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2012/02/29

飛騨川の流路

美濃加茂から下呂、そして飛騨高山へ向かう高山本線は、木曽川を遡り、支流の飛騨川に沿って北上する。

乗っている最中、私は車窓の風景を楽しんでいた。飛騨川は渓谷美でも知られている。

で、ふと気づいた。この河川の流路は、なんか人工的じゃないか?

うまく、その場所の写真は撮れなかったが、両岸が岩々に覆われているわりには、流路が直線的な部分を見かけるのだ。

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ほとんど川の真ん中に岩が突き出た場所がない。

むしろ通りやすくなっている。

この地方は、飛騨や木曽など林業地だ。おそらく尾張藩の木材需要に応えたのだろう。
ということは、木材を伐りだして川を流したのではないか。下流は筏を組んだだろうが、上流部は管流し(一本ずつ流す方法)か。

いずれにしても、木材を搬出するために、川を改造した可能性がある。飛騨川の流路は、人が整備して出来上がったのではなかろうか。木材の産地の川では、珍しくない。川の真ん中に岩があったら、流している丸太が激突して台無しになってしまうからだ。それに、あまり屈曲していても、丸太は岸にぶつかってしまう。

江戸時代から明治の工事なら、爆薬を使った工事は難しいから、槌と鑿で岩を削ったのだろう。急流では、難工事である。

飛騨川に関しては何も裏を取っていないが、目にする風景の多くは人が作ったのかもしれない。

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コメント

木曽川の水利権は関西電力が持っていて、大正から発電所をどんどん建設し、昭和の初め頃から、木曽川の大きな岩を割ったと聞きました。

飛騨川は長良川と比較して、人が寄りつきにくい。
またいたるところに、発電所や堰堤があるのでなおさら。

大正時代に水力発電をするためにダムを建設したのでしょうか。すると、それ以後は筏流しはできなくなったと考えられますね。

支流の飛騨川はどうかはともかく、わりと早い時期に水運は途切れたんだなあ。
いずれにしても、川の形状に人の手が入っているわけですが。

私が生まれた庄川では、有名な庄川流木争議 があります。以下、インターネットより抜粋です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
庄川上流に小牧ダムの建設が開始され、庄川流域の木材業者「飛州木材」は1925年(大正14年)に小牧ダムの建設中止を求める仮処分申請。電力側と飛州木材側が衝突する庄川流木争議(しょうがわりゅうぼくそうぎ)という騒動の発端となる。

1926 年5月、飛州木材は富山県知事を被告として行政裁判所にダム建設の認可取消の訴えを提起。庄川上流の岐阜県の3村(荘川村、清見村、白川村)も訴訟に加わる(1929年)。

1930 年に小牧ダムが完成。飛州木材はダム堪水直前の4 月22日、大阪地方裁判所に湛水禁止の仮処分申請を行い即日決定。内容は飛州木材側が30万円の保証金供託を条件にダム工事禁止を認めるもの。
この決定で、小牧ダムの堪水が出来なくなることで不利になる庄川水力電気側は1930年5月1日に仮処分決定取消の訴えを提起。大阪地裁による実地検証が行われ、7 月10日に飛州木材側の仮処分が取り消された。
以後、庄川上流部の流木は庄川水力電気側の負担で行われた。1930年10月21日にダム堪水が開始され11月21日より水力発電が開始。

敗訴した飛州木材側は、小牧ダムの木材運搬用施設が有効なものでないとして計画量を超える流木を流し始め、ダム湖内に大量の流木が滞留、木材が送れなくなり下流域の木材業者は死活問題となる。

1933 年1月28日に、庄川水力電気側と飛州木材側が衝突し多数の負傷者が出た。
やがて相次ぐ訴訟で飛州木材の経営が悪化、下流域住民は小牧ダムによる水量調整を求める声が強くなり、1933年8 月12日に日本電力、庄川水力発電、神岡水力発電(北陸電力の前身)が飛州木材への経営参画などを柱とする内務省和解案を受け入れて長年に亘って続いた騒動は終結した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに,私の父親は北陸電力の電気技師でした。また、子どもの頃からプールができる中学生まで庄川下流域で鮎を釣ったり、川で泳いでいました。そのころは、庄川の水は飲めましたよ。

庄川流域の水田地帯で育った団塊の世代より

やはりダム建設と木材流送は、激しく対立したんですね。
そして勝者は、はやりエネルギー産業……。

庄川は飛騨から富山側ですが、岐阜側の飛騨川も同じような問題は抱えたのでしょう。

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