未知生物の魅力
ここんところ、マジメな思索ばかりしているので……。
ミャンマーのカチン州で、新たなサルが発見されたそうだ。正確には2年ほど前に確認された。発見というか、現地で確認したのは、イギリスの自然保護団体「ファウナ&フローラインターナショナル(FFI)」の調査チーム。
白く薄いあごひげや耳毛、長めの尾などに特徴のあるシシバナザル属の新種で、体長は約1メートルほど。正式名称はまだない。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011121501&expand#title
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2012011603&expand#title
傑作なのは、雨が降るとくしゃみが出るという独特の習性を持つこと。このサルは、唇が分厚く鼻が上を向いている。だから雨粒が鼻の穴に入りやすく、くしゃみをするのだそうだ。雨の日は頭をひざの間に挟み込んで一日を過ごすという……。
21世紀になっても、サルほどの大型哺乳類の新種が発見されるのだね。
実は、インドシナ半島のメコン川流域大メコン圏では、生物の新種がこのところ続々と発見されている。この辺りは、河川や湿地、山地、森林が不規則に広がっており、ミャンマー領ということもあって、これまでほとんど調査が入っていなかった。
それがこのところ調査の解禁が始まったおかげで、発見が相次いでいるのだ。2010年には、200余りの新種が確認された。このサルも、その一つ。 まさに、地球に残された最後の未知のホットスポットだ。
やはり、こうした話題にはワクワクする。
そもそも私は、学生時代にボルネオに初めて訪れたのは、未知であった野生オランウータン調査をすることを目的に掲げていた。まあ、口実でもあったが。
そして、パプアニューギニアのニューブリテン島を訪れたのも、この島にあるダカタウア湖に棲むという怪獣探しが目的だった。その名もルイ(間違えてミゴーという名が広がっていたが)であった。神秘の火山湖に、ネッシー並の巨大未知生物はいるのか?
ま、その顛末は、拙著『不思議の国のメラネシア』を呼んでいただきたい(^^;)。四半世紀も前の出版だけど。その後、テレビ局まで行ったな。
未知の動物を探すのは、探検の一ジャンルにもなっている。実際、探している人も少なくない。日本ならツチノコとかヤマピカリャーなんてのはポピュラーだ。海外なら、やはりネッシーに雪男などだろう。が、想像以上に未知動物は各地に報告されているので、その体験を記事にするのを生業とするノンフィクション作家もいる(^o^)。
ああ、私もできるなら、そちらの世界に行きたかった。小難しい森林や林業のことなんぞ書かずに……。
もっと初心に還って、こうした探検を活動の柱に加えようか。
ただ、未知動物だけなら、このミャンマーの奥地のように、まだ見つけることも可能なのだが、未知動物探検家としては、単に新種であってもダメで、ある程度の大きさと珍奇さが求められる。トビムシの新種見つけました! と言っても、あまり世間は感心してくれない。
できれば巨大で、系統が他種からかなり離れていて、見た目も変わっている、できれば古代種の生き残りとか伝説の獣のモデルとか、ロマンあるストーリーがほしい。
もし、リュウトカゲ が生き残っていたら、最適なのに……。
ところで、上記のシシバナザルの新種だが、生息域は狭い上に、近くまで中国系企業の伐採が進んでいるとか。早くも絶滅の危機にあるわけだ。そんなことも「ストーリー」かもしれないが、これは林業が悪者になるもとだね。
※追記・「ダカタウア湖」で検索すると、怪獣ミゴーについて、いろいろ載っている。ウィキペディアまで項目ができているとは! しかし、ミゴーとは、現地でトカゲのことであり、マッサライ(精霊)はルイだと何度も繰り返しているのに……。拙著を読んでいない証拠だ(-_-メ)。
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分かりました。
巨大化してみせますとも。(キッパリ)
記事にしてくださいまし。
そして、小難しいことのない世界へ。。
って違うか。。。
投稿: 熊(♀) | 2012/01/18 00:11
おお、大熊(♀)化をめざしますか。
巨大熊が出没したら、ニュースにしましょう。
大熊座って、北斗七星を含む星座だったな。それに北極星を探す目印にもなっている。よし、大きくなって、北を指すのだ。世間や家庭のちっちゃな難しいこと、不愉快なことを忘れて、ロマンの世界へ。
投稿: 田中淳夫 | 2012/01/18 00:48
子熊の尻尾の先っちょは大事ですぜ。
ちっちゃくても大切にせにゃ。
でも、子熊はなかなか小難しいかも。(年頃ですなあ)
投稿: 熊(♀) | 2012/01/18 12:28
野生生物との共存とか環境への影響はできるだけ配慮した収穫作業をしてほしいです。
でも、それを真剣にやっているとコストがかさんで、他の建材と競うことができなくなってしまうのでしょうか。
妥協点みたいなところはないのでしょうか。
一方で、真剣に、考えながら取り組んでいる林業者、企業もあります。国内でも、もともと環境影響がさほどないともいえるレベルの、低効率の小面積施業をしていても、さらに環境影響を最小限にしようとしている林業者、企業もあります。
未知生物とか、希少種とか、夢とか希望を感じます。
発見したとか、すごいことになっちゃいますね。
そして、方法や行為がはたして将来的に正しいかどうかは別としても、その時々の作業において、環境影響を最小限にしていこうとする事業者努力を少しづつでも評価してほしいと思ったりします。
もしかしたら、環境影響を最小限にしようとしていろんな余分な作業と可確認をしていれば、新発見とかも確率は高くなる?
投稿: 鈴木浩之 | 2012/01/18 17:46
伐採している業者が認証を取得して環境に配慮、となれば一転して良いストーリーになるのでは
投稿: か | 2012/01/18 21:43
中国系企業ですからねえ……。
私が「探検」した、ニューブリテン島のダカタウア湖周辺も、その後林道が入って、伐採されちゃったそうです。
投稿: 田中淳夫 | 2012/01/18 21:55
>大熊座
ちょうどNHK「星空のロマン」で一昨日がおおぐま座,昨日がこぐま座でした.
可憐な妖精カリストに,恋多き主神ゼウスがヒトメボレ.彼女はゼウスの息子を産む.ゼウスの妻の嫉妬を買い熊の姿に変えられ,彼女は森に逃げる.後年,立派な狩人になった息子は森で熊(母)と遭遇するが,もちろん母であるとは気づかない.彼は獲物にむかって矢をつがえた・・・(後は神話書でお楽しみください.バッドエンドではありません).
ところで,この神話に出てくる「森」って,どんなものだったのだろう?そこには何か未知生物がいたりしなかっただろうか?
最近,本題と違うコメントばかりでごめんなさいです.
投稿: あがたし | 2012/01/19 06:13