねえ。

追伸です。
役物高品質素材路線をどうやったら紹介していけるのでしょう。
私のような方法では全然太刀打ち出来ないし・・・・。

私がやれるのは、コツコツとやっていくこと。

それを展開する方法を思いついて、実行するには、どうすればいいのでしょう。

そういえば、この前木材とか木材品とかの範疇からちょっと転換して、他の業種との連携をしたら、思わぬ展開は始まりました。
木材以外の日本文化とか日本を代表するモノとの関わりもカギかなあ。日々接するものや話題にするコトやモノを全面に出して、その必須素材とかアイテムとか。絶対に必要なわけですから。

高級寿司(国産高級割り箸を含む)、武道、煎茶とか抹茶、華道、香道、・・・・・・・。
こういう事ならヒノキ3面、4面無節用枝打ち材も目が出てくるかも。
その背板も無節板で価値が上がってくるかも。
やばっ、妄想が止まらなくなってきました。

これまでも日本の木材を海外に紹介する向きはあったようですが、対象を間違ったんではないでしょうか。欧米、あるいは中国などの建築・製材業者、もしくは家具業者に売り込んだ。でも、それらの分野は自前の木材の確固たる世界がある。

むしろ芸術家とか、店舗デザイナー、あるいはオモチャ業者などに売り込んでみたらと思うのです。売り込むというより、日本的「木目の美しさ」感覚を紹介する。
ネタとしては、ツキ板が使えると思いますね。和風であり、使い道の広さが受け入れられそうな気がする。

アールヌーボーマニアのわたしが来ましたよ.

外国の人のもつ,木材というものに対する価値観を,根本的に変えてしまうような和材を輸出できたらいいな,とは確かに思いますね.

実は浮世絵の国宝は一点もありません.文化庁としては特定の「ブツ」を指定しなければいけないので何枚も刷られた浮世絵を指定するのは難しいのでしょうし,なによりあまり国内では評価されていなかったのかもしれません.

>明治の日本は西欧文明に飲み込まれて独自の世界を構築できたか心もとないが。

それこそ擬洋風建築・・・って思ったけど,あの種の建築は日本の建築家社会においてどれくらい評価されていたのでしょうか.

逆の意味での擬洋風建築は,たとえば東京都北区の旧古河庭園洋館で,外観(純粋な洋館)からは全く想像ができませんが二階大部分が完璧な和室です.ジョサイア・コンドルが和風建築のとりこになり,自分の洋館に取り入れてしまったのです.これもジャポニズムといえばジャポニズム?

「日本の林業も輸出すべきではないか。」
「「役物」高品質素材路線を紹介してみてはどうだろう。」

数年前から、役物素材の輸出は出来ないものなのだろうか?
ずっと考えていました。

建築材に止まらず、割箸を含め いろんな用途に使えないか?

最近、考えることは、お寿司(にぎり・巻き寿司)等が
世界各国で食されている現状、その寿司レストランに
和風文化を取り入れ、割箸、畳、木材に至まで
日本の文化を発信、輸出する。
茶室なんかも ゆったり寛げる空間

どこまで 受け入れられるか分からないが
情報発信は 一筋縄では行かないが
やってみる価値があるのではないでしょうか?

ちなみに 高級と言っていいのだろうか?
杉の割箸を使っている飲食店で、その割箸を
持ち帰り、洗って使うのは 私だけかな?

たしかに擬洋風建築のみならず、個別には和洋を融合させた作品を生み出したアーティストはいるでしょうが、美術界全体を動かす力にはならなかった気がします。むしろ、そうした作品は、際物扱いされかねなかった。

西洋は、「日本趣味」から「日本主義」に発展させました。もし日本の木材の価値観を海外に持って出る場合、和の世界を紹介するだけだと、日本趣味の押しつけになって、量は出ないでしょう。
西洋人に、日本人が感じる木目の良さを覚えてもらい、高い価値を感じてもらう……それが日本文化であることを知らずに、「よいものには高い金を払う」気にさせる、そんな戦略を取るべきです。

フランスの住宅に、何気なく磨き丸太が使われている……そんな展開はないかなあ。

アーボリカルチャーのカルチャーはむしろ栽培と訳したほうがしっくりしますよ。アグリカルチャーやホーティカルチャーが農業であり園芸であるように。
Wesspurというアーボリカルチャーの道具を扱うショップでbonsaiて本が売っているのですが、これぞジャポニズムなんですかね~(^-^)v

本来のアーボリカルチャーは、日本の「特殊伐採」よりも、盆栽の手入れに近いですね(^o^)。庭(植物園)全体を盆栽に見立てて、剪定するために木を登ると考えた方が近いかな?

田中様
欧州で花開いた「日本主義」は、日本人にとっても、興味あるものだったと思います。
先日、吉野の方が視察にお見えになり、綾と日南を見ていかれたそうです。ありがたいことに、お一人だけ日向もプライベートで見ていただきました。その時の話しだったのですが、私は、吉野の若い世代に欧州へ武者修行を勧めました。吉野の材の良さを欧州の人に伝えるには、今しかないと!飲んだ勢いで話しましたが、日本の材も地域ごとに特長を生かした攻めのビジネスを展開しないと・・・と感じています。

吉野から視察に行きましたか。きっと価値があったでしょう。観光に終わらなければ(^^;)。

昨日の「クローズアップ現代」で、盆栽が世界的にブームになって、日本から輸出している様子が紹介されていました。盆栽も、ジャポニズムですね。そこからもう一歩進めば…。盆栽と吉野材を抱き合わせにするとか。。。何か行動を起こしてほしいですね。

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