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2012/02/14

「ロズウェルなんか知らない」書評

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篠田節子「ロズウェルなんか知らない」を読んだ。

以前から注目していたのに、読めずにいたのを、今回一気読み。









いやはや、これは地域おこしのバイブルになるんじゃないか(笑)。これ本気である。

ごく簡単に筋をなぞると、温泉も歴史も景勝地も何もない田舎で、民宿はそこそこあるが、昔スキー場で流行ったことがあるので、客あしらいは最悪。役場も県や国から補助金取ってくることしか考えていなくて、まったくいいとこなし……というところの村おこしの話だ。

切羽詰まって取り組んだのが、「日本の四次元地帯」づくりである。地域丸ごと、空飛ぶ円盤に、ストーンサークルの超古代史、奇怪な民俗、妖怪……などのテーマパークをめざしたのだ。

前半の旧態依然の田舎の状況などは、実にリアル。そして、「よそ者」の提案で窮鼠猫を噛む的に取り組んだ顛末は……そこで語られる言葉は、まるで地域おこしの箴言になるんじゃないか。

「客が見たいのは流星ショーであって、流星じゃない」

「客を呼べる歴史を作っちまえばいい」

「観光客が求めるのはファンタジー」

「恥さらしだというものが、都会の客には受ける」

その上で、仕掛けに乗ったマスコミと、その反響。揺れもどしなども、勉強になるだろう。村人の出方と変化も、ありそうである。

一応念を押すと、この本に書かれていることを真似て、空飛ぶ円盤で売り出せ、というのではない。そうした町はすでにある。福島県の飯野町とか……。超古代史だってある。巨石・磐座や座敷割らしなどオカルトではマニアは呼べるが、町全体を活気づけるのは困難だ。私に言わせれば、オカルトは信じるものではなく、利用するもの、楽しむもの。

そんな表面のノウハウを真似るバイブルではなく、人を呼ぶこと、地域を活気づけることのヒントが多く本書に描かれているというのだ。情報の出し方、よそ者の感性なども参考になるだろう。反対・妨害する役場との戦い方も書いてある(笑)。

なにより、補助金に頼らずに楽しんで取り組んだ方がうまく行くことも。

そして、これが肝なのだが、実はここに描かれていることは、田舎の観光事業の顛末ではないのだ。展開されるドタバタは、どんな産業や企業経営にも通じることなのである。とくに林業には(笑)。
古臭く、顧客のニーズに合わないことに力を割いても無駄。逆にニーズをすくえれば、数多くの欠点も隠され、逆に利点にもなる。勉強になりまっせ。

ちなみにタイトルの「ロズウェル」は、多少のオカルトファン・円盤マニアじゃないとわからないだろうなあ。

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コメント

UFO怖いけどテレビで特集あるとよく見てました。ロズウェルって聞くだけで、子供の頃、ものすごく怖かったの思い出します。


 「ロズウェル」ですか~わかります(爆)
 それはさておき、面白そうな本ですね~(^^)
地域おこしの小説としては、昨年出た「県庁おもてなし課」(著:有川浩)
も面白かったです(^^)
(作者の有川さんは「ライトノベル」デビュー当時から、チェックして
いますが、「図書館戦争」なんかも面白いですね)
「県庁おもてなし課」は高知出身の作者が実体験したことや、実際にある
「高知県庁おもてなし課」を舞台にしていますが、前半の機能していない
おもてなし課の部分は「そうそう、あるよな~」と苦笑していました(爆)
(今も、少し某県の観光部署にある提案したことがあるのですが、
無駄にプライドだけ高く、動かない、やらない理由ばかり言って、本当に
苦笑しました(^^;))

ロズウェル、結構知っているんですね(笑)。
なんたって、宇宙人を解剖しちゃったんだからなあ。
私は怖いより笑ってしまう派でした。

本書の前半は、地域づくりの現場を知っている人なら、あるあるある! でしょう。

新しいことを始めるには,次の3つの条件が必要です。

1)先入観がない人→従って,よそ者が有利。
2)村人と違う価値観がある人→都会の人の好みがわかる
3)人生はやってみないとわからないと思っている人→
前例のとらわれない行動力がある。

枚挙にいとまがありませんが、小布施のセーラー・カニンガムさん、イギリス人で初めての杜氏になった〇〇さん(名前が出てこない!)、他にもいるんでしょうが。

どうでしょうか? 田中組長!
火耕倶楽部、始めましょう!
もう組長は、薪ストーブ使ってないんですか?
わたしは、20,21日に瀬田にある龍谷大学のキャンパスで炭焼き炭化装置(簡単炭ヤケール)で、炭焼きしますが、お時間があればおいでくださいませ。

3)の人生はやってみないとわからない、と思っている人が参加することが最重要ですね! 今の日本人は、リスクを取ることを極端に嫌がっているから。日本人全体が、公務員化してるみたい。

外国人の杜氏・蔵人は、奈良県の造り酒屋にもいますよ。外国人が優秀なんじゃなく、リスクを取る覚悟があるから、面白いことがてきるのでしょう。

火耕倶楽部……名前も決まっちゃったんですか(笑)。焼畑、したいなあ。燃やすと、大地から声が聞こえるんですよ・・・。
薪ストーブは、庭で使っています(^^;)。ストーブになってないよ。


しまった。前投稿は源氏名でした。

公務員です。私もリスク嫌いです(泣)。

ちなみに、私の弟の趣味は、たき火です。
毎日3時間ぐらいやっています。
網焼きもやっています。
ウラヤマシイ限り。

伐採木の先っぽ、裏山の雑木が燃料だそうです。

ちなみに地元の「消防団」員です。

組長!

「外国人の杜氏・蔵人は、奈良県の造り酒屋にもいますよ」
って、どなた?教えてください。知りませんでした。

鈴木浩之 様

消防団員の趣味が,焚き火とは面白い。まさか,付け火ではないでしょうね(笑)火の燃え方=燃焼実験を、好きで3時間もしているとは,見上げたもんです。十分,倶楽部員になる資格あります。

何でもやってみてから、初めて分かることが多いものです。

リスクを取らないというのは、新しいことをしたくないと行っているのと同じですね。公務員は、リスクと聞くと反射的に身構えますから、リスクではなくて少しばかり前例にないが、変更してみないかとやんわり言う方がいいかも。

しかし、時代はそんなこと行ってる場合ではないと,大阪の橋下さんはお急ぎのようです。これから、大きなリスクが増えますよ。

梅の宿酒造です……と書きかけて、気になったので調べたら、そのフィリップ・ハーバー氏が木下酒造に転職したんですね。
でも、ほかにもいたはずです。

公務員って、首切りもないし、給与も保証されているじゃないですか。だからもっともリスクを取りやすい立場ではないかなあ。
私のようなフリーランスが、もっともリスクとりにくい。生活保証されてないもの。

しかし、毎日3時間の焚火は羨ましい。うちでは30分を越えたら苦情の心配をしなくてはならない。だから庭で薪ストーブを置いている。文句が来ても、「ストーブだ」と言い張る(^^;)。
この点、私も橋下さん並です(笑)。

リスク
担当者によって程度が異なります。

あと、上司のお腹で決まります。
決裁をもらえるかどうか。もらえるようなテクも必要です。
ちなみに、私は相当下手みたいです。理解をしてもらう説明技術がどうも足りないようで・・・・・。
そして、たまに、ヘタレになるときもあります。

そんな感じです。
ビビッて源氏名での投稿ですが、ばれていますよね。

「若者、ばか者、変わり者」っていう言葉を以前聞いたことがあります。
変化を、うねりを作るのは「新しい事」を志す者だけ・・・とか。
 でも、そんな仲間を見つけるのも大変ですね~(^^;)

 閑話休題

 今日、日本TVの夕方ニュース番組で、「狙われた水源地」ネタで特集
をしていました(^^;)まあ、相変わらず「外国怖い」偏向の報道でした。
(一応、埼玉県の水源地に関する条例制定にあわせての特集でした)
でも、最後まで昨年あった「日本人による水源地詐欺」などの、日本人が
日本人を食い物にする「事実」は完全にスルーっと(爆)
さすが、日本TVだと感じましたが、相変わらず私の父は「外国は!!」
と義憤にかられていました・・・(^^;)

上司のお腹ですか。。。メタボな太っ腹の効用かもしれん。

しかしトニーさん(源氏名尊重)は、テクより熱意で口説いているように感じますけどねえ。

そういや、先日の天竜のお土産に、新月期と満月期に分けて摘んだ川根茶をいただきましたよ。飲み比べてみます。もし味が違えば、これも商品開発になるかも。

満月茶と新月茶、それって標高700mぐらいのところの川根茶なんですよ!残念ながら天竜のではないんですね。
樽脇さんのです。
樽脇さんは以前は養鶏もしていましたが、現在はお茶とゆずが中心の農家林家です。
アイデアもいっぱい、行動力もあります。
イベントにも出ているけど、頑固親父でもある、結構不思議なおじさんです。

マジで、感想を聞かせてください。

私は、根拠とか科学とか関係なく、このノリはとても好きだし、ネーミングもいいと思っています。
美味しく思ってもらう、楽しく味わっていただく、それも農家の大事な仕事だと思っています。

私は、「若者、馬鹿者、よそ者」と聞きましたけどね(~_~;)。
さらにもじって、私は「若者、馬鹿者、化け物」と唱えています(^^ゞ。

今日の新聞には、「風力発電詐欺」も起きているようですよ。再生エネルギー流行りとみるや、ターゲットを水源地から風力や太陽光発電に変えるかもしれないなあ。


満月茶と新月茶、どちらも川根産であることはわかっています。天竜土産にもらっただけで(^o^)。
そう、こうしたものに無理に科学を持ち込まない方がいい。するとボロが出ます。オカルト観光と一緒で不思議さを楽しむつもりじゃないと。

標高の高いところのお茶は、
香りが一味ちがうような感じがします。
気高いと言うか・・・・・。

単位あたりの収穫量が自ずと少なくなるので、旨みが凝縮されるのでしょうか。

樽脇さんは満月茶と新月茶、他にも「天空の茶」という名前でブランディングしているところもあります。

川根本町の主要産地の標高は230m~400mぐらい。


町内でも、それ以上に標高の高いところや山の中のお茶はひと味項という違うような気がします。標高という条件(川霧、山霧、寒暖差
。。。)なのか山の神のパワーなのか。
高田さんという林の中で自然仕立てのお茶を作っている人もいたりします。

以前は、杉林の中にお茶が生えていて(短期間そこが茶園になっていて、そのあと杉が植栽されたところもありますが)、そのお茶の葉っぱをその場で揉み出してお湯(鍋とかやかんとか)で煮出して(まさに煎じている状況)、お茶を山で飲んでいたという歴史もありますよ、川根には・・・・・。

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