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森と林業の本

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2012/03/30

吉野割り箸のコスト・パフォーマンス

昨日の朝日新聞奈良版に、ちょっと驚きの記事が。

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まずは読んでいただければよいのだが、奈良町情報館というのは、藤丸君という学生が起業した株式会社地域活性局という会社の窓口。(もちろん、もう彼は卒業しています。)

山村と観光地を結びつけて地域を活性化しようというのが狙いだ。実際に吉野を歩いて、川上村の高原野菜などに目をつけて直接仕入れて、奈良町で料理店に卸すなどしている。そして割り箸の販売もしていた。

その地域活性局が、首都圏まで営業の手を延ばしたのだ。それも割り箸というアイテムで。

すると、次々と注文が取れた。その理由は、「安いから」。これまで吉野の割り箸は、いくつもの問屋を通って高くなっていたが、直販するとかなり安くなる。1膳5,9円で扱うらしい。この価格は、中国産よりは高いが、その品質を見れば、十分に戦える値段となった。これまで10円以上するケースだって普通だった。

これは、ちょっとした眼からウロコである。
「品質がいいから高くてもいい」あるいは「箸は食べられたら安いもので十分」ではなく、「品質がよくても許容価格があり、その範囲なら多少上乗せしてもよい箸を使いたい」だったのだ。

これって、値段設定が間違っていたということ?

ようは、コスト・パフォーマンスだ。品質差と価格差が釣り合わないと売れないのだ。これまで、その割合を間違っていたのかもしれない。

中国産元禄箸が原価1円以下なのに対して、同じ品質(元禄箸など)の国産箸に3円つけていたら、売れない。かといって天削・利久箸など高級箸だから差別化だと言って10円という値段をつけても売れない。
もちろん、箸袋などで工夫して20円~50円で売るケースもあるが、それは例外的な付加価値だろう。

そこそこ安くすると売れるのかもしれない。もちろん、製造価格を下げては何にもならないので、流通コストの削減が重要だろう。生産者と小売り店を直に結ぶか、産地問屋が直に消費者(外食店)と結ぶか。

まだまだ国産割り箸に可能性があることを感じる。

ちなみに東京の営業を回っているのは、緊急雇用対策による男性3人。みな震災被災者だそうである。


ところで、割り箸に関して拙著のお知らせ。

 

来月より、ちくま新書の拙著『割り箸はもったいない?』は、配本が中止される。つまり本屋では買えないということだ。ネットも同じ。現在の店頭在庫が尽きたらオシマイである。

 

私は、可能なかぎり買い取って直接販売するつもりである。直販だから、マージンを省いて安くしようかな(^o^)。と言っても中身が同じではいけない。そもそも5年前の本だ。

何か付加価値をつける。サインする(^o^)。それくらいなら朝飯前だが、あんまり喜ぶ人はいないだろうから、『割り箸最新事情』増補版をつけることにした。鋭意執筆する。できるだけコストを抑えるため、製本せずにコピー印刷で済ましたい。

 

……というようなことを考えている。具体的に決めたら、また報告する。

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割り箸」カテゴリの記事

コメント

おぉぉ!
増補版欲しさに買いますよ!

いわき出身の営業担当の方、いわき繋がりでウチのも売ってくれないかな。
吉野に混ぜ込んで(笑)

そう、これこれ!!
うちの道の駅の割りばし売り場で、そのプレミアム本も一緒に売らせてもらえますか?

それから、田中さんの本と言えば、日経ビジネスONLINE
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120328/230350/?P=1
の最後に「森変」紹介されていました。

増補版だけ買うというのは・・なし・・ですね (^^;

でも、結局割り箸でも流通にいきついてしまうというのは、軽いショックというか、ため息つきたい気持ちになりますね。

磐城高箸は、別格のドラマ付き高値路線狙ってください(^o^)。

増補版を購入すると、もれなく『割り箸はもったいない?』が付いてきます(^^ゞ。

山元で外材より安い原木が、製材されてエンドユーザーの手元に届く製品になると、外材より高くなってしまう矛盾は、割り箸にもあったのかもしれません。

消費者がジャストインタイムで品物を欲するのは昔もあって、そのために生産地の一次問屋、消費地に二次問屋が夫々、巨大な倉庫にストックして経費を掛けて卸してたんだけどが、物流が進んでからは借り事務所に電話一本ひいて受注し、生産工場(物流拠点の会社もあります)から直送出荷、問屋さんはペーパーマージンを得る。
これを省いたら6掛の価格になったんでは、正直、中間マージン(経費ではないですね)を取り過ぎの業界ですよ・・・

田中さんのサインが欲しいので、再度購入します!!

「割り箸はもったいない?」が配本中止ですか・・・残念です・・・
でも、「割り箸はもったいない?EX」付けるとは・・・最新情報が
手に入るのであれば、嬉しいですね(^^)
(なんだか、「ホームセンターてんこ」のようになれば・・・というか、
出版社も、「21世紀」の社会環境を「活用」する営業や販売を模索
するべきですよね~(^^;))

 そういえば、政府系投資会社が100億円だして、大手出版社なども
一緒になって「電子出版」関連会社か事業をスタートするようですが、
これから日本も「キンドル」やIパッドで「本」を読む時代に本格的に
移行するのでしょうかね・・・

がつては、幾段階もの卸問屋にも意味があったんです。きめ細やかにニースごとに賞品を分別し、様々な流通ルートを網羅し、そこに掛け売りなどの金融も挟み込み……でも、今の物流では無駄がいっぱいですね。
まだまだ改善の余地はあるでしょう。

それは割り箸の話だけでなく、出版も同じ(^○^)。
私の手元からはまだまだ売れているのに、一定年数が経つと自動的に配本中止ですからねえ。(すべての出版社ではありません。筑摩書房が、です。)
売れ筋を見つけて、その手元に届くような配本ができないんでしょう。

そもそも私が自力販売に力を入れているのは、出版社の営業に任せておけないからです( ̄ー ̄)。

 そういえば、今年に入って「漫画家」さんが「書店営業」することへの
「つぶやき」がけっこうネットで話題になったりしましたが、分野が違うとは
いえ「作家」さんの「書店営業」なんで、紹介します。

 *漫画家による書店営業のつぶやき(まとめ)
http://togetter.com/li/259871
 *上記へのつぶやきへの、書店側の「見解」の一例
http://comicbookstore.blog39.fc2.com/blog-entry-1881.html

 でも、個人的な経験からですが、編集や漫画家サイドは「営業」面には
「うとい」なあ~と。(^^;)(まあ、大手三社限定ですが)
 ・・・まあ、「週刊連載」なんて、超人的な仕事をしている漫画家さんには
「書店営業」なんて、無理でしょうが・・・(^^;)

 マイナーな漫画家さんや月刊連載の漫画家さんは逆に今住む地域の
書店限定特典などにも積極的だったり、各漫画専門店別の特典イラスト
だけでなく、自身のブログで、個人的に特典などもしていますからね~

本音を言えば、執筆者は執筆に専念したいものです。(おそらく編集者も)。
しかし、任せておけない状況がそこにある。
書店営業もしたいという漫画家がいるなら、その熱意を買って出版社も協力するべきでしょうね。

私も、割り箸付きの『割り箸はもったいない?』を売り出そうか(笑)。


「割りばし付き」書籍!!(^^)いいですね!!(^^)
本だけでは判らない「国産割りばし」を手にとって読めば、理解も
格段だと思いますし、書店も「売りやすい」可能性も・・・
 近年、雑誌の「付録戦術」は物凄いですが、それ以外だと、漫画
コミックスの「限定版戦術」(付録だったり、ゲームだったり、アニメDVD
等)は有名ですが、普通の書籍などはあまり聞きませんね~。

 田中さんなら、国産割りばし製造の業者の皆様とも人脈もあるので、
お互いのPRにもなりますし、次回の「割りばし本」や「林業本」には
是非是非!!(^^)
(そういえば、漫画で「北海道の農業高校」舞台の作品が順調にヒットし、
またライトノベルでも、「のうりん」なる作品がじわりじわりと注目を得て
います。是非、ここで田中さんが「林業」で「小説」や「漫画原作」を!と
期待してしまうのは、ダメでしょうか?(^^;))

林業を舞台設定にした漫画の登場は、願うところです。
山村がそろそろと登場していますから、あと少し?

拙ブログに、田中さんの文章を引用させていただきました。

http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/4c23340d9e719800700bccbccd6ea7ae

吉野の業者がなかなか出来なかったことを、九州男児がやってくれました。どんどん広めていっていただきたいものです。先日の小学生の卒論といい、思いがけない人が頑張ってくれています。

ブログ拝見しました。
その前の小学生の論文もすごいですね。この件は、改めて書きます。

『割り箸はもったいない?』までリンク張っていただきありがとうございます(^o^)。早く買わないと、在庫が切れるでしょう。

で、その後は私も藤丸君を見習って、直販します。あ、奈良町情報館でも販売してくれないかな・・・・。

こんにちは
はじめて、コメントを書かせていただきます。
私も、吉野の割り箸が大好きです。
来週、吉野山の桜を見に奈良県へ観光に行きます。
今からとっても楽しみです
若い方が、積極的に地域活性化のために活動されているのは素晴らしいですね!
「奈良町情報館」へも、時間があったら寄りたいと思いました

今年は寒いから開花時期が遅れそうですが、やはり吉野山の桜はすごいですからね。楽しんでください。そしてお土産に割り箸を。。。

奈良町も、観光スポットとして盛り上がっていますよ。

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